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第1,111話 役職名で呼ぶのか、呼ばないのか

2022年04月06日 | コミュニケーション

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「あなたが課長や部長になったら、役職名で呼ばれたいと思いますか?それとも名前に「さん」付けで呼ばれたいですか?」

役職者に対する呼び方は役職名にするのか否か。考え方が分かれるところだと思いますが、皆さんの組織ではどのようにされていらっしゃいますか?私自身は、新卒で入社した会社がたまたま「さん」付けで呼ぶことを慣例としている組織だったため、当時50代の部長に対しても抵抗なく、「〇〇さん」と呼んでいたことを覚えています。

役職名で呼ぶのか、それ以外で呼ぶのかについては各々メリットとデメリットがあるようです。たとえば、役職名で呼ばれる場合にはおのずとその役職自体の重みも意識することになり、役職者自身の責任感が強くなるということもあるようで、これは多くの組織にはメリットと言えそうです。一方、デメリットとしては役職名で呼ぶことにより、役職者に対してある種の威厳のようなものを感じてものが言いにくくなり、その結果、組織の風通しが悪くなってしまうということがあるように聞くことがあります。

このように一長一短があるわけですが、この呼称に関しては「ホブランドとワイス」による興味深い実験結果があります。実験では、はじめに学生からある社会問題に関する意見を聴取した後に学生をAとBの2つに分け、その社会問題について書かれた記事を見せたそうです。その際、Aのグループへはその記事が「専門的な雑誌の記事」であると伝え、Bのグループへは「大衆的な記事」であると伝えてから読んでもらったのです。その情報によってAとB各々のグループの人が考えを変えるのかどうかを実験したのですが、AのグループはBグループの4倍もの学生が意見を変えたのだそうです。(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構より)

これは「専門」という呼称が人のとらえ方に影響を与えたことを示しているのですが、同様に「役職」という呼称も人(本人及び周囲)のとらえ方に対して何らかの影響を与えていると考えられるのではないでしょうか。

たとえば役職者自身の側で考えてみると、役職名で呼ばれるか否かで本人の仕事に対するモチベーションに少なからず影響があるケースが少なくないように思われるのです。実際、私の知り合いの会社では、社長になる前には「私が社長になっても、絶対に社長とは呼ばないでほしい。これまで通り名前で呼ばれたい」と言っていた人が、実際に社長になって周囲が〇〇社長と呼ぶようになったら、すぐにそれになじんだとともに、それにともなってモチベーションも上がったのだそうです。

このように、呼び方一つでも権威やモチベーションに少なからず影響を与えるということであり、「たかが呼び方、されど呼び方」なのかもしれません。

そしてこのように考えると、組織においてそれまで役職についていた人が定年で再雇用などのシルバー社員になり、役職名で呼ばれなくなった場合などには、そのモチベーションには思った以上の影響を及ぼしているのではないでしょうか。

今はちょうど年度替わりのタイミングで、役職から外れた人も多いと思います。また、今後組織には60歳以上の再雇用された人がますます増えていくことなると思いますが、呼び方によっては、モチベーションが下がることを防ぐことができるのかもしれません。シルバー社員の呼び方も「さん」でよいのか、一度じっくり考えてみてはいかがでしょうか。

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