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第1,211話 アクティブ ・バイスタンダー(行動する傍観者)になろう

2024年04月10日 | 仕事

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「OJTトレーナーになった先輩が積極的に仕事を教えてくれる人ではなかったので、とても困りました。そして、周囲もそれを見て見ぬふりをしていました」

これは先月、弊社がある企業のOJTトレーナー研修を担当させていただいた際に、受講者のAさんから聞いた言葉です。Aさんは入社4年目の社員として、この4月に入社した社員のOJTトレーナーになるために研修を受講したのですが、そのときに話してくれたのが冒頭の言葉です。

Aさんが3年前に入社し配属された部署でトレーナーとして会ったのが、先輩社員のBさんでした。Bさんは仕事はできる人だったのですが、Aさんに積極的に仕事を教えてくれるようなことはないなどトレーナーとしてはあまり熱心ではなかったため、Aさんが仕事を教わりながら覚えていく機会は多くなかったのだそうです。Aさんとしては、当時を思い返すとBさんがトレーナーとしての責務を全うしていないことは問題だったと感じるけれど、同時にBさん以外の先輩や上司もAさんをフォローすることはなかったため、とても孤独に感じたとのことです。

Aさんの話を聞いて思い浮かんだのが、「アクティブ ・バイスタンダー」と言う言葉ですが、直訳すると「行動する傍観者」という意味です。ハラスメントや暴力や差別が起きたときや起きそうな場面において、「その場に居合わせた人が傍観者としてただ見ているのではなく、何らかの行動を起こす人」のことを言いますが、ハラスメントを防ぐなどの効果もあり注目されています。

この「傍観」については、たとえば職場において同僚がハラスメントを受けていることに気が付いても、見て見ぬふりをしてしまうことなどは中立の立場ではなく、本人にはそのつもりはなくても結果として自身もハラスメント行為に加担してしまったことになるとされています。そして、そのような場面では直接ハラスメント行為を止めさせることはできなくても、たとえばやり取りを記録することや別の人に助けを求めたりするなど、被害者の力になるために勇気をもって一歩を踏み出し行動することで、そうした場を変えていくことができるともされています。

冒頭の話のBさんの行為は、ただちにはハラスメントに該当しないと考えられます。一方でAさんが困っていてることに周囲が気づいていたのであれば、Bさんへ何らかの助言をしたり、Aさんへ「大丈夫?」などと声をかけたりすれば、Aさんが孤独感を持ってしまうようなことにはならなかったのではないかと思います。

4月も10日ほどが経過し、来週以降は早くも新入社員研修を終えた新人が徐々に職場に配属されていく時期になります。当然、新入社員を受け入れる側の各部署ではOJTトレーナーを決めるなどの準備を進めていることと思います。同時に受け入れにあたってはくれぐれもトレーナー1人にすべての責務を担わせるのではなく、周囲の人間も「行動する傍観者」として積極的に関わりを持つようにしていただきたいと考えます。

こうした職場の関係性が新入社員にやる気を起こさせ、成長を促し、やがては巡り巡ってその新入社員が成長した暁に積極的に後輩を育てていくという好循環につながっていきます。それに加えて周囲の人間の成長という点でも大きな意味を持つものだと思います。

新年度がはじまり、いよいよこれから本格的にスパートをかけていく時期です。だからこそこのタイミングで今一度、職場の全員で「行動する傍観者」の重要性を再確認してみてはいかがでしょうか。

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