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■jobin.個展「てをとめて」 (2013年9月27日~10月6日、札幌)

2013年10月05日 01時01分01秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 会場に入った瞬間、幸福な気分に満たされる展覧会がある。
 札幌で、モビールなどによるインスタレーションをおもに制作・発表しているjobin.(じょびん)さんの個展は、そんな展覧会だ。

 jobin.さんは、このギャラリー門馬アネックスの設計を担当した建築家の赤坂真一郎さんを知っていることもあり、この会場での発表には、気後れしていたという。その気持ちを耳にはさんだオーナーの大井恵子さんが、やってみたらと背中を押して、ここでは初の個展となった。
 ふたをあけてみると、まるでjobin.さんの個展のためにつくられた空間であるかのように、会場と作品とがマッチしている。
 これまでも、この会場にぴったりという個展は数々行われてきたが、jobin.さんの発表も、そのひとつであることは間違いない。

 あんまり言葉を費やしても仕方ないんだけど、まず、白い壁や天井と、jobin.さんが無数につるした綿の雲との相性が抜群だ。
 そして、それらの雲や、舟などが、吹き渡る風でゆらゆらと揺れる。
 細長い空間なので、風が通りやすいのだ。
 これは筆者の感覚だが、jobin.さんは、広大なスペースにどーんと大作を据え付けるタイプというよりは、決して広くない空間を効果的に生かす術にたけていると思っている。そんな彼の作品世界に、これほどおあつらえ向きの会場は他にはないだろう。

 この会場では、海と空が、同じようなものになっている。
 海と空が同じというのは、理屈ではなくて、感覚でそうなんだと思っちゃうものなのだ、きっと。
 窓には積み荷のようなものが置かれ、荷役作業に用いるクレーンが船着き場を思わせる台に取り付けられているのが、左の画像からわかるだろう。
 それらを見ていると、筆者は、長い航海を終えて港でほっと一息ついている童話の中の登場人物みたいな気分になった。波の音や汽笛が聞こえ、潮風が吹きすぎるようだ。みなさんは、どうだろうか。

 静かな世界に、Anokos/佐々木隆介さんがこのために制作した音楽が、静かに流れる。




 会場奥のバルコニー。木の枝からも雲や舟がぶら下がる。
 木の葉や小さな虫がお客さんだ。


 さて、版画家のI さんから聞いた話だが、個展は表向きは午後7時までとなっているが、jobin.さんはその後も会場にいて、暗くなると、それぞれのパーツに小さなあかりをひとつひとつともしていくという。
 昼や夕方とはまったく異なる、幻想的な世界が広がるのだろうか。

 最後の画像は、わざとホワイトバランスを変えて、まるで海の底のような色合いにしてみました。

 いずれにせよ、jobinn.さんのモビールは、風に揺れるというのが肝心なところなので、写真ではその良さを伝えきれない。
 週末、お時間のある方は、どうぞ足を運んでください。


2013年9月27日(金)~10月6日(日)午前11時~午後7時以降(最終日~5時)
ギャラリー門馬ANNEX (札幌市中央区旭ケ丘2) ※地図と公共交通機関の説明は、この記事の一番下にあります


□じょびんらぼ http://jobin55.jimdo.com/


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・地下鉄東西線「円山公園」駅バスターミナルから、ジェイアール北海道バス「循環10 ロープウェイ線」に乗り「旭丘高校前」降車、約130メートル、徒歩2分
・「円山公園」駅バスターミナルから、ジェイアール北海道バス「円13 旭山公園線」に乗り「界川さかいがわ」降車、約500メートル、徒歩7分
・「円山公園」駅バスターミナルから、ジェイアール北海道バス「桑11 桑園円山線」「円11 西25丁目線」「循環11 ロープウェイ線」に乗り、「啓明ターミナル」降車、約800メートル、徒歩10分

・地下鉄南北線「中島公園」「幌平橋」から、ジェイアール北海道バス「循環13 山鼻環状線」に乗り「旭丘高校前」もしくは「南11西22」降車

※駐車場もあります。帰路は、旭丘高校前で良いバスの便がない場合、階段を下りて「南11西22」までいくと、休日の日中で1時間に5、6本のバスがきます(ただし、行き先は、円山公園駅、中島公園駅、都心とバラバラ)。


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