Go straight till the end!!

世界一周の旅の思い出を綴っています。
ブログタイトルは、出発前に旅日記の表紙に書いた言葉です。

(120)バールベック(レバノン)

2010-11-18 23:59:15 | シリア・レバノン・ヨルダン
 レバノン滞在3日目、トランジットビザの為この日のうちに出国しなくてはならない。
 シリアに戻る前に、レバノン最大の観光名所、Baalbeck (バールベック)(世界遺産)に立ち寄ることにした。

 ここは、Beirut (ベイルート)の北東86km、ベカー高原の中央にある(バスで所要2時間)。

 Palmyra (パルミラ)の入場料がただ同然の値段だったので、バールベックの入場料約700円(当時)が非常に高く感じられた。シリアとレバノンの物価の違いだろうか。



 バールベックは世界でも有数のローマ神殿跡で、中東・ヨーロッパの人々にとって人気の観光地となっている。毎夏に中東・ヨーロッパの芸術家達を招いてバールベック・フェスティバルが開催されている。

 バールベックとは、【ベカー高原の主神】を意味する。
 元々フェニキアの豊穣の神バール(ハタド)が祀(まつ)られていたことにに由来すると考えられている。

※バールとはセム語【主】を意味し、元々カナン地域を中心に崇められた嵐と慈雨の神。旧約聖書では悪魔扱いされている(異教徒の神だった為)。
 
 後に、ギリシア・ローマ系の神々と習合し、祭神はジュピター(天地を創造する最高神)、ビーナス(愛と美の女神)、バッカス(酒神)になった。
 この三神を祀った三つの神殿から成っている。

 バールベックは、ローマ帝国の手によって紀元1世紀頃から神殿が築かれていったと考えられている。
 その後、312年にコンスタンティヌス帝(272年~337年)がキリスト教改宗したことにより、異教徒の神殿であるバールベックは破壊され続け、教会へと役割を変えた。
 7世紀にアラブ人の手に落ちてからは、要塞都市として機能したらしい。

(写真は、バッカス神殿の入り口)



(同じくバッカス神殿の内部)



 バールベックで有名なのは、トリリトン(驚異の三石)と呼ばれる3つの組み石だ。

 ジュピター神殿の名残(なごり)として残ってる6本の大列柱(柱の高さ20m・直径2.5m、かつては54本あり神殿を支えていたらしい)の基壇にある土台の石なのだが、長さ18m・幅4m・高さ4m、重さ650トン~970トンという巨石で、建築物に使われた切石としては世界最大を誇る。

 この近辺にも南方の石と呼ばれる巨石(重さ2000トン)が存在するのだが、現在の技術ではこれらの巨石の運搬は不可能らしい。

 太古の昔にどうやってこれらの巨石を運搬したのか、今だその技術はと言うのが面白い(人力の場合、数万人規模の労働力が必要らしい)。

※地図はこちら