驚くべき推計が出ました。
日本の合計特殊出生率は都道府県によって大きく違うことが
知られていますが(大都市圏、中でも東京が最低)、
「女性の賃金が高いほど出生率が低い」
という傾向が見出されたそうです。
また、子供手当と保育所整備の費用対効果を推計してみると
「保育所整備の方が100倍以上費用対効果が高い」
との結論に至ったとのころ。
あくまでも推計なので実際どうなるか分かりませんが、
一つの有力な論拠となるに違いありません。
ただ保育所の整備をする際には
公立保育所の制度上の優遇をなくす必要があるでしょう。
(東京都の公立保育所は子供一人に月およそ50万も公費投入する)
少子化対策の試算=東京大公共政策大学院副院長・伊藤隆敏(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/biz/kansoku/news/20100617ddm008070102000c.html
”先週の本欄は子ども手当よりも「潜在」待機児童ゼロ目標が少子化対策として有効だ
と結んだ。保育所整備と子ども手当の効果を比較した東大公共政策大学院の院生によ
る研究成果(http://www.pp.u‐tokyo.ac.jp/courses/200
9/40325.htm)を紹介する。
まず、潜在待機児童数を、就学前人口数から認可保育所や幼稚園に入所・入園済みの
人口数を引いたものと定義する。出生率が都道府県で異なることから、この研究では
都道府県別の出生率の違いを都道府県別の女性賃金、家計の教育費、潜在待機児童数
の3変数で説明する。出生率の説明式に加え、第1子、第2子、第3子以降の出生率
を推計する。
おおむね次のような結果が得られた。女性賃金は高いほど出生率は低い。これは第1
子で顕著で第2子以降にはあまり影響がない。教育費の増加は第3子の出生率を低下
させる。潜在待機児童数が増加すると、出産後の育児負担の増加を予想して出生率は
低下する。この傾向は第2子、第3子以降で顕著だ。
次に、推計された係数から、出生率(09年の合計特殊出生率は1.37)を0.01
上昇させるために必要な施策のコストを推計する。子ども手当は教育費の負担低下と
考えると、7兆円の手当で出生率は0.01上昇する。第3子に限定すると、1.7兆
円で第3子の出生率は0.01上昇する。一方、保育所整備は潜在待機児童の数を減
らし、保育所に入る確率を高める。保育所整備を毎年200億円プラス初期費用の公
費負担増で行うと、出生率は0.01上昇する。
保育所整備の費用対効果は子ども手当よりもはるかに優れている。子ども手当の満額
支給をやめて、その資金を保育所整備に回すとの新方針は歓迎だ。
毎日新聞 2010年6月17日 東京朝刊”
→ 面白い研究です。
女性の労働力率や雇用形態、
親世代との同居の有無を調べると
より興味深い結果が出ると思います。
「学歴あっても就職しない女性多い」 男女共同参画白書(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E3E7E2E29B8DE3E7E2E4E0E2E3E29180E2E2E2E2;at=DGXZZO0195164008122009000000
”政府は15日の閣議で、2010年版「男女共同参画白書」を決定した。高校以上で教育を
受けた女性が仕事に就いている割合が、日本は経済協力開発機構(OECD)加盟国
の30カ国中29位と説明。学歴があっても社会の中で生かす機会や受け皿が十分でない
実態を指摘している。
内閣府が07年の各国の就業率を、高等教育を受けた24~64歳の女性を対象に分析した。
ノルウェー(88.8%)がトップで、スウェーデン(88%)、英国(85.8%)と続き、
最下位は61.2%の韓国だった。日本は66.1%で1999年に比べて4.7ポイント上昇した
が、OECD全体の平均値 79.5%を大きく下回っている。
白書は「高等教育によって形成された女性の能力が、日本では就業の形で十分に生か
されていない」と説明。仕事に就いても結婚などを機に退職する女性が依然として多
いことが原因とみている。男女の給与に格差があることも女性の就労を妨げている一
因としている。
今後の対策としては「女性の能力を高め、それを発揮できる環境整備を進めていく必
要がある」と強調。仕事と子育てを両立できる就業環境の整備や、理工系分野での女
性の活躍の機会を増やす必要性を訴えている。
一方、白書は結婚や子育てに伴う退職を減らせば、最大で445万人の労働力増加につ
ながるとの試算も提示。就業者と求職活動をしている人の割合を示す労働力率で、女
性は20代と40代に比べて30代が落ち込む「M字カーブ」になっており、この「くぼ
み」を解消できれば少子高齢化による労働力人口の減少を緩和できるとしている。”
保育所の整備、潜在待機児童問題の解消が必要な理由は
ここにもあります。
欧州でもそうですが、低成長国においては
女性の労働力率を高めることが重要になります。
本当に男女の給与格差だけに問題があるのかも
突き止めなければなりません。
(高学歴の女性が低出生率なのだから、賃金は大きな要因ではない筈)
欧州諸国では一般に「学歴が高い女性は働くのが当然」
との意識が強いようです。そこにも関連がありそう。
日本の合計特殊出生率は都道府県によって大きく違うことが
知られていますが(大都市圏、中でも東京が最低)、
「女性の賃金が高いほど出生率が低い」
という傾向が見出されたそうです。
また、子供手当と保育所整備の費用対効果を推計してみると
「保育所整備の方が100倍以上費用対効果が高い」
との結論に至ったとのころ。
あくまでも推計なので実際どうなるか分かりませんが、
一つの有力な論拠となるに違いありません。
ただ保育所の整備をする際には
公立保育所の制度上の優遇をなくす必要があるでしょう。
(東京都の公立保育所は子供一人に月およそ50万も公費投入する)
少子化対策の試算=東京大公共政策大学院副院長・伊藤隆敏(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/biz/kansoku/news/20100617ddm008070102000c.html
”先週の本欄は子ども手当よりも「潜在」待機児童ゼロ目標が少子化対策として有効だ
と結んだ。保育所整備と子ども手当の効果を比較した東大公共政策大学院の院生によ
る研究成果(http://www.pp.u‐tokyo.ac.jp/courses/200
9/40325.htm)を紹介する。
まず、潜在待機児童数を、就学前人口数から認可保育所や幼稚園に入所・入園済みの
人口数を引いたものと定義する。出生率が都道府県で異なることから、この研究では
都道府県別の出生率の違いを都道府県別の女性賃金、家計の教育費、潜在待機児童数
の3変数で説明する。出生率の説明式に加え、第1子、第2子、第3子以降の出生率
を推計する。
おおむね次のような結果が得られた。女性賃金は高いほど出生率は低い。これは第1
子で顕著で第2子以降にはあまり影響がない。教育費の増加は第3子の出生率を低下
させる。潜在待機児童数が増加すると、出産後の育児負担の増加を予想して出生率は
低下する。この傾向は第2子、第3子以降で顕著だ。
次に、推計された係数から、出生率(09年の合計特殊出生率は1.37)を0.01
上昇させるために必要な施策のコストを推計する。子ども手当は教育費の負担低下と
考えると、7兆円の手当で出生率は0.01上昇する。第3子に限定すると、1.7兆
円で第3子の出生率は0.01上昇する。一方、保育所整備は潜在待機児童の数を減
らし、保育所に入る確率を高める。保育所整備を毎年200億円プラス初期費用の公
費負担増で行うと、出生率は0.01上昇する。
保育所整備の費用対効果は子ども手当よりもはるかに優れている。子ども手当の満額
支給をやめて、その資金を保育所整備に回すとの新方針は歓迎だ。
毎日新聞 2010年6月17日 東京朝刊”
→ 面白い研究です。
女性の労働力率や雇用形態、
親世代との同居の有無を調べると
より興味深い結果が出ると思います。
「学歴あっても就職しない女性多い」 男女共同参画白書(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E3E7E2E29B8DE3E7E2E4E0E2E3E29180E2E2E2E2;at=DGXZZO0195164008122009000000
”政府は15日の閣議で、2010年版「男女共同参画白書」を決定した。高校以上で教育を
受けた女性が仕事に就いている割合が、日本は経済協力開発機構(OECD)加盟国
の30カ国中29位と説明。学歴があっても社会の中で生かす機会や受け皿が十分でない
実態を指摘している。
内閣府が07年の各国の就業率を、高等教育を受けた24~64歳の女性を対象に分析した。
ノルウェー(88.8%)がトップで、スウェーデン(88%)、英国(85.8%)と続き、
最下位は61.2%の韓国だった。日本は66.1%で1999年に比べて4.7ポイント上昇した
が、OECD全体の平均値 79.5%を大きく下回っている。
白書は「高等教育によって形成された女性の能力が、日本では就業の形で十分に生か
されていない」と説明。仕事に就いても結婚などを機に退職する女性が依然として多
いことが原因とみている。男女の給与に格差があることも女性の就労を妨げている一
因としている。
今後の対策としては「女性の能力を高め、それを発揮できる環境整備を進めていく必
要がある」と強調。仕事と子育てを両立できる就業環境の整備や、理工系分野での女
性の活躍の機会を増やす必要性を訴えている。
一方、白書は結婚や子育てに伴う退職を減らせば、最大で445万人の労働力増加につ
ながるとの試算も提示。就業者と求職活動をしている人の割合を示す労働力率で、女
性は20代と40代に比べて30代が落ち込む「M字カーブ」になっており、この「くぼ
み」を解消できれば少子高齢化による労働力人口の減少を緩和できるとしている。”
保育所の整備、潜在待機児童問題の解消が必要な理由は
ここにもあります。
欧州でもそうですが、低成長国においては
女性の労働力率を高めることが重要になります。
本当に男女の給与格差だけに問題があるのかも
突き止めなければなりません。
(高学歴の女性が低出生率なのだから、賃金は大きな要因ではない筈)
![]() | 『なぜフランスでは子どもが増えるのか-フランス女性のライフスタイル』(中島さおり,講談社) |
欧州諸国では一般に「学歴が高い女性は働くのが当然」
との意識が強いようです。そこにも関連がありそう。