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「日銀が金利をコントロールできなくなる可能性」- ヘイマン・キャピタル・マネジメントのカイル・バス氏

2013-04-15 | 株式・為替マーケット全般
今年になってリフレという新しいカルト宗教が流行っている。
通貨切り下げで経済成長できるものならば、とっくの昔に日本は経済成長を取り戻しただろう。
量的緩和を実施していた時期にどうして日本の成長率が低迷していたのか、愚者達は説明できない。

当ウェブログは、2013年が「悪い円安が始まる年」であると規定した。
それは同時に、金融緩和万能論者、言わばリフレ教の「終わりの始まり」でもある。

今の日本の金融緩和策が有毒であるのは、それに効果がないからではない。
不況時の金融緩和は当然であり、勿論それ相応の効果はある。

しかし金融緩和アナウンスや黒田バズーカの見せかけの効果が大きく見えるため、
幻惑された愚か者達は他の死活的問題をすっかり忘れているのである。

それは一つには成長に背を向けた企業・家計の過剰貯蓄であり、
豊かな高齢層にもバラまかれる身の程知らずの社会保障給付であり、
(生活保護よりも高齢者三経費の公費負担の方が遥かに巨額だ)
年老いた破滅的な人口動態を放置してきた政治家と日本国民の「不作為の罪」である。

「通貨切り下げは人件費を減価させて一時的な競争優位を確保する「時間稼ぎ」に過ぎない。
 その僅かな間に歳出構造に大鉈を振るい、真の構造問題を解決しないと経済危機は必至である。
 国土強靭化で日本経済が復活するものなら小渕内閣でとっくに成長率が急回復している筈だ。
 「経験から学ぶ愚者」にすら及ばない連中が日本政府の中枢に巣食っていることこそ致命傷になる」

と当ウェブログは書いたが、本当にこのままでは致命傷になりそうだ。

↓ 参考

アベノミクスの帰結は1000兆円超の政府債務+金利上昇 - 財務省が財政危機を事実上認める試算発表
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/d7d54acd2408cc63f24a9d86b0d67753

キプロスの預金課税はアベノミクスと同じ、本質的には国民資産の減価 - 円の減価は庶民生活を直撃する
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/75c16977a4267589918bd4f678852df1

▽ 日本でもアメリカでも量的緩和策は物価・GDPに影響せず、実体経済を好転させなかった

『金融緩和で日本は破綻する』(野口悠紀雄,ダイヤモンド社)


▽ 円安で企業を援護しても経営が劣化していては意味がない

『メイド イン ジャパン 驕りの代償』(井上久男,宝島社)


日銀の「壮大な実験」、消えない米ファンドの疑念 米州総局・川上穣(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/markets/kaigai/nyexpress.aspx?g=DGXNASGN0500W_05042013000000
”「中央銀行として今回ほど実験的な試みはない」。米債券運用の最大手ピムコのモハメド・エラリアン最高経営責任者(CEO)が米テレビに語った。世界の金融政策に精通したプロでさえ、驚きの表情は隠せない。4日のニューヨーク市場は、日銀の黒田新体制が打ち出した未曽有の金融緩和の話題で持ちきりだった。
 まずは市場に放出する資金の量(マネタリーベース)を「2年間で2倍にする」というわかりやすさ。上場投資信託(ETF)などリスク資産の購入を増やすだけでなく、債券では40年の超長期債まで対象に含める。黒田新体制は、事前の予想を超える「フルコース」をそろえてみせた。
〔中略〕
 米雇用関連指標が悪かったにもかかわらず、株価が上がったのは「日銀の強力な金融緩和でカネ余り相場が続く」との期待が高まったからだ。
 「市場に驚きを与える」。これが日銀の狙いの一つであったとすれば、目的は十分に達成したことになる。ただ正念場はこれから。日本を舞台にした金融政策の「壮大な実験」が一体何をもたらすか。答えはまだ誰にもわからない。
 米市場で聞かれるのは前向きな見通しばかりではない。「日銀やエコノミストは明るい世界が待っていると言いたいのだろう」。日本売りの急先鋒(せんぽう)として知られる米ヘッジファンド、ヘイマン・キャピタル・マネジメントの創業者カイル・バス氏が米メディアにコメントした。そしてこう続けた。「むしろ日銀は金利のコントロール能力を失う可能性が高い」
 名目ベースで見た経済規模で日本は米国の約3分の1にすぎない。にもかかわらず日銀が表明した資産の購入規模は、米連邦準備理事会(FRB)の7割超に達する。そのインパクトの大きさは想像を絶するものだ。
 たしかに長期債の買い入れは金利の低下を促す効果がある。だが政府の財政赤字を補填する「財政ファイナンス」ともみられかねない際限なき金融緩和が、いずれ国債価格の急落(長期金利の急騰)を招くリスクは否定できない。
 日本売りを公言するバス氏の「ポジション・トーク」と言われればその通り。だが、海外勢には日本の将来に対してなお厳しい見方も根強い。
 著名な株式評論家のジム・クレイマー氏は言う。「家電業界の没落が映すように、かつて輝いていた日本は消え去った」。日銀の未曽有の金融緩和が招くのは、「80年代後半の資産バブルが関の山」という。
 人口の減少が続き、将来の成長に向けた基盤がもろい日本。その点において米国とは決定的な差がある。米国の後を追うように、どんなに量的緩和のアクセルを吹かしても、長期的な成長の展望は見えないという意見だ。
〔中略〕
 世界中が、壮大な実験の場と化した日本の将来を注視している。”

アメリカでは「黒田バズーカ」の翌日から既にその「副作用」が囁かれていた。
日銀が金利をコントロールできなくなる危険性は、市場でのJGBの異様な動きも立証している。

カイル・バス氏は昨年も日本国債バブル崩壊との見通しを公言していて
実際には今のところ結果は逆に出ている訳だが、安心するのは早い。
「今金利が上昇していない」から「これからも金利上昇しない」と信じるのはただのカルトだ。

日本の社会保障給付の伸びと成長率・税収の停滞は、太平洋戦争と全く同じ「必敗の態勢」である。
いずれJGBの動きが手に負えなくなり、日本政府が予算を組めなる時が来る。
それはアベノミクスや金融緩和で何とかできる領域ではない。

インフレーション・タックスの「次元の違う」暴風雨が襲来するのである。
これも目先に囚われた衆愚的選択の帰結であり、所詮は因果応報と言うべきであろう。
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