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頑張れ!はパワハラか?

2018年10月21日 | コンサルティング

「頑張れ!って部下に向かって言うのはパワハラですよね?」ある大手企業の管理職研修で一人の受講者が私に質問してきました。休憩時間中だったので、その人は私のいる場所にやってきてにやにやしながらそう聞いてきたのです。どうやら講師である私を困らせるつもりのようでした。

私が「パワハラです」と答えたら「じゃあ、頑張らなくていいと言えば良いのですね?」、逆に「パワハラじゃありません」と答えたら「それが原因でうつになってしまったらどうしますか?」というわけです。

私の答えは「あなたと部下の関係によります」というものでした。質問者は「はっきりしないですねぇ」と不満そうに言って席に戻っていきました。

うつ状態の人に向かって「頑張れ」と言うのは、本人にとってマイナスでしかありません。「こんなに頑張っているのに、まだ頑張りが足りないというのか。もうこれ以上は耐えられない」と自分を責めてしまいます。その結果、うつの症状が悪化することがあります。「頑張れ」は禁句でしょう。

かといって、腫れ物に触るように扱うこともかえって症状を悪くします。うつの兆候をキャッチする方法は、研修や書籍できちんと確認していただきたいのですが、もし、うつ病が疑われるならば躊躇なく産業医に相談してください。「うつかどうかを判断するのは医師である」が原則です。

しかし、そうでなければ「頑張れ」と声をかけることはパワハラにあたりません。パワハラの定義はぜひご自身で調べていただきたいのですが、うつでもないのに「パワハラだ!」と言われたとしたら、それは「上司と部下との関係」の問題です。

上司からの「頑張れ」というメッセージが「期待を込めた励まし」として受け取られなかったとしたら、それは部下が上司を信頼していない証拠です。上司と部下との間に信頼関係があれば、そもそも「パワハラ」などという言葉は出てきません。

先ほどの管理職研修で、私は次のように続けました。「皆さんは部下から信頼されていますか?もし自信がないなら『頑張れ!』は言わない方が良いでしょう。」

信頼は、お互いが本音で語り合うことで徐々に「醸成」されていくものです。ときにそれは長い時間がかかります。「上司は一日にして成らず」です。

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