中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

職場復帰支援⑦

2017年08月02日 | 情報

Q⑥:職場復帰の判断基準が、わかりません。具体的に教えてください。

A⑥:まず、ご理解いただきたいのは、職場復帰させるどうかは、会社側の権限です。
職場復帰を望む当事者は、職場復帰する権利を保有しますが、決定権は、あくまでも会社側にあります。
ですから、場合によっては、復職を認めない、あるいは、就業規則に則り、休職期間満了で退職となることもあります。
さて、職場復帰させる判断基準は、これまで述べてきた考え方を具体化するものです。

職場復帰支援③で紹介した、「お父さん型復職制度」と「お母さん型復職制度」については、再度の説明は不用でしょう。
問題は、その間の、職場復帰支援制度を規定する考えの場合です。
厚労省が発行した、職場復帰支援の手引き(P6)には、職場復帰の判断基準(例)として次のようなものが上げられています。
(1)労働者が職場復帰に対して十分な意欲を示している
(2)通勤時間帯に一人で安全に通勤ができる
(3)決まった勤務日、時間に就労が継続して可能である
(4)業務に必要な作業ができる
(5)作業による疲労が翌日までに十分回復する
(6)適切な睡眠覚醒リズムが整っている、昼間の眠気がない
(7)業務遂行に必要な注意力・集中力が回復している

 結論です。職場復帰可否について定型的な判断基準を示すことは困難です。
会社規模や経営方針、業態、人員構成など、個々のケースに応じて総合的、合理的な判断を行わなければなりません。
これでは、曖昧ではないかという場合には、
会社の始業時間に間に合うように、「定時」に起床できているか、でしょう。 
上記職場復帰の判断基準(例)の(6)であり、復職希望者が提出した「生活記録表」により確認します。

ですから、独自の職場復帰支援制度を規定し、
予め設置した職場復帰判定委員会にて、議論の上、総合的、合理的、かつ公平性を意識して判断することが肝要です。
なお、職場復帰支援制度は、就業規則の別則として規定し、柔軟に制度変更できるようにしておくことも大切です。
本来であれば、「しっかりとした職場復帰支援制度」を規定するのが最善ですが、
中小規模の企業に「しっかりとした職場復帰支援制度」を規定しなさい、と進言しても
現実的には、予算、人員等の理由により、具体化するのは難しいと言わざるをえません。
何よりも制度運用に苦労します。
現実的なアドバイスとしては、「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」という
新たなハードルができましたが、はじめて取り組む場合には、上述した「お父さん型復職制度」の導入を推奨します。


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