産業医の先生については、繰り返し必要性、重要性について述べてきました。
50人以上の事業所については、法令で産業医の選任が義務づけられていますから、
当然に、産業医を委嘱しているものと思いますが、その産業医の先生に満足していますか?
というのが、本日のテーマです。
とりあえず、労基署に届出するためだけに、産業医の名前を借りる場合は、
産業医の資質に何らこだわる必要はありませんが。
(これは、実態を踏まえた上での記述ですから、本来はあってはならないことです。)
わが社が契約している産業医の先生は、どうも思うような活動をしてくれない、等の不満がありますね。
これは、産業医の資質、考え方にも原因はあるでしょうが、最も大きいのは、
会社と産業医とが、どのような契約をしているのか、はっきりしないという問題です。
具体的な契約内容がはっきりと決められていない、「月に1回来社してください」という漠然とした契約では問題です。
産業保健スタッフや人事労務担当は、産業医にどのようなことが依頼できるのか、
産業医からみれば、どのような支援、助言、活動をすればよいのか、お互いに多くの疑問を抱えたままの
産業保健活動になってしまうからです。
ですから、はじめに詳細な活動内容を、はっきりと記載した契約を取り交わしましょう。
予算に限度があるなら、予算の範囲内で優先順位をつける、依頼事項がはっきりしているなら、
依頼事項を明確にして契約する、これが出発点です。
産業医の資格を得るためには、一定の研修を履修しなといけないのですが、座学と実際は、異なるものです。
ですから、産業保健スタッフや人事労務担当は、産業医に、御社の業務内容、経営方針、
従業員の健康情報、優先される問題点と課題等をしっかりと伝えることが大切です。
産業医は、医療については、知識と経験が豊富ですが、企業活動の実態についての知識は、
殆どないのですから、「解っているだろう」という勝手な思い込みは慎まなければなりません。
最後に、医師には、高度の倫理性が求められており、産業医というような社会貢献活動には
熱心に取り組んでいただいていることは事実です。その証拠に、産業医としての報酬は、
臨床活動よりはるかに低額と聞いています。
しかし、どうしても現在の産業医には「満足できない」ということであれば、
勇気をもって契約解除することを検討してください。