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■第7回二科北海道支部展(絵画) (4月24日まで)

2007年04月24日 07時02分25秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 日展と並んで、全国的な知名度はきわめて高い二科展。
 昨年秋の東京・上野の展覧会に「天皇・皇后両陛下がおいでになった」というニュースを見たほどで、そのときの写真のコピーが、この会場にも貼ってありました。
 ただし、例年書いているとおり、こと公募展に関していえば、道内は「独立王国」とよばれ、道内からの出品者はかならずしも多くありません。

 道支部展は毎春、大同ギャラリーの上下両フロアを用いて行われています。
 「絵画」とうたわれているのは、二科にはほかに彫刻、写真などの部門があるからです。

 それでは、今回目についた絵。
 澤田和子さんの作品が印象に残ったのは、これが初めてだと思います。
 右側の「A」は、白い絵の具の重なりが美しい。油絵の具の透明な特性をいかしています。
 「A」「B」とも、画面の下方に、家とも人物ともつかぬかたちが黒の味わいある線でいくつも描きこまれているのがユニークだと思います。

 柴崎康男さんは例年、題材こそ船団ですが、鋭い線を画面に力いっぱい往復させることで運動感あふれる絵を出品しています。
 昨年までは船のマストを強調した、縦線の多い絵でしたが、ことしは一転して、横線が圧倒的に多いです。船のへりや緑色の喫水線を、画面作りの要素にしています。遠景は船の群れがなく、茶色の防波堤と藍(あい)色の海が描かれ、画面を息苦しさから防いでいます。

 大築笙子さんは、街並みから材を得ているのでしょうか。
 白を基調に、黒やクリームの矩形が重なり合い、ほとんど抽象画です。

 ベテラン園田郁夫さんは、例年通りのエキゾチックな作品。
 右の女のベールが、真っ黒く平たんに塗られているのが特徴的です。具象的な、モティーフの多い画面なので、この処理はかえって効果的だと思われます。

 熊谷邦子さんもベテラン。
 縦長の画面の上方に灰色の裸婦を横たえさせた特徴ある構図で、以下、上から、大きなオウムガイや、イソギンチャク、魚群などが描かれています。色合いはむしろ鈍く、海の底という題材にしては華やかさにとぼしいのですが、それがかえって幻想性を高めているといえるのかもしれません。

 昨年、この展覧会に初登場した田中睦子さんは、ことしも白、茶、黒からなる、純粋な幾何学的抽象。
 昨年のようなひび割れがなく、下地の色もわかりません。

 北田弘美さんは、細胞がひび割れてたくさんの色をはらんでいる-とでも形容すればよいのでしょうか、解体しそうなふしぎな人間像を、「コンクリートジャングル」で表現しています。
 こういう絵って、わりと好きなんですよ。周囲や社会への疑問や不信みたいのが、表現の出発点にあるように感じられ、作者の気合いがつたわってきます。
 地は灰色。背景のビル群も骨組みみたい。なんだか、おなじ二科の大彫刻家、淀井敏夫さんの作品を思い出しました。
 
 というわけで、なぜか印象的な絵は、下のフロアに集中していました。 

 出品作は、次のとおり。
澤田和子   「時のひずみ」(同題2点)
柴崎康男(会友)「船のある風景」
大築笙子(会友)「窓」(同題2点)
園田郁夫(会員)「モロッコ紀行」
熊谷邦子(会友)「ヴィーナス誕生」
田中睦子(会員)「風景」
北田弘美   「コンクリートジャングル」「浮游」「飛べない心」
平井久美子  「神話」
中田登    「ART in ART」「花の生涯」
新井千鶴子  「白いテーブルA」「白いテーブルB」
飯田由美子(会友)「夏よぶ鳥」(同題2点)
高橋記代美  「マリオネット I」「マリオネット II」
山田美代子  「想春A」「想春B」
三浦ミツエ  「大地への道」「少年から青年へ」


07年4月19-24日(最終日-16:30)
大同ギャラリー(中央区北3西3、大同生命ビル3階 地図A

第6回(画像なし)
第4回(画像なし。3月21日の項)
第3回(画像なし)
第2回(画像なし。16日の項)
第1回(画像なし。16日の項)


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