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日常よく使われる英語表現を毎日紹介します。毎日日本時間の午前9時までに更新します。英文執筆・翻訳・構成・管理:上杉隼人

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毎日更新! GetUpEnglish Updates Every Day! Since April 1, 2006 (c) 2006-2024 Uesugi Hayato(上杉隼人)

ASAHI WEEKLY

2019-04-21 08:10:15 | A

  英語はもう何年も勉強しているが、少しもできるようになったと思えない。だからこそ、英語の勉強が続けられているのだと思う。

 そしてわが国の英語教材は実に豊富で、すばらしいものばかりだ。書籍だけでなく、定期刊行物、すなわち、雑誌や週刊紙が充実している。

 GetUpEnglishでは、みなさんにお勧めしたい書籍以外のサービスも時々紹介してみたい。

 本日はAsahi Weeklyを取り上げてみる。このニュース紙の前身はAsahi Evening Newsで、その時代からずっとチェックしているので、もう30年以上(毎週ではないが)読んでいることになる。そしてここ数年は毎週隅々まで読んでいる。

 わたしにとってこの新聞の最大の魅力は、本紙中頃のNews欄と、最終面のWeekly Picksだ。どちらも旬のニュース記事を的確に選び、わかりやすい注をいくつも付けて読ませてくれる。インターネットでThe New York TimesThe Washington PostやLos Angels Timesの記事も毎日チェックはしているが、わからない単語--というか、わたしの場合は、きっと何度も見ているに違いないが、記憶力の低下によって忘れてしまっている――わからない表現は曖昧にしたまま読み進めてしまう。スピード・リーディングの観点からはそれも正しい学習法であるが、英語を書く、話す、ということを考えると、vocabulariesを増やすことを常に意識したい。なので、Asahi WeeklyのNews欄の注は非常に役立つし、ありがたい。 

 たとえば、4月21日号のBritain, EU agree to half-year reprieve to avoid hard Bretexの記事を見てみよう。

 見出しのreprieveがいきなり気になってしまうが、そこには「(見出しから)猶予、延期」という非常にありがたい注がついている。

 また、記事中には、以下の文がある。

 All that was needed was ratification by the British and European parliaments.

  このratificationも何度も見たはずだが、瞬間的にはっきり意味が思い出せないと思っているところで、しっかり「承認、批准」と注を付けてくれているのでありがたい。

 こうした比較的長いニュース記事が毎週6本読めるのだから、大変ありがたい。

 そして紙面には、以下のようにほかにも充実した記事がずらりと並んでいる。

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今週の注目記事

◇Feature: 翻訳者のはじめのい~っぽ 柴田元幸さん

現在活躍する英日翻訳者が、英語との最初の出会いや、初めて翻訳を意識した表現について語るエッセーシリーズが始まりました。月1回ほどのペースで、随時掲載します。第1回となる今週号には、ポール・オースターなど現代アメリカ文学の翻訳でおなじみの柴田元幸さんが登場します。柴田さんはどのようにして英語に触れるようになったのでしょうか。自身も「生半可な学者」で講談社エッセイ賞を受賞した柴田さんが、その軽妙な筆致で書きつづります。あわせて、柴田さんが中学生の頃に親しんだという小泉八雲の「怪談」の一節も、英語の原文でご紹介します。

◇Feature: AW で英語を読む力、書く力を! 教育現場で広がる取り組み

Asahi Weekly(AW)を英語の授業などで活用する試みが、教育現場で広がっています。今週号では、福岡市にある福岡舞鶴高校を訪ね、その活用ぶりを取材しました。同高校では、クラスに1部ずつ AW を教室に置き、生徒が自由に閲覧できるようにしているほか、毎週、AW の記事を使ったプリントに取り組み、英語を読む力だけでなく、書く力の育成に役立てていました。ニュースを読むことで、社会的な話題への関心も高まり、大学入試の時事問題対策にもつながっているといいます。ほかに、愛知県安城市の安城学園高校の取り組みも紹介しています。

◇News: News demystified いちからわかる!

朝日新聞朝刊でそのときどきのニュースを分かりやすく解説している「いちからわかる!」。その豊富なラインナップから厳選し、英訳してお届けします。毎月第3週掲載。今話題になっているニュースはどんな英語で表現したらよいかが分かります。ニュースそのものを「いちから」解説しますので、大学入試や就職活動での時事問題対策にも役立ちます。初回となる今週号では、歌舞伎の話題から。市川海老蔵さんが来年、「團十郎」を襲名することになりました。歌舞伎の世界で團十郎という名前がなぜ特別なのか、英語で読んでいきましょう。

◇Essay: Marty’s Playlist

世界的なギタリスト、マーティ・フリードマンさんによる連載です。毎月1曲ずつ、マーティさんが記憶に残る「特別な曲」を紹介してくれます。今週号は、クイーンのヒット曲「ボヘミアン・ラプソディ」です。映画の大ヒットで注目を集めるこの曲ですが、マーティさんは実は「あまり好きではない」と打ち明けます。その理由に耳を傾けてみましょう。一方でマーティさんは、「この曲以外にクイーンで大好きな曲はいくつでも挙げられる」とも語っています。この連載は新年度からレイアウトを見直し、読みやすくなりました。引き続きご愛読のうえ、興味をもった方はぜひ、オリジナルの楽曲に触れてみてください。

◇Novel: Weather Boy 天気をつかさどる者

4月から6月までの小説は、天気を自在に変えることができる少年が主人公のファンタジーです。英国の小さな町に住むチャーリー・ウィーバーは片頭痛に悩まされ、なかなか屋外に出ることができないでいます。そんなチャーリーの誕生日に、妹のアンジーは凧(たこ)をプレゼントします。2人は喜び勇んで外に出かけますが、天気予報とはうらはらに、雲一つない陽気。これでは凧揚げは難しいとがっかりする兄妹でしたが……。そんなチャーリーのもとに、不思議な少女と怪しい男たちが姿を見せます。これまでもAWで「The Haunted Snow Globe」や「Caught on Camera」、「Danny and the Dinner Ladies」を連載してきたアンドリュー・ヒッチェンさんが、今回も読者を不思議な世界にご案内します。

好評連載

初級編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆やさしい単語で寸劇! The Greenville Story

米オレゴン州の架空の町、グリーンビルを舞台にした長寿連載です。高校生のマリーや友人、家族らが、寸劇(スキット)練習にぴったりな日常会話を繰り広げます。今回は、野球のリトルリーグの試合に出たクリフが、兄のトーマスと話します。良い結果が出なかったクリフはがっかりしている様子。ほかにも不満があるようです。クリフを励まそうとしたトーマスは……。米国の生活を紹介するミニコラムのテーマもリトルリーグです。

◆On the Keyboard リレーエッセー

3カ月ごとに筆者が代わる異文化エッセー。4月から6月までを担当するのはアヌーク・スルメニアンさんです。スルメニアンさんはフランス・モンペリエ生まれで、祖父母はアルメニア人。モンペリエ大学を卒業後に来日し、日本語と日本文化を学びながら、フレンチレストランやベーカリーで働いてきました。現在は東京で日本人の夫と娘の3人暮らしで、フランス人観光客を対象にしたツアーガイドを目指して勉強中だそうです。今回は、化粧について。フランスでは女性が日常的にメイクをすることはないそうで、日本にやって来て、日々化粧をすることになったスルメニアンさんは……。

◆100語で読むニュース News in 100 Words

コンパクトにまとめた初心者向けのニュースページです。手厚いヒントがついているので、中高生の皆さんも挫折することなく読めるようになっています。先生方にとっては、教科書以外の副教材としても最適。日本語で読み慣れたニュースが英語でどう報じられているかを確認することもできます。ぜひ英文ニュースの入門編としてご活用ください。今週号では、スピードスケートの平昌五輪金メダリスト、小平奈緒選手らの話題のほか、探査機「はやぶさ2」の活躍を報じるニュースをとりあげています。

◆シミケンの語源でラクラク英単語

これまで「比べてわかる英単語」を連載してきたシミケン先生こと清水建二先生による新連載です。英単語を語根、接頭辞、接尾辞といった「パーツ」でとらえ直し、語源から理解することで語彙(ごい)を増やしてしまおうという連載が、1年ぶりにAWに帰ってきました。語源をイメージでとらえるイラストも添えられ、より理解がしやすくなりました。

中級編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆Movies 最新映画の解説とシナリオ対訳

今回紹介する作品は、実在のコメディアン「ローレル&ハーディ」を描いた「僕たちのラストステージ」です。1930年代にはハリウッドで大人気だったローレルとハーディの2人組ですが、今ではかつてのような人気もなく、英国中をツアーしています。初老に達した彼らを見に来る客は少なく、場末の劇場はどこもガラガラ。それでも2人はツアー成功のあかつきには映画の製作があると信じ、コントを演じ続けます。しかし、老いた体と長年蓄積された互いの不満が、次第にコンビを引き裂いていくのです。再起をかけた老芸人コンビの悲喜劇を、英語の脚本と対訳でお楽しみください。

◆Essay: Street Smart English

「とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起」などで知られる詩人の伊藤比呂美さんによる新連載です。二十数年間の間、「移民」として米国と日本を何度となく往復してきた経験と、カリフォルニアでの暮らしの中で出会った英語表現や米国文化についてつづっていきます。日本語で執筆する詩人が、どのように異文化と外国語の中で暮らしてきたのか、リアルな体験を踏まえて語ります。詩人ならではのセンスで選んだ使える英語表現も盛りだくさんで登場します。英語監修は日本在住歴40年以上のStewart Johnsonさんです。

◆Lisa’s In and Around Tokyo

フォトグラファーのリサ・ヴォートさんが、東京とその周辺の、日帰りで出かけることができるお薦めスポットを訪ね、興味深い切り口で紹介します。東京五輪・パラリンピックの開催に向け、英語でお客様を案内するためのヒントがいっぱいです。今回は、神奈川県横須賀市の「三笠公園」を訪ねました。大日本帝国海軍の戦艦「三笠」が保存され、記念艦として一般公開されています。三笠は日露戦争での連合艦隊の旗艦で、日本海海戦などで活躍しましたが、艦内ではこうした歴史を知ることができます。リサさんが三笠の歩みを振り返りつつ、公園の魅力を語ります。

◆デイビッド・セインのおもてなしの極意

これまで200冊以上の英会話本を世に送り出してきた英語教育界のカリスマ、デイビッド・セインさん。今度の連載のテーマは「おもてなし」です。日本を訪れた外国人と接する機会を想定し、親切心から発した言葉が、意外にも相手の気分を害してしまったり、誤解を招いてしまったりした失敗例を取りあげます。円滑なコミュニケーションのためのヒントが詰まっています。さて今回は、カナダから日本に観光にやって来たチャールズが、仲間たちと京都での自転車ツアーに参加します。受付係のミホに参加人数や出発時間を伝えましたが、ミホにとっては想定外の質問が飛んできます。チャールズはいったい何を尋ねたのでしょう?

◆カタカナ語がワカラナイ!

日本語の中で使われるカタカナ語の数は年々増える一方で、日本語の語彙を豊かにするのに一役買っています。一方で、日本語のわかる外国人でも、カタカナ語の意味を正確に理解するのは至難の業というのも事実。英語母語話者には通じないおかしな和製英語をはじめ、日本人が英語と思い込んで使っている外国語なども混乱の原因です。この連載では日本で活躍する英国人フリーランスライターのスティーブ・ウォルッシュさんが、自らの経験をもとに、カタカナ語が生んだ誤解やその対処法についてつづってくれます。肩の凝らないエッセーから、カタカナ語を通じる英語に変えるためのヒントを学んでください。

◆辞書BIKI再入門

英語の勉強に辞書は不可欠。紙の辞書しかなかった一昔前とは異なり、現在では、電子、オンラインに加え、スマホのアプリや、パソコンにインストールするタイプなど様々な辞書があります。とはいえ、あなたは愛用の辞書を「使いこなしている」と自信を持って言えるでしょうか? この連載では、英和・和英・英英辞典からどのように必要な情報を引き出すかのコツをていねいに解説します。せっかく買った高価な辞書を宝の持ち腐れにしないためのアドバイスが満載。普段何気なく使っている英語辞書の奥深さが実感できます。筆者は筑波大学教授で辞書学が専門の磐崎弘貞さんです。

上級編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆Travel: Ride on the Rovos Train, SOUTH AFRICA

今週号のTravelのコーナーでは、南アフリカのプレトリアとケープタウンを結ぶ列車「ロボスレイル」に乗り込んでの鉄道旅をご紹介します。世界で最もぜいたくな列車の一つと言われ、「Pride of Africa」の異名をとるこの鉄道。旅の筆者は夕方に乗り込み、間もなく洗練されたディナーを楽しみます。途中、かつてのダイヤモンド鉱山があるキンバリーで停車。巨大な採掘跡を目にします。また、列車には展望車が連結され、美しい夕日を眺めることができるのも魅力だそうです。旅の筆者はさらに、野生生物の保護区にも足を延ばし、ゾウやヒョウなど、「ビッグファイブ」と呼ばれる動物たちも目撃します。盛りだくさんな旅の記録を、美しい写真の数々と共にお楽しみください。

◆Weekly Picks  SFがついに科学的事実に ブラックホールを初撮影

フィーチャーストーリーや、ニュースを深く掘り下げた分析記事を紹介するコーナー。今週号では、あらゆる物質を飲み込む巨大ブラックホールの撮影に、国際研究チームが世界で初めて成功したという報道をお届けします。南米チリや米国ハワイなどの計八つの電波望遠鏡を結んでの観測で、ブラックホールの周囲を回転するガスが放出する電波から画像を合成したところ、赤い輪に縁取られた真っ黒な穴が浮かび上がりました。100年前のアインシュタインの予言を裏付ける形になった今回の成果。「SFがついに科学的事実になった」と評価する声があがっています。。

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 おすすめはこの号から始まった「翻訳者のはじめのい~っぽ」だ。1回目の柴田元幸さんのエッセイは実に楽しく、読み応えがある。

 柴田さんは次のように書かれている。

  ……しょせん英語は自分にとって外国語、おかげで「読めるだけでうれしい」状態がいまなお続いている。この「嬉しさ」は翻訳という仕事をする上でものすごく重要だと思う。これを感じなくなったら、さっさとやめて隠居する潮時だと思っているのだが、なかなかなくならない。

 「わあ、あの柴田元幸さんですらそうなのか!」と思うとなんだかうれしいし、そして勝手に柴田さんに親近感を抱いてしまう。

 この柴田さんのエッセイ、すべての翻訳者、英語学習者に読んでいただきたい。

 そのほか、Asahi Weeklyは無料ダウンロード音声も用意されていて、listeningの勉強もできる。

 http://www.asahi.com/english/weekly/

 これだけの紙面を毎週作るのだから、スタッフの方の英語力と仕事量は相当なものだと思う。一読者として、いつも感謝しております。

 英語学習に行き詰っている人(まさにわたしがそうだ)にこそ、ぜひおすすめしたい。

 

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