さすらい人の独り言

山登り、日々の独り言。
「新潟からの山旅」別館
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さすらいの風景 ロッテルダム

2008年10月07日 | 海外旅行
ロッテルダムは、オランダ第二の都市で、世界最大の貿易港です。

第二次大戦の際に破壊され、近代的な街並みが広がっており、観光として訪れる場所は多くはありません。

第二次大戦の開始時、ドイツ軍はオランダ、ベルギーといった低地諸国への進行作戦を展開します。圧倒的な戦力の差にもかかわらずオランダは抵抗するものの、3日後に、都市への爆撃を行うという最後通牒によって、降伏の調印をします。その直後、ロッテルダムは、爆撃を受け、約900人が火災で死亡し、古い市街地が消失したといいます。抵抗を続けようとした他の都市へのみせしめで、戦闘を早く終わらせようという意図があったようです。このナチスドイツの行為は、アメリカ軍の広島・長崎への原爆投下とと同じ理論と思わずにいられません。



ロッテルダムは、このボイマンス・ファン・ベーニンゲン博物館を目的に訪れました。

印象派や、ダリ、現代アメリカ美術なども展示されていますが、ここの目玉はブリューゲルのバベルの塔の絵でしょう。



これが、ボイマンス・ファン・ベーニンゲン博物館所有の「バベルの塔」(Webより)



ブリューゲル作の同じ題の絵が、ウィーンの美術史美術館にあります。こちらの方が、大きな絵です。(Webより)

バベルの塔は、旧約聖書に出てくるお話です。
大洪水を箱舟で生き抜いたノアには、三人の息子があり、ここから全ての民族が派生していきます。しかし、人間も数が増えると、神を恐れぬ傲慢な気持ちが生まれてきて、天まで届く高い塔を築いて皆で住み、威光を示そうという気持ちが浮かんできました。そこで、神は、各民族の言葉を混乱させて、塔の建築を妨げてしまいます。そのため、バベル(混乱)の塔という名前が生まれました。世界に多くの言葉があり、意思の疎通が困難なのも、バベルの塔が発端になったといいます。

ウィーン版は、天まで届くような建築中の姿が描かれ、神への挑戦といった感じがします。これに対し、ロッテルダム版は、建築はまだ続いているようですが、人々の活気は見られず、赤い空に覆われて滅びの予兆が現れています。

ブリューゲル作の「バベルの塔」は、もう一枚があったようですが、失われたといいます。現在残っている二枚の絵は、片方だけではなく、両方見る必要がありますね。ウィーンとロッテルダムの両都市を訪れる機会は、なかなかないかもしれませんが。
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