アボルダージュ!!

文芸及び歴史同好会「碧い馬同人会」主宰で歴史作家・エッセイストの萩尾農が日々の思いや出来事を語ります。

『懐かしさ』の中身 ~舟木一夫 in 山梨

2022-08-12 | 世情もろもろ
 もう八月になってしまった(!)
 一年のうちの半分を過ぎると、「〇〇月になった」ではなく、「なってしまった」という気持ちになる。
 そうして、この年も、駆け足で過ぎるに決まっている。子どもの頃よりも大人の一年は短くなるから…。『一年』という時間、ちゃんと(?)一年分あるのは、新生児だと、随分と前に本で読んだことがある。
短くなっているから、だから、日々をより大切にしたいと、思ったりするのは、こんなに遠くまで来ても、尚、続いている旅路ゆえだ。
「こんなに遠くまで来るとは、予想もしなかった」
 その思いは、私より以上に、ステージに、二時間以上、まだ(!)一人で立ち続けている舟木一夫自身が目を丸くして(!)思ったことだろう。その長い時間、多くの人々の前に、目の前に、居る!

 7月20日、霊峰富士を間近に見ながら、山梨公演。
 富士をみると、「まさに、霊峰だ」と思う。
 コロナ禍はまだ続き、遠かったはずの戦争を身近に感じ、世界が選ぶ道を決して誤ってはいけない大きな転換点に在る―そんな困難な状況下で、『舟木号』はここまで来た―と、日本一の山を見つめて、少し、誇らしい。
 山梨県甲府市での公演。舟木一夫とバンドabout9の面々にとっては、久しぶりの公演ではないが、私には、5月9日の埼玉県川口市の公演以来の『concert tour2022』―。
 5月9日からこの7月20日まで公演が無く、私もみていなかったというわけではない。
5月、三日間の京都南座のtheater concertのステージ。7月の浅草公演三日間―それぞれ素晴らしく、とても贅沢な贈り物をもらった気さえする。
6月に九州方面の『concert tour2022』のステージがあり、これは、さすがにみていないので、5月9日以来の『concert tour2022』のversion、だから、メロディが耳に届いた瞬間、「懐かしさ」が溢れた。
「これこそ、昭和のメロディ!」
胸内で小さく叫ぶほどに、なぜか、懐かしかった。
「この懐かしさの正体はなんだ?」
 アレンジはあるとはいえ、これらのメロディは南座でも浅草公演でも耳に届いていた。それなのに、「懐かしい!」と溢れた思いが不思議だった。
 決して郷愁(ノスタルジー)では無い―と、何年も前、ステージで舟木一夫がtalkしたことを思い出す。…と言っても、その内容はすでに遠く、はっきりとした思いは及ばない。歌について言っていた事は、そのtalkに私は大きく頷いたので、そこは覚えている。
 そう、この「懐かしい」の思いは郷愁ではない。
 昔々、幼いほどに若かった頃、そして、青春という人生の傷つきやすく、しかし、目を上げてまたすぐに歩を進めることができた頃の、そんな季節の中に、いつも在(あ)った歌たち、メロディ。そして、それらはあの頃だけに在ったのではなく、現在(いま)も、力強く目の前に存在(!)していた。この力強さ!或いは、奇跡という言葉を使ってもよいかもしれない、この事実。その事実の中に居られる。何と、贅沢な時間だろうか。
 そういう時間の中で、歩いてきた道への思いと、その道を認めることが出来る。その道の中であった出来事の全てを、現在(いま)、肯定できる。
「そうだ、ラストの『浮世まかせ』のなかで、全部、肯定してくれるじゃないか」
 自身の道のりへ、ちょっと愛おしささえ沸く。それが、「懐かしい」という言葉になって生まれてきたのかもしれない。
 次第に離れていく富士をもう一度振り返り、そんな結論に達していた。
 
                         (2002/8/12)


【追記】猛暑!立秋を過ぎても、厳しい残暑。そして、ワクチン接種の長い副反応に苦慮した八月。(猛暑の中でのワクチン接種はもう絶対にしないぞ!副反応と夏バテが一緒にくる)
 しかし、あともう少しだ。もう少しで秋になる―と、毎年、秋の到来に焦がれ、そして、秋はなかなかやってこない地球温暖化。長い残暑―(泣)。
 けれど、8月25日になれば、『concert tour2022』の再開―東京都北区の北とぴあ。8月30日は千葉県市川市、9月1日は埼玉県川越市―。市川公演が一番早く8月25日がよかったなと、意味もなく呟く(笑)。いや、意味はある。市川公演は行かないから、夏バテからの立ち直りにもう少しの時間の猶予がある―という自分勝手な意味(笑)
 9月も残暑だろう。
 10月―今年の10月6日は1歳、年齢をとる(?)。前のブログで、もう誕生日は二年に一度、歳をとるのでよい―云々、馬鹿な事(笑)を書いた。でも、今年は、きちんと歳をとろう(当たり前だ!)、その日、生で、舟木一夫ステージを観ることができるというこんな偶然はそんなにあることではない、しかも、金沢という古都で…。
 そこを目指して、頑張ろう。(何だか、目指す時点、事象が無いと頑張れなくなった気がしなくも無い(笑)                 
                            (2022/8/12)