中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第1,094話 組織の断トツ一位として挙げられる問題

2022年02月02日 | コンサルティング

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

弊社ではこれまで問題発見・課題解決研修を何百回と担当させていただいてきましたが、官民問わず、業種業態を問わず、断トツの一位として挙げられる問題があります。

それは何だと思われますか?

答えは、「情報が共有されていないことによる問題」です。いうまでもなく「情報」はとても大切な経営資源の一つであり、これによる弊害は様々な形で表出するのですが、いずれにしても真の原因として考えられるのは「情報がきちんと共有されていない」ことに尽きます。

たとえば、様々な企業における不祥事の報道を見聞きすることがよくありますが、それらも本をただせば「情報が共有されていない」ことで起こったものが大半ではないかと考えられます。

近年、この情報共有するための方法としてクローズアップされているのが、デジタル化です。実際、大なり小なりデジタルツールを導入している組織が多いと思いますが、それではデジタルツールによって情報の共有は進んだのでしょうか?また、デジタルツールの導入によって組織の不祥事は減ったのでしょうか?

私がコンサルティングや研修を担当させていただく企業を見ている限り、残念ながらデジタルツールを導入しても、結局のところ情報の共有に関して目に見えるような効果が出ているところは少ないと感じています。

さて、それではどうして情報共有が進まないのでしょうか?理由は様々あると思いますし、既に語りつくされている感もありますが、私は一言で言うと「共有するメリットを感じない」人が少なくないということではないかと考えています。具体的には、「情報を共有したことによって怒られた経験がある、一方的に提供ばかりしていて享受するものがない、共有するルールはあっても面倒であるため優先順位が低い」などにより情報の共有への意識が低くなってしまうのではないかと考えているのです。

実際に、これまで様々な組織を見てきて感じるのは、共有すべき情報を決めたり、その方法を皆で考えたりしてもなかなか簡単には進まないようです。積極的に情報共有をしようと人がいる一方で、そうでない人がいるのも事実です。また、一度メンバー間で共有した情報であっても、時間の経過とともに記憶が薄れるなどで結果的に共有されなくなったり、ルール自体が忘れ去られたりすることさえあります。

そうすると共有したはずの情報に従わない人(仮にA)が出てきてしまい、それを発見した人(仮にB)が「○○については一年前に相談して△△で行くことに決まったよね」と注意しても、一方のAは「全く覚えていない。そんなことあったけ?」というように、勝手な行動をとったりしてしまうのです。

それでは、継続的にきちんとした情報共有を続けていくためには、どのようにすればよいのでしょうか?

これまでの私の経験から考えるのは、まず「情報を共有すること、し続けることはそもそも容易なものではない」という前提に立つことが肝要ということです。その前提に立ったうえで、特に共有しないとリスクを伴うような情報に関してはその都度繰り返し繰り返し、また複数の手段を使用して伝え続ける。これしかないということです。もちろん伝える側からすると、これには大変なエネルギーが要りますし非効率なことのようにも思えますが、情報が共有されなかった結果発生してしまう弊害の大きさを考えれば、これを進めるしかないと思うのです。

組織に2人以上の人が存在すれば、考え方はおのずと異なるはずです。それを踏まえ、対面で仕事をしようがテレワークであろうが、情報を共有するためにはトップの明確な意思と継続的な努力が必要だということをしっかりと意識したうえで、取組んでいくことが求められていると考えているこの頃です。

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