中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第1,188話 「お疲れ様」に代わる言葉とは?

2023年10月25日 | コミュニケーション

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「仕事が終わったので、まだ仕事をしている人に対して『お疲れさまでした』と言って帰りかけたのですが、その表現は良くないと上司に言われました。お疲れさまでしたと言うのは失礼なのでしょうか?」

先日、弊社が新入社員フォロー研修を担当させていただいた際に、一人の受講者からこのような質問を受けました。

多くの組織では入社早々に新入社員研修が行われますが、その際のメインテーマとして取り上げられるのが、ビジネスマナーです。ビジネスマナーには様々あるのですが、中でも最も重要視されるのが挨拶であり、研修では日常の挨拶やお客様への挨拶の練習をしていただくことが多いです。

ところで、日常的な挨拶の一つに「お疲れ様でした」があります。ビジネス上では、自身が退社するときに周囲に仕事をしている人がいれば「お先に失礼します」と言い、他者が退社するときは「お疲れ様でした」と言うのが一般的だと思います。

そのように考えると、前述のように先に退社する人がまだ残って仕事をしている先輩や上司に対して「お疲れさまでした」と言うのは、いささか配慮が足りないと言えるのかもしれません。

この「お疲れ様」という言葉は使い勝手が良いと感じる人が多いのか、退社時のみならずオン・オフの様々なシーンで使われているようです。たとえば、朝一番で他者に声をかけたり、社内電話をするような際にも、「お疲れ様です」で始まる人は少なくないように感じます。「朝一番なんだからまだ疲れていない。だからお疲れ様とは言わないでほしい」。古今このような話も聞くことがありますが、挨拶以外でも頑張った同僚や部下を労う際にかける言葉としても使われることが多いと感じます。

実際、私自身も研修の中で休憩時間の前や研修の終了時、さらには個々の受講者が会場をあとにする際に挨拶をしてくれる時にもその都度使っていますので、非常に使い勝手が良い言葉であると思っています。しかし、前述のとおり場面によっては違和感をもつ人も少なくないと思いますので、何か「お疲れ様」に代わるような言葉があればと考えているのですが、どのようなものがあるのでしょうか。

改めて考えてみると、同じような意味合いで一番に思い浮かぶのが「ご苦労様」です。しかし、これはビジネスマナーでは下の人から目上の人に使用することは失礼な表現とされていますので、お勧めはできません。他に「お世話様」という言葉もありますが、これも労いの言葉としては使えても、朝一の挨拶の言葉としては少々不向きのように感じます。このように「お疲れ様」に代わる言葉がなかなか見つからないというのが、実際のところではないのかなと思うのです。

こうした事情からか、結果として「お疲れ様」が多用されることになったのではないか思うのですが、冒頭の例のように仕事をしている人を残して先に退社する際に「お疲れさまでした」と言うのは、残業をしている人に対して配慮が足りないと考えられます。ここはやはり「お先に失礼します」を使う方が良いようです。

なかなかに深い「お疲れ様」という言葉ですが、皆さんはいつもどのように使われていますか?

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第1,187話 藤井八冠の肯定的な生き方からの刺激

2023年10月18日 | キャリア

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藤井聡太さんの史上初の八冠全冠制覇の達成以来、日本中が大いに沸いています。プロ入りしてから数々の偉業を成し遂げてきている藤井八冠ですので、将棋に日頃は特段関心のない人(私自身もですが)であっても、その活躍にはただただ「すごい」「すばらしい」と感嘆する以外ないように感じます。

このように多くの人を魅了している藤井八冠ですが、その魅力は将棋が強いことだけではないように私は思っています。これまでの藤井八冠についての様々な報道等を確認してみると、意外にも勝敗そのものに対するこだわりはあまりなく、それゆえに勝敗には一喜一憂しない。重視しているのは、勝敗よりもその内容とのことです。したがって、勝負で負けたときには内容を振り返ることはしても、負けたことに対する気持ちの切り替えは早いのだそうです。さらには1つの対局が2日にわたることもあるわけで、過密日程を難なくこなせる精神力、集中力、そしてそれらを支える体力も強靭であるそうです。

このように、もはや超人的と言ってもいいような強ささえ感じられる藤井八冠ですが、これまで見聞きした報道の中で私が最も印象に残っているのは、その人間性や生きる姿勢のようなものについてなのです。少し前になりますが、2023年4月3日(月)の朝日新聞夕刊の取材考記の記事に、藤井八冠の言動には徹底して負の要素がなく、他者や世界に対して根源的な肯定を貫いていること、人を否定したりマイナス感情を示したりすることがないことなどについて書かれていました。21歳の若者が棋士として頂点を極めただけでなく、これほどの地位や名声を得ても決して傲慢にならずに、今もこうした人間性を持ち続けていることに驚いてしまいます。

藤井八冠のこうした人間性はいかにして形成されたものなのか、それは他者には知ることのできないものなのかもしれませんが、この人間性こそが棋士だけでない全ての強さの根源のように私には思えるのです。

では、こうした藤井八冠から私たちが日々の生活や仕事の中で何かしらのヒントにできるようなことはありそうでしょうか。私自身が意識的に取り組みたいと考えているのは、他者と自分を比べないということです。人は人、自分は自分。調子のよい時もそうでないときも、思うようにいかないことがあったとしても、それに惑わされたり翻弄されたりせずに、淡々と生活したり、仕事に向き合うということを大切にする。こうしたことが大切なのではないかと、改めて思っています。藤井八冠から受けた刺激により、簡単なことではないのかもしれませんが、まずここから始めてみようと考えています。

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第1,186話 社歌の効用とは

2023年10月11日 | 仕事

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「社歌を作ります」

時々、弊社がお付き合いをさせていただいている会社の中で、社歌を作る予定であることを経営者やご担当者からお聞きすることがあります。社歌と言えば、つい先日「NIKKEI社歌コンテスト2024」の応募が締め切られ、今後は11月の一般投票と審査員推薦によって来年開催される決勝大会への参加者が決定されるとの記事を目にしたところでした。

さて、あなたの会社には社歌はありますか?日本初の社歌をどこの会社が制作したかという記録は残っていないようですが、一説には南満州鉄道が1917年(大正6年)に制作したという話があるそうです(Wikipediaより)。日本では、これまでに定期的に社歌のブームがあり、現在は5回目のブームの到来かと言われ、社歌にまた注目が集まっているとのことです。

私自身は、最近では社歌の話を聞くことはあまり多くないように感じていたのですが、かつて私が就職した40年近く前は、様相が大きく異なりました。入社式で社歌を斉唱する新入社員の姿や社内運動会などの催しを前に社歌を練習している姿が報道されているのを見たり、毎日朝礼で歌っているという友人の話を聞いたりしたことがあります。

それでは、組織が社歌を作成する理由は何なのでしょうか?社員の一致団結や士気高揚、愛社精神の醸成などが代表的なところだと考えられます。最近は新入社員の採用を目的にしたり、取引先に対して自社のイメージアップのために社歌を作る組織もあるようです。

かつて私がお会いしたある中小企業の社長は、自ら作詞を手掛け、完成した社歌を自らピアノを演奏して社員に披露したという話を誇らしげにされていました。この会社では社歌のおかげなのか業績が向上し、また新入社員の採用活動でもフルにこの映像を活用することによって、応募者が増えたということです。

私自身は、これまで社歌がある組織に勤めた経験はないのですが、数年前から「青春かながわ校歌祭」に出場する機会があり、それ以来、愛社精神ならず愛校精神?といったものを感じています。ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、「青春かながわ校歌祭」とは神奈川県内の県立高校の同窓生(在校生)有志を中心に、各校の校歌・応援歌等を披露し、卒業生と在校生が交流するなどして、親睦を深めることを目的として行われているものです。

今年はちょうど2週間後に開催されるため、各校とも練習に励んでいるタイミングだと思いますが、当日は県立青少年センターホールに25校が集結し歌います。各校ともそれぞれに趣向を凝らすため、見応え・聞き応えがあるのですが、この校歌祭は結果に優劣をつけるものではありません。他者に聞いていただくためのものではなく、あくまで歌っている自分たち自身がそれぞれ学校に通っていた青春の日々を思い出し、懐かしみ楽しむというものなのです。

社歌と校歌は目的も意味合いも異なる場合が多いように思いますので、必ずしも同じ土俵考えることはできませんが、社歌であっても校歌であっても歌っているその一瞬に帰属意識のようなものを感じられることが大切なのではないかと考えています。特に社歌は、外部の人へのアピールというよりも、まずは「この会社が好きだ、ここで働いていることが楽しい」と感じられるものであってほしいと考えています。

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第1,185話 自己肯定感とはどういうことなのか

2023年10月04日 | キャリア

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「あなたが仕事において、やる気が出るのはどういうときですか。」

これは、弊社が担当させていただく若手から中堅を対象にした研修の中で、度々取り組んでいただく演習のテーマです。それに対する受講者の回答で圧倒的に多いのが、「周囲からほめられたとき」、「上司から認められたとき」です。

確かに、周囲からほめられたり認められたりすることはとても嬉しいことですので、それ自体を否定するものではありません。他者の期待に応えて、他者に褒められたり認められたりすることによってやる気になる、その結果として自分を肯定する気持ちになるということは理解できますが。しかし、一方でもし他者からの承認が得られなければやる気を出すことができないということならば、それは他者依存の状態であるということです。

諸外国と比べ、日本は自己を肯定的に捉えている者の割合が低いと言われるようになって久しいです。実際に、内閣府が平成25年度に行った日本を含めた7カ国の満13~29歳の若者を対象とした意識調査においても、自己肯定感(自分自身に満足している)は45.8%であり、他の6か国の70~86%に対してかなり低い数字となっています。

それでは、近年注目されることが増えてきているこの自己肯定感とは、具体的にはどのようなことを言うのでしょうか。自己肯定感の提唱者の立命館大学の教授の高垣忠一郎氏によると、自己肯定感とは「自分が自分であって大丈夫」ということであり、「ダメなところをたくさん抱えると自分であっても、そういう自分をゆるし、あえて認めてやる」ことなのだそうです。(「高垣忠一郎(2015)「生きづらい時代と自己肯定感」新日本出版社」)

そのように考えると、他者から承認を得ることを優先するのではなく、ダメなところも含めて今のありのままの自分を受け入れられるようになると、自分に対してOKが出せるようになり、その結果として自らのやる気をも創出できるようになるということです。

最近では自ら積極的に発言することを躊躇したり、一歩前に出ることを遠慮したりしてしまうなど周囲の目や評価を気にするあまり、生きづらくなってしまっている人が少なからずいるようです。しかし、それは周囲を気にするあまり他者を優先せることになってしまい、結果的に自らを大切にしていないことになってしまうように思います。

時には他者の意見や他者からの承認に対して耳を傾けることももちろん重要なことですが、それによって自分が二の次三の次になってしまうようなことは、自分を生きていることにはなりません。まずは、日常の様々な場面の中で周りの声を気にしすぎるようにしない、自分自身のことを大切だと思って過ごしてみる、そしてダメなところを含めて自分に対して積極的にOKを出すようにしてみることから始めると、今よりも前に進みやすくなるのではないかと思うのですが、皆さんはどのように思われますか。

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