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消費税増税での財政再建は不可能、育児世帯への打撃は倍増する - 社会保障給付の歪みが諸悪の根源

2013-10-01 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
安倍首相は「熟慮した上で」経済再生と財政健全化は両立し得ると語ったそうだが、
熟慮しても政策リテラシーが低ければまともな考えが出る訳はない。
まさに俚諺に言う「下手な考え休むに似たり」である。

何度も繰り返しているように、今の日本の社会保障は
1000兆円を超える家計金融資産を保有している高齢層へ
毎年30兆円を超える公費を湯水のように投入するバラマキが主力だ。

消費税を引き上げるなら現役世代の雇用を増やし育児を支援する予算に充当すべきであり、
低賃金で人不足の保育・介護分野と医療の短時間労働者に給付付き税額控除を適用し、
内需への貢献が最も大きい育児世帯に保育・教育用バウチャーを発行すべきだ。
(高齢層の就労支援も必要だが現役世代支援より費用対効果に劣る)

高齢層向け社会保障を充実させたければ、預貯金や退職金に課税し、
(預貯金に1%課税するだけで年間8兆円前後の税収になり、消費への悪影響はない)
公的年金控除を廃止して偽弱者ではなく本当に困っている層に回すのが理の当然だ。

高齢層と同様に企業も内部留保を貯め込んでいる。
草食系でリスク回避型の企業に事業拡大・新規投資を行わせるために
炭素税を賦課して怠惰な経営者に省エネ投資を強いるべきである。

歴代自民党政権がサボっていたから我が国のエネルギー効率は
幾つかの欧州国に劣るようになっている。
その元凶はエネルギー転換部門(=発電分野)である。

自己保身的で決断を先送りする経営者や茶坊主同然の幹部がはびこる企業は、
M&Aで上層部を放逐し淘汰を進めなければならない。
法人減税で悪平等バラマキを行うより海外からの対日投資を促進すべき。

▽ 成長率の高いスウェーデンは競争力のない企業に厳しく、育児と雇用支援が日本より手厚い





『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治/佐藤吉宗,日本経済新聞出版社)


▽ 日本の歪んだ社会保障制度は異常で、再分配で現役世代の貧困率が上昇する

『日本の景気は賃金が決める』(吉本佳生,講談社)


不幸なことに、当ウェブログの警告した通りに事態が進行している。

「毎年毎年、高齢者三経費への公費投入が増えているのに
 日本経済の平均成長率は1%を下回っている。
 今の高齢層に偏った社会保障を維持すること自体が経済成長の妨害要因であるのは明白だ」

「日本の社会保障は殆どが高齢者三経費で、それを消費税で賄うのは
 単なる「現役世代からの所得移転(=搾取)」に過ぎない。
 だからこそ日本の貧困率は再分配後に悪化し、母子家庭が極貧に陥るのである」

「成長率を高め税収を増やしたいなら、北欧のように現役世代を現物給付で支援すべきである。
 現役世代から搾取する現行の社会保障システムを維持して消費税を上げるのは、破滅への道だ」

「社会保障を充実させたいのなら、預貯金や退職金に課税すべきである。
 「応能負担」「応益負担」すら知らない黒田総裁は大学生にも劣る」

「30兆円以上も高齢者三経費としてバラ撒く腐った社会保障をやめて
 その分を次世代育成に振り向けない限り、日本に未来はない」

「自民党はこれまでの習性から考えて消費増税と同時に
 選挙目当てのバラマキを敢行するだろう。
 高齢層バラマキ・公共事業バラマキ・法人減税バラマキである。
 この三大バラマキによる壮大な愚行が今、始まろうとしてる」

旧態依然の自民党政権が公共事業・高齢層・大企業バラマキを行うのも完璧に予想通りだ。
党や議員の体質が変わっていないのだから政策に進歩がないのも当然である。

↓ 参考

黒田日銀総裁は日本の社会保障を全く理解していない - 消費増税の正体は高齢層バラマキとモラルハザード
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/a5b1a3c5d829f19eec548f43c7abebc5

700万人の団塊世代の高齢化で年金負担急増、消費税引き上げも焼け石に水 -「このままでは破綻する」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/556b925dcc9cac035f2016c166b8c54c

▽ 世代間格差と公的債務累増が日本の成長率を低下させている

『世代間格差:人口減少社会を問いなおす』(加藤久和,筑摩書房)


▽ 2000年代の日本経済の停滞は、明らかに高齢化要因

『中国台頭の終焉』(津上俊哉,日本経済新聞出版社)


消費税、来年4月から8%=安倍首相「経済再生と両立可能」―対策5兆円・閣議決定(時事通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131001-00000118-jij-pol
”政府は1日夕の閣議で、現行5%の消費税率を2014年4月から予定通り8%に引き上げることを決定した。社会保障制度を持続可能なものにするとともに、財政健全化を図るため、安倍晋三首相が決断した。消費税率引き上げは1997年4月以来17年ぶりで、上げ幅は前回(2%)を上回る。景気を下支えするため、企業に設備投資や賃上げを促す減税措置や、公共投資を柱とする5兆円規模の経済対策を、12月上旬に策定する方針も決めた。
 首相はこの後、首相官邸で記者会見し、「本日、消費税を現行5%から8%に3%引き上げる決断をした」と正式表明。「経済再生と財政健全化は両立し得る。これが熟慮した上での結論だ」と説明した。15年10月に予定される税率10%への再引き上げについては「経済状況等を総合的に勘案し、判断時期を含め適切に判断したい」と述べ、増税後の景気動向を見極めた上で改めて結論を出す考えを強調した。
 閣議では、東日本大震災からの復興財源に充てる特別法人税について、1年前倒しして13年度末での廃止を検討することも決めた。〔以下略〕。”

オリンピックのプレゼンでも同様であったが、
その場しのぎの調子のいい軽口を叩く癖がついてきた。
矢張り既得権勢力に頑として妥協しない小泉元首相の胆力に遠く及ばないのだ。

▽ 数%の消費増税したところで財政健全化は不可能

『アベノミクスでも消費税は25%を超える』(小黒一正,PHP研究所)


医療・介護の公費投入、低所得層配慮で増加 社会保障制度改革後も(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2704J_X20C13A9MM8000/
社会保障制度の改革を巡り、厚生労働省が打ち出した現時点の案では低所得層への配慮に伴い国などの負担が増えることがわかった。医療では国や地方の公費の支出が250億円増え、介護でも300億円以上膨らむ。急速な高齢化のなかで社会保障を持続するには痛みを伴う改革が欠かせないが、低所得層対策に配慮して効果がそがれる懸念がある。〔以下略〕”

政府は高所得層の社会保障を削減するかのように称していたが、現実はこのざまだ。
厚労省の生ぬるい案では歳出削減はごく一部に過ぎず、
最初からこうなることは分かり切ったことだ。


医療費、過去最高の38.4兆円 12年度1.7%増(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1003Y_Q3A910C1EE8000/
”厚生労働省は10日、2012年度の概算の医療費が前年度比1.7%増の38兆4000億円になったと発表した。10年連続の増加で、比較できる00年度以降で過去最高額を更新。入院や通院の多い高齢者の医療費の伸びが大きい。医療費に占める70歳未満の割合は初めて50%を割り込んだ。
〔中略〕
 70歳以上の1人あたり医療費は70歳未満の4.4倍で、高齢化が進めば医療費はかさむ。12年度に増えた6400億円のうち4800億円が70歳以上。70歳以上の医療費比率は45.4%に上昇、70歳未満は49.5%に下がった。
 単価にあたる1日当たり医療費は1万4800円で、2.6%増えた。高齢化に加え、高額だが効果の高い治療方法や新薬が増えたことによる。
 医療費を抑えるため、厚労省は入院日数の短縮や割安な後発薬の使用促進などを進める。入院日数は平均33.8日と5年前より3日近く縮まり、後発薬の割合も数量ベースで28.7%に上昇。だが医療費は伸び抑制効果は限られる。70~74歳の医療費窓口負担引き上げなど痛みも伴う抑制策を着実に行う必要がある。

経済停滞の中で伸び続ける医療費への公費投入はこの通り。
まさに日本財政にとっても日本経済にとっても「死に至る病」である。

女性就労率を増やし出生率を引き上げるだけでなく、
高齢層の資産を個人番号で把握して真の弱者に支援を限定しない限り
公費投入を大きく削減することはできない。


医療・介護費を5兆円抑制 厚労省が計画公表(朝日新聞)
http://www.asahi.com/politics/update/0830/TKY201308300051.html
”【高橋健次郎】厚生労働省は30日、高齢化で膨らみ続ける医療や介護費用の総額を、2025年度時点で現在の想定より5兆円程度抑えることを目指す計画を公表した。生活習慣病や肺炎などの予防や、患者情報を活用した無駄減らしが柱。サービスの質が下がるのを避けながら、財政面での改善を進めるねらいだ。
 社会保障の給付にかかる費用は、毎年3兆円ほどのペースで増え続けることが見込まれる。特に医療や介護分野は伸びが大きい。厚労省は、今のままでは団塊の世代が75歳を迎える25年度に医療費が約54兆円、介護費は約20兆円に達すると試算。12年度と比べると、医療費は約1.5倍、介護費は約2.4倍となる。
 安倍政権が打ち出した社会保障改革には、さまざまな負担増や給付抑制策が盛り込まれている。しかし「痛み」が過ぎれば、国民の反発は避けられない。今回の計画は「健康寿命が延伸する社会」を掲げる。医療・介護を利用しないですむ健康な人を増やしつつ、限られた財源や人手を効率的に使う考え方だ。〔以下略〕”

他に厚労省に足りないのは情報公開である。
日医や自治体が猛反発しようとも医療費の詳細を公表して
地域間で医療費支出が大きく異なることを明らかにし、
各自治体で医療費効率化を競わせなければならない。
成果が出ない自治体は地方交付税交付金を削減すべきである。
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