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■第10回 二科(絵画)北海道支部展 (20日まで)

2010年04月20日 00時00分08秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 団体公募展の中で、一般の知名度という点では、日展と並んでダントツの二科展。
 道内の支部展は意外と歴史が新しく、今年が10回目。それを記念してか、これまで賞を得た作品も、同時に展示されています。
 会員や会友、出品者が、十勝や室蘭など各地に散っているため、支部展とひとくちに言っても、開催にはいろいろ苦労があるのだと推察されます。

 筆者は支部展をほぼ毎年見てきました。
 会場で会友の方に、10年間の変化について問われました。
 二科展というと、華やかで甘いイメージがあるのですが、10年たって、落ち着いた色調の絵が多くなってきたように感じます-という意味のことを答えました。
 実際、ことしの出品作に、ピンクやレモンイエローといった色はほとんど見当たりません。
 静物画にしても、ふわふわした雰囲気はなく、明度を控えめにした重厚な作が並んでいるように思えます。

 冒頭の画像、左側に2点並んでいるのは中田さんの作。
 非常に似ていますが、かなり細かいところまで神経をつかっています。
 すぐ分かるのは中央部の百合の花の周囲の色ですが、左側のカップも、片方は写実的な角度で、もう片方はキュビスム的な角度で描くなど、微妙な描きわけをしています。




 左は柴崎さんの作品。
 3階にも旧作が展示されていましたが、そのころの作品が、おびただしい船を鋭い描線で描いたものだったのに対し、近作では船が姿を消し、一見写実的です。しかし、刃物を思わせる鋭敏な直線は健在で、画面をきりっと引き締めています。

 飯田さんの作品は考え抜かれた構図が特徴だと思います。




 大築さんの静物画も、以前は二科展らしい華やかな雰囲気に満ちていましたが、近作では、鮮やかな色を黒で塗り込め、重厚な画面になっています。




 右から、田中睦子さん、園田郁夫さん、熊谷邦子さん。ベテラン3人の作。
 田中さんは抽象です。幾何学的でシンプルな画面で、最小限の構成要素からなっています。

 園田さんは、砂漠の女性などを題材としたエキゾチックな作品が多く、今年のような絵は珍しいです。菰(こも)? の下に人物が横たわっているさまを、直線を生かして描いています。
 熊谷さんは、動物や裸婦などを配した、北海道らしい作品を描き続けています。


 図録に掲載の出品作は次の通り。
 なお、図録に記載はないものの、飯田由美子さんの小品「花」も展示されていました。

◆会員
園田郁夫(十勝管内芽室町)北の詩(F50) 
田中睦子(網走管内遠軽町)風景(F10)

◆会友
熊谷邦子(札幌) 森の妖精(F100) 
柴崎康男(伊達)海明け(ウトロ) (F80)
  ※船溜り(F100)=76回二科会特選
飯田由美子(札幌) 夏よぶ鳥 (F100)
  ※夏よぶ鳥 1997(F100)=82回二科展特選
大築笙子(室蘭) 窓(F100)
  ※サボテンと女(F100)=88回二科展上野の森美術館賞
  花と人形(F8)

◆一般
新井千鶴子(札幌) 楽しい空間(F100)
  ※楽しい空間2008(F100)=93回二科展特選
山田美代子(札幌) 春の音A(F100)
  春の音B(F100)
三浦ミツヱ(胆振管内平取町) 少年~青年へ~(F100)
  夕暮れ、それぞれの想い(F80)
  花(SM)
中田登(札幌) 絵の中の絵(F100)
  ART in ART(F100)
  母子(F20)
平井久美子(札幌)創世記II(F50)
  創世記III(F80)
  朱夏(F10)

◆支部所属
北田弘美(室蘭) ケニア(共存)(F80)
佐々木治子(札幌) 黒法師の花1(F80)
  黒法師の花2(F80)
  薔薇(F10)


2010年4月15日(木)~20日(日)10:00-6:00(最終日~4:30)
大同ギャラリー(札幌市中央区北3西3 大同生命ビル3階 地図A



□二科会 http://www.nika.or.jp/

第9回二科北海道支部展(絵画)
※以下、画像なし
第8回(2008年4月)
第7回
第6回
第4回(3月21日の項)
第3回
第2回(16日の項)
第1回(16日の項)

※中田さんが出品
North_Khaos展(2009年11月)


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