アボルダージュ!!

文芸及び歴史同好会「碧い馬同人会」主宰で歴史作家・エッセイストの萩尾農が日々の思いや出来事を語ります。

土方歳三と巡る人々 (その1)

2018-05-30 | 幕末関連
これは、つい最近、発刊になった自著(『群華(ぐんか) 土方歳三と巡る人々』)のタイトルの一部。

『群華』という言葉は私の造語。
『散華 土方歳三』の姉妹本のような存在なので、タイトルには『華』の文字を意識して、そうして、歳さんの周りの人々に想いを馳せたら、この言葉が胸底から湧きあがってきた。
表紙カバーは原野の群れ咲くアザミの花。
「か弱い野草ではなく、「独立」という花言葉のあるアザミに、それぞれの人物が自分の意思によって人生を歩んで行くというイメージ」で、装丁を考えた―『群華』のカバー、その他、装丁をしてくれた碧い馬同人会の同人だった高橋明生さんは言っていた。
私も、すっと一人立っている人々を表しているようで、幾つかのデザインの中から、アザミを選んだ。


その目次―。

凍る辺土に 
新選組心中 ―歳三の死― 
歳三の時間  
敬助の夢 
総司 戀ふたつ
斎藤一―五月の旅立ち
歳三のわすれもの
お梅慕情   
夜叉―新選組局長の妻 
鬼神
ひとこと 鬼神~愛しい戦士へ
土方歳三に恋焦がれ… 
願はくは花の下にて春死なむ―花影に寄せて―

…という風に、いろんな人々の物語を綴った。
そして、ここ、ブログに、タイトルしたのは、綴ったいろんな人々の一人に、なりたかったなぁ―と、自分で書いておきながら、妙な願いがあったので…。


5/18、函館に向った。
5/19、その函館での講演に招いて頂いた。
タイトルに冠したのは、「戊辰戦争150年」―函館では、いや、関東より北、会津などでは、「明治150年」などとは、決して言わない。
そして、私も、「明治150年」とは言わない。
徳川の時代の元号は、「慶応」で終わっている。
それで、現在、平成の世、その前は、昭和―それを、ずっと、慶応○○年で数えている幕末、特に新選組や徳川方を愛する人々もいる。そうなると、今年は慶応154年(?)。
私も、さすがに、慶応○○年―とは、いえないけど。
…で、講演のタイトルは、
『戊辰戦争150年 土方歳三の「物語」を紡いで』
―歴史研究ではなく、歴史の中の物語を書き綴ってきたので…。

以前は度々、訪れていた函館も、2014年以来だから、4年ぶり。
2014年の時は、廃線になる江差線に「乗らなければ!」と、強く思って、友人と訪れた。
久しぶりの開陽丸にも会ってきた。
…で、今年―。
日本は、縦に長い国だから、北海道とか九州とか、長さの先にある所に行く時は、数日前から、ネットで天候の確認をしている。
5/18の函館の気温、最高気温で7℃―東京28℃!
「やっぱり、縦に長い国だ」
などと軽口をたたきながら、薄手のコートを入れる。薄いセーターまで入れる。荷物が増えた。
当日、函館の天気を観る。「暴風雨」(!)。
同じく、早朝5:50に、ANAからメールが入っていた。函館、強風のため、天候調整―。
つまり、飛ぶか飛ばないか、わからない―ということ、13:00の飛行機であるのに、結論は、12:20とのこと、結局、羽田には行っていなくてはならない。
用事も有ったので、11:00頃には、空港に着いていた。
函館でなくても新千歳空港に降りてくれれば、そこから、函館へ、特急で3時間余―とにかく、その日の内に函館入りができる―と、思っていたのだけれど、12:20をまつまでもなく、掲示板に表示されたのは、新千歳空港へ着陸、あるいは、羽田空港に引き返す場合も有り―。
「!!」
引き返されたのでは、どうしようもない。
「地上で行く」―という選択をする。函館に降りられるかもしれないけど、新千歳かもしれないが、羽田に引き返しの可能性も有り―となると、確実に行くには「地上で行くしかない」と、講演主宰の五稜郭タワーさんの方でも、その選択をして、私も、地上を選択。
「北海道新幹線は、ガラガラだから席はありますよ」
ということだったのだけど、浜松町~東京駅新幹線口―と辿り着いてみれば、窓口は人が並んでいる、自動の券売機で、ピッピッと画面にタッチして、
「!!」
普通席が残席無し。立ち席特急券―って?
4時間半、立って行くのは不可能、グリーン車、こちらも無し。
残っていたのは、何だか、よくわからないグランシート席。
「名前からして、高そうだなぁ」
しかし、それしかないのだから、迷ってはいられない。そちらを購入。
グリーン車よりも高かった。普通席よりも一万円ほど高い。38800円!
確かに、そうだろうーと乗車してから、思った。
一両に18席しかない。ゆったりの席、揺れもあまり感じない。食事がでる、飲み物、アルコール類、次々と出てくる。おつまみ、おやつも…あり、至れり尽くせりの席だった。
東京から新函館北斗まで4時間半。

13:20に東京を発ち、新函館北斗に17:51到着。確かに、遠い。
けれど、函館まで行くのは、北海道新幹線の利用も良いなぁーと思った。
ただし、グランシート席で…。

至れり尽くせりのグランシート席で、途中、例の(?)、つまり、乗るはずだったあの飛行機は飛んだのだろうか―と、気になって、ネットでみてみた。
飛んでいた。
到着も函館空港に無事降りる事ができた、ただし、少し、遅れて…。
そうと、なれば、「搭乗すればよかった~」などと、思うかもしれないが、それは、なかった。
「羽田に引き返す可能性有り」―というリスクを冒すことはできなかったのだから、その悔いはない。

東京を発つ前日の5月17日、西城秀樹さんの訃報を聞き、大きなショックと悲しみが。
数年前に見た中野サンプラザでの「西城秀樹concert live」のステージを思い出し、悲しくて、心の底が泣いている。
そういえば、その時も、「最後に僕の一番好きな歌を」と言って歌った「ブルースカイブルー」。
聴きながら、私は、その時、涙ポロポロだった。かつての昔、私のものすごく苦難の時、この歌にどれほど、助けられたか―そんなことを思い出した。
新幹線の外は雨だが、私も一番好きなこの「ブルースカイブルー」が頭の中を巡っていた。胸の内に、少し、涙たたえながら…。

そうして、激しい雨の、夕暮れかけた函館入りをした。
                           (つづく)



『群華 土方歳三と巡る人々』は、五稜郭タワーで販売しています。(通信販売もあります)

五稜郭タワー

よろしくお願いいたします。


と、書いた後で、
「それなら、著者サイン入りがほしい人はどうするのだ」
と、スタッフから一言あり。
碧い馬同人会への申し込み方法をアップしてくれました。

碧い馬同人会