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■第4回法邑ギャラリー大賞展 (7月13日で終了)

2008年08月05日 21時25分28秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 ことしの受賞者はつぎのとおりです。

◆大賞
  戸田  遥(油彩)
◆優秀賞
  佐藤史子(日本画)
  石井  誠(版画)
  森谷有沙(油彩)
◆奨励賞
  小杉千賀子(水彩)
  清武  昌(油彩)
  岡野郁子(版画)
  山木尚美(油彩)
  川口巧海(版画)

 全作品が平面の小品で、若い出品者が多いということ以外には、とくに傾向のようなものはないので、審査の結果とは別に、目についた作品について述べていきます。

 まず冒頭の画像の中央が、戸田さんの「タネリ」です。
 もじゃもじゃと毛むくじゃらの人物がふたりならんで立っている、ふしぎな絵です。
 この題から思い浮かぶのは、宮沢賢治の童話「タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった」です。
 この童話は、ホロタイタネリが自然と交歓するさまを描いており、賢治の初期作品に特有の、魔的というか超自然的なものの存在を色濃く感じさせて魅力的なのですが、全体を貫くトーンは孤独なもので、ふたりがならんでいる画像とはどうも合いません。

 右側は大場優子さん「あなたへ」。
 左側は米森ヒデキさん「heaven」。以前と同様、コラージュですが、かなりすっきりした印象を受けます。


           

 左は奨励賞の岡野郁子さん「壊れかけた女」。
 そのとなりは、ことしの全道展で道新賞を受賞した林由希菜さんの「めばえる」。元は版画なのですが、その上に木工用ボンドなどを重ねることで、堅牢なマティエールを持ったタブローになっています。彼女としては実験的な作品といえます。

           

 中田絵美さん「浮遊」。
 白、薄茶、赤、黒など、さまざまな色が使われ、モノトーンが多かった中田さんの作風に変化がみられます。それでも、重厚さは変わっていません。


           

 手前は、石井誠さん「残らない変化」(奨励賞)。あいかわらずうまいなあ。
 その右は、高橋あおばさん「屈」。腕をからみとられ、立て膝でもがく裸婦を描いています。筆力は向上の余地があると思いますが、表現への強い衝動を感じさせます。


           

 手前は、佐藤史子さんの日本画「蝶葬」(優秀賞)。
 白いキャミソールを着たあおむけの女性のそばに花が咲き、モンシロチョウが舞っています。松井冬子の影響があるのかもしれませんが、独自の世界観のある佳作だと思います。
 そのとなりは大野恵理さん「旅香花」。
 装飾的な画面が独特です。枝から垂れ下がる花模様が瓔珞(ようらく)のようにも見えます。


           

 左端は河合春香さん「full bloom」。色とりどりの花が画面におどり、サイケデリックですなあ。
 そのとなりは、佐野妙子さん「星くずを落したのは誰?」。いつもの佐野さんらしく、茫漠とした画面です。
 ネクタイ姿の男の像は、おひさしぶり、笠見康大さん「君の未来 僕の過去」です。

(2014年6月、河合さんの名前を訂正しました。申し訳ありません。)


08年7月5日(土)-13日(日)10:00-18:00 火曜休み
茶廊法邑(東区本町1の1-8-27)



・地下鉄東豊線「環状通東」駅から7分


□茶廊法邑ブログ(なぜかサイトからリンクされていない) http://blog.goo.ne.jp/houmura2005

第3回(画像なし)


□under hippos.(石井誠さんのサイト) http://members.jcom.home.ne.jp/3716975201/

5er展 札幌大谷大学短期大学部専攻科美術1年 5人による展示(08年2月。戸田遥さん、山木尚美さんが出品)
道都大学中島ゼミ 版's SEVEN (08年2月。石井誠さん、川口巧海さんが出品)


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