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『週刊エコノミスト』5月14日合併号 - 実質賃金低下が少子化をもたらす、だから安倍政権で出生率悪化

2024-05-09 | 『週刊エコノミスト』より
エコノミストの「人口半減」特集はキレはなかったが
参考になる記事が多い。但し識者の見解にはかなりバイアスが強い。

例えばニッセイ天野氏は低出生率である都市部の女性を庇おうとする動機が明白で、
政策要因により出生率急上昇に成功した地方の自治体の事例に極めて冷淡だ。
学歴や階層、生活水準が異なる地方女性には共感が極薄なのであろう。
(従って、奈義町や下條村、聖籠町等における政策効果を無視している)

日本総研の藤波氏はとかく政策効果を否定したがる奇妙なバイアスがあり、
出生率が急低下したフィンランドとドイツの差は実質賃金の推移にあるとして
(エントリーのサブタイトルはこちらから、日本の少子化では重大要因である)
さして実質賃金が改善していない仏で出生率が急回復した事実を無視している。
これは政策効果を無視する氏特有のバイアスによるものである可能性が高い。

中央大学の松浦准教授は、東アジア特有の傾向として子のいる既婚女性の
生活満足度は子のいない専業主婦より明らかに低く、2010年代にその傾向が
強まった
という驚きの研究結果を示していて参考になる。
(何故か西欧諸国では逆に子のいる既婚女性の満足度の方が高めだそうだ)
しかし、この記事では西欧の出生率低下は失業率悪化のせいで
日本の場合は将来不安が原因ではと、日本についての分析が宜しくない。
ぜひ実質賃金推移と家族政策(現物と現金に分けて)を組み合わせて
各国の出生率の推移と比較分析して欲しかった。

『週刊エコノミスト』2024年5/14・21合併号【特集:ストップ!人口半減】


市岡繁男氏の連載は今年、最重要の指摘である。
既にピークをつけた形のエヌビディア株の推移が
ITバブル崩壊時のシスコとよく似ているとの鋭い指摘だ。
米メディアはAIの読み込んでいるデータで質の高いものは僅かで
AIの生み出す報告書は使えないという職場での実態を伝え始めたそうだ。
それで現下の高金利だから、不吉なことこの上ないことだ!

    ◇     ◇     ◇     ◇

期待した東洋経済の特集「喰われる自治体」だが、
自治体を被害者みたいに取り上げるのは正しくない。
ダメな自治体がますますダメになっただけの話であり、
自民党政権の地方創生が政策として質が低かったことの
必然の帰結に過ぎないであろう。

「「地方創生」の失敗原因は都会のコンサルだけでなく、
 構造問題から目を逸らしたふるさと納税バブルにもある」

と先週書いたが、都会からカネばかり集めて
少子化と人口流出が悪化するばかりの自治体も沢山ある。

『週刊東洋経済』2024/5/11号 (喰われる自治体)


48頁から、ただカネ集めに堕してしまったふるさと納税の現状、
儲かりやすいふるさと納税にたかっている業者に公費が吸い取られていること、
アマゾンもその旨味をごっそり頂こうと狙っていることが分かる。
ふるさと納税の依存度ランキング上位に載っている自治体ははっきり言って失敗例である。

    ◇     ◇     ◇     ◇

ダイヤモンドは得意の農業特集、よく売れているのは結構なことで
各種ランキングも興味深く見ることができるが、
アベノミクスの弊害で輸入物価上昇の直撃を食らい、
農業分野が大きな打撃を受けているという事実を直視すべきだろう。

また、「農業振興が日本経済回復にも地方創生にも繋がらない事実が実証されつつある」
と先週に指摘した当ウェブログの見方は的確だったと思う。

『週刊ダイヤモンド』2024年5/11号 (儲かる農業2024)


佐藤優氏の連載は珍しく妥当な内容だったが、
ロシアやイスラエルが絡まないと妥当な内容になり易い傾向があるのだろうか?
また、内容としては十年以上前に日経新聞の秋田氏が書いた『暗流』の論の枠組みとほとんど変わらず、
『暗流』を読んだ読者ならほぼ完全に想定内のものであろう。

ところで氏は書評の方ではロシアにおける正教会の影響の大きさを指摘しているが、
そうなると氏がAERAで書いていたイランと同じで通常の外交は難しいのではないか。
氏が散々、見込みありげに書いていた日ロ間の北方領土交渉も同様に難しい筈なのではないか。
ご都合主義でその場その場での論理を使い分けるのはどうかと思うのだが。。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週も東洋経済に注目、面白いテーマだが仏も北欧も女性活躍の主軸はケアサービスであって企業ではない。

▽ 特集後半に「女性の「本音」に解がある」とあるが、女性というセグメントは分断されているぞ。。

『週刊東洋経済』2024年5/18号 (女性を伸ばす会社、潰す会社)


▽ ダイヤモンドは得意のゴルフ特集

『週刊ダイヤモンド』2024年 5/18号 (ゴルフ場ランキング2024)


巻頭記事の「アップル、グーグル寡占にメス 拡大する政府vs巨大ITの攻防」の方が重要と思うが。
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