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■木村富秋展 (9月6日まで)

2008年09月05日 01時12分14秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 独立美術会員、全道展会員であり、ことし最終の展覧会を道立近代美術館で開いたばかりの「ACT5」メンバーでもあった札幌の画家木村富秋さん。
 いま挙げた場での発表はさかんに行ってきていますが、意外なことに、札幌時計台ギャラリーでの個展は3年ぶりとのことです。

 筆者は、あくまで印象で物を言うのですが(すいません)、ここ何年かで木村さんの画風は、どんどん抽象に近づいているように感じます。
 数年前までは、人間の他に鳥が描かれ、周囲の風景などもなんとなく分かる場合が多かったのですが、今回会場に並んだ作品を見ると、デフォルメされた人物の形象だけがかろうじて画面を抽象の岸へと追いやるのを防いでいる-そんな感じを受けます。

 また、今回は小品が中心の展覧会ですが、原色に近い色を大胆に使った絵が何点かありました。
 木村さんの作品の特徴は、筆者の感想ですが、躍る線のリズムと、中間色の絶妙な配置にあったと思います。それが、「流れ唄」(冒頭画像の手前)などは、ラウル・デュフィをほうふつとさせる、まばゆい赤を全面に取り入れています。しかし、さすがにうるさい感じはありません。
 また、そのとなりの「夏の光」は、まるで青と白の滝の手前に彫像が置かれているようです。

「小品ではできても、大作ではなかなか明るい色は使えないね」
と木村さんは話しておられました。
「絵は、明暗、線、空間処理、マチエールなどトータルだから」
 言われてみれば木村さんの絵は、どれかに偏することなく、すべてに意を用いています。




 全道展出品作で、この会場では唯一の大作である「流れ唄」。
 会場で見た時はもう少し明暗のメリハリがついた絵だったんですが…。写真ってむつかしいですねー。どうも申し訳ありません。
 複雑な色の配置や飛び回る線。見ていて飽きることがありません。
 2人の人間が画かれていますが、手前の、立て膝で坐る人は、足先などが省略されて下半身はさまざまな色で塗りつぶされています。また、背後の横たわる人も、顔、上半身、下半身がバラバラにされています。
 木村さんの絵で最後に残された具象物である人間も、ほとんど解体にひんしています。 


 「流れ唄」以外の出品作は次の通り。
赤い海(F12)
水辺(F20)
海風(F8)
10月の朝(F10)
空(F20)
公園にて(F15)
岬(F30)
夏の光(S20)
流れ唄(F30)
風の日(F6)
ポプラの下で(F20)
鳥よせ(F6)
海色のシャツ(3M)
夏の日(SM)
鳥のかたち(SM)
九月(アクリルボックス)
湖(F3)
鳥を放つ(F4)
室内(F4)
歩きだす私(F30)
デッサン(流れ唄)=2点 


08年9月1日(月)-6日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A


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