札幌の若手2人による4プラホールでの展覧会もこれが5年目。
この会場は美術展専用ではないのですが、なんだかすっかり「佐野・富樫といえば4プラ7階」と定着してしまったみたいな印象があります。
佐野さんは洋画、富樫さんは日本画とイラストレーションで、画風も異なるのですが、とてもすんなりとまとまった会場になっています。
冒頭の画像、左側は、富樫さんの「waiting」。
ここ何年か、富樫さんは、森や野原と少女-という、簡素な構成による作品を何点か手がけています。どこか絵本の挿絵のような叙情味が漂います。
右側は佐野さんの「ポポロンの通り道」。
2枚組みです。
これまで佐野さんは、女性などをメーンのモティーフとしつつも、背景にも絵の具のしぶきをまき散らすなど、画面全体の空気感のようなものにも意を用いていましたが、今回の出品作は、人物が消え(あるいは薄く描かれるだけで)、抽象的なものが大半になっています。
さて、富樫さんの絵で、今回いちばん印象に残ったのは、右の絵。
「samsara」です。
題は、「輪廻」という意味だそうです。
青い平原にたつ観覧車。弧を描いて続いていく藍色の道。路傍の野草と花。そして天にかかる上弦の月。
夜明けがたに見た夢のような、しずかな世界です。
「最初は道に、親子を描いてたんですが、消しました」
富樫さんはここ数年、支持体に、洋裁品店で買った、模様の入った布を用いることが多いです。
この作品も、写真では見づらいと思いますが、布の全面を覆う文様がアクセントになっています。ちょうど、かな書で、料紙の装飾も作品の一部になっているのと、似ているかもしれません。
「装飾」は、近年の現代美術でちょっとした注目のキーワードになっているといわれています。富樫さんの作品も、20世紀までの洋画が排除してきた、そして、日本の絵画が元来有していた「装飾性」をさりげなく取り入れているといえそうです。
佐野さんも展示や支持体には工夫をこらしています。
左側、天井から中空につるしている2枚組みは「morning light」。
最初は、絹かと思いましたが、なんとカーテンロールとのこと。
白くつややかな布にちりばめられた絵の具が、朝の光と空気感を表現しているようです。裏側にまわって見ることもできます。
右側は「Lucky Star」。
水色の画面に、鳥や人物などが配されています。
この写真には写っていませんが、手前には、低い台の上に小品を陳列していました。
ちょっとインスタレーションっぽい空間になっています。
また、白を基調に、黄緑やピンクの絵の具を散らした「ハルメリア」も、印象に残りました。よく見ると、チョウのようなものも。
人物が後景に退いたり、消えたことについては
「そんなに深く考えてないので…。また描くかもしれません」
と佐野さん。
会場では、ポストカードのほか、富樫さんが生んだキャラクター「おやじちゃん」の缶バッジも1個100円で販売しています(そういえば、今回は、富樫さんのイラスト的な作品はあまりなかったですね)。
富樫さんは「おやじちゃん」をPRするフリーペーパーを制作したほか、現在(4月12~17日)、東京の「ギャラリー ユニグラバス銀座館」で開催中の「ユニグラバス小品展」にも出品しています。
2010年4月10日(土)~18日(日)
4プラホール(中央区南1西4 4丁目プラザ7階 地図B)
□taeko展 http://taekopage.at.infoseek.co.jp/
□はるかはる http://harukaharu.fc2web.com/
■佐野妙子 富樫はるか2人展(2009年)
■佐野妙子 富樫はるか2人展(08年3月)
■佐野妙子 富樫はるか2人展(06年)
■佐野妙子展(2009年12月)
■500m美術館(2008年11月)
■第4回法邑ギャラリー大賞展(2008年7月)
■佐野妙子油彩展(2007年、画像なし)
■panorama(2003年、画像なし)
=以上佐野さん出品
■富樫はるか個展(2008年9月)
■とがしはるか「おやじちゃん」が出ました
■北海道教育大学日本画教室展(04年、画像なし)
■札教大卒展(04年。画像なし)
■にかわ絵展(04年。14の項。画像なし)
■aoiro 富樫はるか・日本画とペン画(02年。29日の項目、画像なし)
■にかわ絵展(03年、画像なし)
=以上富樫さん
画像も載せていただき嬉しい限りです☆
昨日、無事に最終日をむかえました。
いろいろボロボロですが、次は「北の日本画展」に向け気合い入れて描きます!
なんか、すっかり恒例行事になりつつありますね。
「北の日本画展」、すぐですね。
楽しみだにゃあ。
来年も6回目ができるようがんばります☆
学校を卒業して社会人になって、それでも創作を続けていくって、タイヘンなことだと思います。
ムリせず、がんばってください。