アボルダージュ!!

文芸及び歴史同好会「碧い馬同人会」主宰で歴史作家・エッセイストの萩尾農が日々の思いや出来事を語ります。

「舟木一夫コンサート~2021」in 長野

2021-10-19 | 世情もろもろ
十月十一日、一年のうちで一番よい季節…のはずだが、地球温暖化による気候変動のせいか、季節の個性が失われた。もう何年もそんな状態。そして、それは、年毎に顕著になっている。
秋であるはずのこの日、暑かった。季節外れの暑さの長野。
コンサート2021は、あと2公演だが、ここ、長野が「concert tour 2021」の終わり。10月27日に東京中野サンプラザホールで、「2021 concert final」が開催されるが、それは、特別枠に勝手に入れて、強引に(笑)そのように判断して、ここ長野が終着点と、自分勝手に決めた私(笑)。長野が好きだから、そうやって決めたかったのかも…。
もう何回か観てきているのに、胸が詰まった、心に染みるステージだった。
そこで、明るい答えを得た。

数日前、歌手の某氏が引退するという話題があった。
テレビのワイドショーの番組欄に、『〇〇引退』という文字が一行、私は、関心もなかったから、「ふ~ん」で終わった。テレビも見なかった。
その夜や数日後、友人HやTが、いくつかの〞怒〞 マークがついたメールやラインで、内容を送ってきた。
それで、私もちょっと〞怒〞の感情が駆け巡ったのだけど、そういう負(ふ)の感情は、それでなくても、コロナ禍で二年近くも痛めつけられた心にはマイナスになるので、知らんふりで通り過ぎるのが一番である。関心がある人物でもないし…と思ったけど、Tは新聞(スポニチ)、の小さな記事を切り抜いて、私に渡した。
因みに彼女の家では、新聞を二誌とっているので、そのうちのひとつがスポニチ、わざわざ買いに行ったものではない。
「別に切り抜く必要もなかったけど、内容を忘れるから切り抜いておいた」
という。ここが、年齢を経てきた悲しさ(笑)、そう、忘れる。

『年齢による歌声の衰えなどから(引退を)決断。「歌手には定年がない。ヒット曲を出し続けることが難しい今、昔の曲だけでズルズルと続ける人も中にはいる。これからの歌手の世界には定年のようなものが必要で、失うものがあったとしても、誰かが先陣を切らなければと思った」とコメントした。』(スポニチ記事一部)

 その短い記事のなかで、私は、非常に失礼な言い分だなぁ―と、某氏の主張を読んだ。
 テレビでは、80歳定年の言い分であったようだが、80歳を越して歌っている人はまだまだいる。アーティストには定年はないのだ。アーティストの定年は自ら決めるもので、誰かが先陣を切らなければならないものではない。
 非常に傲慢な主張だと思わずにはいられなかった。
『昔の曲だけでズルズルと…』―私は、「それのどこが悪い」と反論をしたい。
 歌手、俳優、そのほか、アーティストは人々が観て、聞いて、人々が支えて、長い道を歩いて行ける。人々は応援するその人の歌や映画や芝居、作品を目にし、耳にして、日々の中、それらを楽しみにし、励みにして、様々な出来事のある長い人生の道を歩き続けていく。結構長い人生の道、その終わりに近くなってきた時、若かった時に聴いた歌、観た映画に触れることができた。それもまた、長い道のりを歩いてきた人への天からの贈り物である。また、それを、その人の現在(いま)の声で聴くことができる、これは、至福の出来事である。
 そんなことを、激しく思った数日だった。

 舟木一夫コンサート in 長野―休憩を挟んで、第二部に至った。
「第一部で間違えた」
と、自己申告(笑)をした〞舟木一夫〞は、
「(この構成のコンサートを)ずっと、やってきたけど、一部は一度も間違えずに歌えなかった」
と、talkして、客席が笑う。
「5年後などはどうなっているかわからない」
「12月が来ると、77。18歳の時の声が77で出るはずがない。今できることを、これからもやっていく」―云々と、語った。
 そう声も身体も、体力も、何もかも変わってくる。変化を受け入れて、その時にできることを、その時の思いや心でとどける。アーティストに定年はないのだから―と、私は、大きく何度も頷いて、数日前のちょっと嫌な気分の話題を払拭する、嬉しい答えを得た気がした。
                                (2021/10/15)




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1 コメント

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Unknown (久保)
2022-02-26 09:51:24
萩尾さんの某氏な対するご意見、同感です。感動しました。
舟木さんにはある"お客さま"に対する思いを全く感じられませんでした。歌手は誰のために歌うのか、今の舟木さんは本当に歌が好きなんだなあ、"お客さま"を大事にしてくださってるという思いがコンサートで胸に響きます。
だから何回もコンサートに足を運んぶんですよね。
どんなに声が衰えようが最後まで舟木さんについて行きたいと思っています。デビューからのファンとして。

萩尾さんの言葉でスッキリしました。
ありがとうございました。

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