アボルダージュ!!

文芸及び歴史同好会「碧い馬同人会」主宰で歴史作家・エッセイストの萩尾農が日々の思いや出来事を語ります。

卵子の老化            萩尾 農

2012-02-15 | その他
「卵子の老化」という、ちょっと怖い…どころではなく、大変な事がある―ということを、初めて知った。
昨夜のNHK「クローズアップ現代」で放送された。

女性の出産年齢が上がっている。
それは、現代、社会において女性もいわゆる「腰かけ就職」ではなく、会社の一翼を担う、あるいは、仕事に生きがいを持つ―等々の就業形態が広がってきた故で、その事は、女性の地位向上で喜ばしい事ではあるのだが…。
学校を卒業して社会に出る、仕事をして、結婚後も勿論仕事を続ける、そして、ある程度の年齢になったら、子供を持つ―という人生設計を立て、その通りに時間は過ぎたが、子供がなかなか授からない。
それで、不妊治療に医療機関を受診したら、夫婦ともに健康体で何ら問題も無い。原因は「卵子の老化」と告げられ、愕然とする夫婦が多い―と、番組では言っていたが、視聴者の私も愕然とした。
卵子が老化する―などと言うことは、全く、知らなかった。いや、教育現場でも教えていない。
「避妊の方法ばかり教えられてきたが、卵子の老化は全く教わらなかった」
と、番組中で、ある女性は言っていた。
30代前半の彼女は、将来結婚をしても子供が出来なかったら、卵子が老化していたら―と危惧し、選んだ道は自分の卵子の凍結保存だった。
健康で元気な卵子を保存しておき、将来の出産に備えるということだ。
しかし、これで、出産につながるということは必ずしも言えない。この分野の医療はまだ、途中の段階である―云々、医療機関は回答していた。
が、それでも、この方法しかないのが現状とのことだ。
女性は生まれた時から(いや、胎児のうちから)卵巣に卵子を持っていて、卵子も年齢とともに年をとっていく、だから、卵子にも「妊娠適齢期」というものがあるという。
子供は25くらいで産むのが一番良い―と随分前に聞いたことがある。
高齢出産のリスクは医療が発達した現在、母親にはそのリスクは少なくなったかもしれないが、子供には、つまり、卵子にはリスクが高くなるということだ。
番組中、
「卵子が老化するなどと知らなかった。若いころの卵子を返してといいたい」
という言葉もあったけど、「卵子は老化する」ということは、若い世代、いや、その前の段階、教育の中で教えてこなければならない―との思いを新たにした。

「子供は何歳まで生めるか」
という質問に「45歳まで」と答えた人の割合が一番多かったという。
「生む」事はできるだろう。50代でも可能だろう。
けれど、その前段階の「妊娠」ができない人々が増えているのが現実であると番組は伝えていた。
SFの話のような卵子や精子の凍結保存―それらが日常の事になってくるのだろうか。
その前に、企業も社会も、女性が「妊娠適齢期」であるときに、子供を生むことができる環境を作ることが早急な問題ではないだろうか。産休育児休暇の制度はあっても形骸化している企業は大いに違いない。中小企業の場合は、人員はぎりぎりだから、出産やその後の育児で休暇を取ることは、そのまま、退職に繋がりかねない。人口減少のこの国の現状の中で、中小企業で働いていても産休などが安心してとれるような、そういう面の企業への国のサポートも必要だろう。

そして、男性も女性も、男の子も女の子も、
「卵子は老化する」
と言うことを、知っていなければならない。

【付記】ここまで書いて、卵子の老化について、ちょっと検索してみたら、昨夜の「クローズアップ現代~産みたいのに産めない」はかなりな反響があったことがわかった。
卵子の老化によるリスク、その他は、「卵子の老化」で検索すれば、調べる事ができる。