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■第8回二科北海道支部展 (絵画)=4月22日で終了

2008年05月14日 23時29分49秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 古い歴史を誇る公募展の二科展。戦争直後に、「行動展」「二紀展」と三つに分裂し、さらに岡本太郎ら有力作家の脱退などもあって、画壇における位置は戦前ほどではありませんが、いまも一般の知名度という点ではダントツです。
 道内の絵画部の会員、会友、一般出品者は毎年春に札幌の大同ギャラリーで展覧会をひらいています。
 上のフロアに、各作家の花の絵がならんでいました。華やかでまばゆい色彩は、いかにも二科という甘い雰囲気です。
 ただし筆者は、いかにも二科会的な絵よりは、重々しい絵のほうが個人的には好みなので、どうしてもそういう作品のほうに目が行ってしまいます。

 以下、目を引いた作品を順不同で。

 大築笙子「窓」(同題2点)
 ビルや団地の並ぶ都市の風景を思わせる矩形が不規則に連なる暗い地に、人の顔のようなものが浮かぶ窓が描かれる。現代的な薫りと「生」の焦燥感のようなものが感じられる。

 熊谷邦子「ハイランド」
 画面中央にクマやフクロウなどが彫られた大きなトーテムポールがそびえ、その前に、黄色のタンクトップを着た白髪の女性がひざをかかえてすわっている。フラミンゴの列が3列、画面を左右に横断している。ポールの頂点附近には大きな太陽。空は中間色だ。これまで作者が何度か取り組んできたモティーフと大同小異ではあるが、色彩はますます絞られ、枯れた色調になっていることが目を引く。

 小林優子「待つ」
 はがきには名前がないが…。
 大きなガラス張りのロビーか喫茶店で、女性が横向きに、テーブルにすわっている。窓の外には満開の桜。ややドラマめいた道具立てだが、画面中央を縦に走る茶色の窓枠がぐっと画面を引き締め、わかりやすい構図になった。

 北田弘美「彼方の水音」
 同時出品の「祈り」などには、昨年のなごりというか、ばらばらになりかけた人間像のモティーフが残っているが、この作品は水色のとげとげした矩形の連なる、ほとんど抽象画である。画風の転換期なのだろうか。

 田中睦子「初雪」
 二科会のサイト(下にリンクあり)によると1925年生まれとあるから大ベテランだ。どういう理由で北海道に越してきたのかは知らない。白と茶で知的に構成された抽象画。

 園田郁夫「遊牧の民」
 田中さんとともに、道内では2人だけの会員。1930年生まれで、十勝のベテランだ。今回も女性やラクダなどで構成したエキゾチックな作品だ。

 柴崎康男「船のある風景」
 マリンブルーや白、緑、黒の乾いた直線が躍る独特の画面。


08年4月17日(木)-22日(火)10:00-18:00(最終日-17:00)
大同ギャラリー(中央区北3西3、大同生命ビル3階 地図A

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第4回(3月21日の項)
第3回
第2回(16日の項)
第1回(16日の項)
 =以上すべて画像なし

□二科会 http://www.nika.or.jp/


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ご来場有難う御座います (中田登)
2008-05-17 18:11:04
ご多忙の折、ご来場を頂き貴重なご意見有難う御座います。
より研鑽し知名度ある二科会所属で有りたいと思います、当サイトの掲載(二科HPなども)を北海道支部会で報告します。
次回もご来場頂きます様お待ちします。
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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2008-05-17 21:16:10
中田登さん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
アップが遅くなったことを、おわびいたします。

中田さんは、花を描いた小さなキャンバスをたくさん画面に入れた絵で、道展でも入選なさっている方ですよね。
これからもよろしくお願いいたします。
返信する

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