アボルダージュ!!

文芸及び歴史同好会「碧い馬同人会」主宰で歴史作家・エッセイストの萩尾農が日々の思いや出来事を語ります。

『舟木一夫、祝!六十周年!』

2022-02-17 | 世情もろもろ
 六十年―長い長い旅。
 その時間の後(のち)に〞到着〞した2022年1月19日、東京国際フォーラムAホール。
 長く続くコロナ禍(怒!)で、席の間を空けて(social distanceで)5000人収容のホールを4000人までの観客に制限して、完売。
『ソーシャルディスタンスだけど  満員御礼』という垂幕が、現在(いま)を語る(?)
 そして、青空。冬の青の濃い空が頭上に広がった。
「空も祝福!」
 奇跡のステージだった。
 いろんな意味を持った奇跡が、目の前に姿を現してきた、素晴らしいステージだった。
 内容や歌のタイトル、曲の順番などについては、ファンの方々が、自身のブログなどに綴り、公開してくださっているし、また、各報道でも掲載され、YouTubeにもupされたし、ここでは紙幅もないことだから、私は、そこについては、こっそり隠した原稿にでもそっと綴っておこうか…と。(さんざん言い訳して、結局、面倒なのだろうと、言われそう…)。
 ただ、ひと言―。
「『その人は昔』の組曲、40分以上、歌い切ったのは、圧巻!」
「素晴らしい!」
北国の情景が、風景が、まるで、自分の故郷のようにとても懐かしくなった。あの百人浜に打ち寄せる波を自分もみていたような想いが巡ったのは、不思議だった。それらは、『その人は昔』の、映画でみたその一つ一つの場面にちがいないのだが、まだ、青春前の自分もその1シーンの中に佇んでいたような、この目で見ていたような感覚になった。
歌の力、歌唱する人の想いと力、演奏する人々の、コーラスの人たちの、熱い想いや力量、それらすべての確かさ(!)が、あの40分余の間、私を、その空間に連れて行ったのかもしれない。すべてが、素晴らしかった、現在(いま)聴いた『その人は昔』という、そう55年も前の組曲、そして、今、ここに、居た、存在していた組曲(うた)だった。
40分余という長い時間、客席はシーンとしていた。誰もが、聴き入っている。
舞台も客席も含めて、この大きなAホールが、世情とは別の空間のようだった。
そういえば、この曲に限らず、全ての歌の、全ての時間を通して、世情から離れた異空間が、そこに在ったのだろう―と、そんな風に思える

 そして、2月9日。Concert tour 2022のスタート。東京葛飾シンフォニーヒルズ。
 翌日の2月10日の東京は、大雪の気象予報。
 しかし、このconcert tour2022の出発は、三週間前と同じに、抜けるような青空。
「明日の東京は大雪、今日でよかった~」
 と、笑顔の〞舟木一夫〞―。
「お日様に拍手」と続けた。私も、思わず、空への拍手。

『その人は昔』のテーマ部分(?)は、この数年のステージでは、必ず、その構成に入っていた。
「その人」ということについて、〞舟木一夫〞は、
「どの人にも、その人はいる。それが、親だったり、友であったりもする」
と、この曲が、必ずといってよいほど、ステージの構成の中にあるようになった頃、そう語っていた。
 けれど、concert tour 2022のスタートのステージに、その歌はなかった。
 国際フォーラムのステージで、歌い切ったのかもしれないと思った。
「卒業したのかな?」
と、ふと思ったりした。
 Concert tour2022の構成には、三週間前の国際フォーラムの構成にはあった大好きな『恋唄』がなかったことが、少し残念だったが、その残念を吹き消してしまう力溢れたステージだった。
〞舟木一夫〞はどのように表現してよいかわからないほどに素晴らしかったが、バンドの人々も、「とても幸福そうで」素晴らしかった。
 私は音楽はしろうとだから、自分の感覚や気持ちのままに述べるが、みんな、幸福だと思った。心が満たされている、そんな心が、メンバーの表情から感じられる。
「ありがとう!」
 私はいつも、バンドの人々へ、コーラスの女性たちへ、そして、〞舟木一夫〞へ、拍手をおくる。拍手、それしか、讃える手段がないから、いっぱい拍手をする。
 歌う人、演奏する人々―本当に、1チームのステージ。それを私は何年も観てきて、そうして、この先もまだ観ていけるようだ。
 外はコロナ禍の腹立たしい状況、ふいと心が折れてしまうような現象、出来事もいろいろあるが、ここには、ひどく幸福な時間が流れている。その時間を齎(もたら)してくれる『舟木一夫』という男(ひと)に、そして、バンドメンバーの人々に、コーラスの女性たちに、この時間に関わるスタッフに、あらゆる人々に、concert tour2022のスタートの日に、いっぱいの「ありがとう!」を言いたかった。

 60年―人生の大半…などはとっくに越した、長い時間。
 昔っぽく(?)言えば、「老境に入る頃?」―しかし、老境どころか、そこに、幸福を見つけた。人生をこんなに遠くまで歩いてきてしまったというのに、そこには、まだ、幸福が在った。バンザイ! ありがとう!
 60周年―こういう空間を創り出せる、それは、もう奇跡である。
 そして、奇跡は、想いと、心と、人のまごころが生むものだと、こんなに遠くまで来た現在(いま)、あらためて知った気がする。

 60周年スタート、おめでとう!
 心より、おめでとう!!
                             (2022/2/10)
 

「追記」…と書いてきたけれど、upが遅くなって、本日は、そのconcert tour2022の二日目、たしか浜松での公演―。みんな、頑張って!! 
                            (2022/2/17)