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生気のない爽やかさを感じる低音女声フォーク音楽

2016-09-28 21:39:44 | 音盤ノート
Nico "Chelsea Girl" Polydor, 1967.

  フォーク。ニコと言えばVelvet Undergroundの1stアルバム(1967)で四曲だけ歌ってすぐいなくなった女性ボーカリストであるが、これは脱退直後に録音されたソロ作である。バックはアルペジオ中心のギターと少数の弦楽隊という編成。曲によってはフルートまたはオルガンが入る。打楽器は無し。感情表現を抑えて低い声でメロディを律儀に辿るニコのボーカルは呪術のようである。だが、清廉で爽やかな楽曲が並んでいるおかげで気持ち悪い感じはしない。地味な作品ではあるが暗くはなく、ぼんやりと明るい早朝のような音楽である。

  Velvet組のLou Reed, John Cale, Sterling Morrisonが曲を提供してかつ楽器を弾いているのはわかる。異色なのはなぜかJackson Browneが曲を三曲提供してギターを五曲で演奏をしていること。Wikipedia情報を信用すれば、この西海岸派のSSWは短期間ニューヨークに滞在していたことがあるそうで、ニコとも恋愛関係にあったらしい。彼の書いた冒頭の二曲'The Fairest of the Seasons', 'These Days'はとても良い。だが、本人にとっては望んだ編成ではなかったらしく、気に食わない作品だったとのこと。しかし、その後の奇矯な作品群を聞いてみたら、本人の意向に従わなかったプロデューサーは商売人として正しかったと思うはず。
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