さすらい人の独り言

山登り、日々の独り言。
「新潟からの山旅」別館
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さすらいの風景 マドリッド その2

2008年07月28日 | 海外旅行
猛暑が続いております。暑い時は、暑い風景をどうぞ。

スペインというと、闘牛が思い浮かんできます。オペラ「カルメン」の舞台として、闘牛は是非とも見たいものでした。

スペインの闘牛は、復活祭から10月中旬までの日曜日に、マドリッドやバルセロナの大都市の闘牛場で行われます。日程を調整して、日曜日にマドリッドに滞在して闘牛を見ました。

マドリッドの闘牛場は、日本の国技館のように、もっとも格式の高い競技場のようです。



闘牛は、日本の大相撲と同じように、伝統にのっとった決まりごとがあります。

入場券の種類ですが、ソル(日なた)、イ・ソンブラ(日向から日陰)、ソンブラ(日陰)に分かれており、日陰が高いことになります。写真撮影に良いのは、ソンブラということになります。

闘牛場に、日向と陰が半半になる時に、競技は始まります。



まずは、先導の二人の騎士が登場。



続いて、三人のマタドールが登場します。左がベテラン(1、4頭目を担当)、中央は新人(3、6頭目を担当)、右は中間(2、5頭目を担当)といった地位関係があります。

後ろに、バンデリリェーロとピカドールが従います。



第一幕

まずは、マタドールが、カポーテ(表がピンク、裏が黄色のケープ)で、牛をあしらい、気性を確かめます。





ピカドールが登場し、槍で牛を突き刺し、出血させて弱らせます。



槍の穂先から5センチ程のところに横棒があって、深くは刺さらないようになっていますが、さしてからひねれば、牛はそれだけ弱ることになります。



第二幕 ファンファーレが鳴ります。

続いて、バンデリリェーロが登場し、両手に持った二本のもりを突き刺します。



三名が登場し、計6本のもりが打たれます。



第三幕 ファンファーレが再び鳴ります。

真打のマタドールが登場。真紅のムレタを扱って、牛に突進させてあしらっていきます。



牛の突進のたびにオーレという声がこだまします。



牛が疲れて、動かなくなる瞬間があります。マタドールは、それまで持っていた飾り剣を真剣にかえます。ムレタに牛の神経を集中させておいて、剣をかまえます。首の後の隆起部を45度の角度で突き刺すと、剣は心臓近くの大動脈を切断して、ドウと牛は倒れます。これは、真実の瞬間と呼ばれます。
ただし、うまく殺せずに何度も剣をさすようになると、ブーイングとなります。



強烈な太陽の日差しのもと、砂の上に赤黒い血が流れます。「血と砂」というバレンチノ主演の映画の題名が心に浮かんできます。



殺された牛は、三頭の馬に引かれて場外にある製肉場に運ばれます。翌日には、闘牛の肉として、肉屋に並びます。



良い闘牛が行われたと主催者が判断した時には、マタドールには、牛の片耳が与えられ、場内一周の行進が行われます。



マタドールは、帽子を脱いで主催者に挨拶。場内は歓声に包まれます。



中には、闘争心の無い牛もいます。この場合には、一群の牝牛が中に入れられて、牝牛と共に退場することになります。もっとも、余生を牧場で牝牛とともに幸せに暮らせるとは思えません。
牛には、戦って死ぬか、戦わずして死ぬかの運命しかないようです。



時には、牛の勝利ということもあります。

ひらりとパセをしたその後。



マタドールは、角に突き上げられて、踏みつけられていました。赤いケープの落ちた場所からは10m程の距離を一気に飛ばされています。助手達が、カバを片手に急いで救援に向かっていきました。

この勝者の牛の運命はどうなったのだろう。

闘牛で、生と死のたわむれを見ることができました。

カルメン第三幕。闘牛場へ入場していく、マタドールらの一群が登場して、群衆は歓声をあげます。興奮のるつぼになった闘牛場の外で、嫉妬で狂乱したドン・ホセは、カルメンに復縁をせまり、プレゼントした指輪を投げ返されて逆上し、刺し殺してしまいます。

闘牛場で見たものは、光と陰。生と死。

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