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所属する短大における司書資格の単位付与の方針をめぐって

2012-02-24 11:29:37 | チラシの裏
  上層部の人から、所属する短大での司書資格課程での単位付与に関する方針についてのコメントが付いた。鉛筆による走り書きによる短いコメントで、項目も僕の仕事ぶり全体に対するものなので、以下の解釈が間違っている可能性もあるのだが、僕の心あたりではたぶんそうである。内部事情もあるので文面は記さないことにする。

  コメントからは、僕の厳しめの指導が学生に対する配慮を欠いている、と彼が考えていることがわかる。僕は司書資格課程の学生にかなりの量のレポート課題を出している。そして、その課題をこないせないようならば、資格課程を続けることはあきらめた方がよいということを公言している。スクリーニングに使っているのだ。実際、一年生前期の段階で数人が脱落する。学生が負担に思っていることは授業評価アンケートからも分かる。

  所属する短大にはできるだけ落伍者を出さないという暗黙の方針がある──高校の延長のように親身に指導・管理する──ので、入学させた者をさらにスクリーニングするという発想に違和感があるのはわかる。不可を与えることは教員の怠慢である、と。学力的な問題がある学生でも、時間と労力をかけて指導することで、単位取得水準をクリアできる程度にしろ、というわけである。卒業のかかる単位をめぐっては、そのような了解と、投入できるコストと学生の意欲という現実がぶつかって、学内でもめることはしばしばある。たいていは留年→退学という結果になるのだが。

  しかしながら、僕の考えでは司書資格は異なる。理論的には、個々の学校が与えるものではなく、国家が与えるものである。なので、国が想定する水準の能力と知識を満たさなければ付与できるものではない。乱発すれば、資格の信用が落ちる。司書資格の所有者にとって、あきらかに業務遂行能力の無い者が同じ資格をもつことは迷惑なことだろう。もちろん、現実には司書資格の信用など無いに等しいのだが、僕なりの気概で資格の門番を演じている。

  また、所属する短大において司書資格課程は卒業単位となっていないので、留年には直結しない。なので、学校に直接リスクをもたらさない。完全にオプションの課程なので、あきらめることも容易である。特に短大一年生の間にこの課程の単位を落とすような学生は、他の卒業にかかわる単位も落としている可能性が高い。なので、早めに資格課程をあきらめてもらって、卒業のための単位に時間とエネルギーを投入してもらった方が、学生にとっても合理的なのである。

  あと、学力的な問題のある学生を特別に指導する時間や労力を持つことは、学務などとの関連で現実には無理なことである。教員もまた忙しいので、多くの場合短大の方針は貫徹されない。なので「甘い採点」をすることで、基準を満たしていない学生に単位を与えてしまうことが起こる。世間が学校の出す成績を信用しないわけである。少なくとも、僕が与える司書資格の単位では、そのような印象をもたらさないことを願っている。

  以上のような理由で、現状の指導スタイルは変えないつもりである。ただ、上層部の方々には、機会があったら説明してわかってもらう必要はあるだろう。
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