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東京都内の母親の有職率は全国最低レベル -「仕事と育児の両立」路線は実効性なし

2007-02-27 | いとすぎから見るこの社会-少子化問題
この話をすると嫌がられるのは分かっているのですが、
非常に重要な問題ですので取り上げます。

2005年の国勢調査によると、都内の母親の有職率は45.8%(日本経済新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/retto/20070207c3b0704k07.html

” 東京都内で子どものいる夫婦のうち、母親が仕事を持っている割合(有職率)
 が45.8%と全国平均(52.4%)を大きく下回ることが、2005年の国勢調査
 でわかった。5年前と比べても0.8ポイントの上昇にとどまる。政府、自治
 体、民間企業などは仕事と子育ての両立支援に取り組んでいるが、都内の
 仕事を持つ母親の割合はほとんど変わっていない。 〔中略〕
 2000年から05年までの5年間で景気が回復し人手不足になったにもかかわ
 らず、子どもを持つ女性の有職率は変化なかった。都内の核家族世帯の比率
 が高く、子どもの世話を気軽に頼める人が近くにいる家庭ばかりではないこ
 となどのためとみられる。 ”

この報道から導き出される結論を一言で言えば、

「これまでの仕事と育児の両立支援政策は無駄」
であるということです。
「無駄」が暴言であるなら、「ほとんど無意味」と言い換えても構いません。

なぜこれほど所得水準が高く、求人倍率の高い地域であるにも関わらず、
有職率が低いのでしょうか。しかもこれだけ景気が回復しているのに。

「首都圏は育児に不向き」との見方も成立するでしょうが、
少なくとも現在主流の「育児と仕事の両立」路線の有効性は危ういです。

     ◇     ◇     ◇     ◇

労働経済学に少し詳しい人なら必ず知っている、
ダグラス・有沢の法則というものがありまして、
クリックするとウィキペディアのページにジャンプします)
妻の就労率と夫の所得水準には密接な関係があることが知られています。

たいそうな名称が付いていますが何の事はない、

夫の所得が低くなるほど妻の就労率が高くなる
という、考えてみれば極めて当然の法則です。

この古い発見は、一見「進歩的」に見える空想的立論よりも
遥かに現代の日本でも通用するのではないでしょうか。

これまで日本政府の少子化対策の主流は、「仕事と育児の両立」でした。
いったい何を調べてこのような結論が出ているのか理解に苦しみますが、
今回取り上げた報道は、その前提に重大な疑惑をもたらすものです。

東京都と全国平均でこれだけ有職率が違っている上に、
これほど都内の母親の有職率の上昇が鈍いわけですから、
これまで政府が行ってきたことは一体何だったのか、説明して欲しいものです。

… このような際に、責任者(無責任者?)が真剣な反省を怠り、
知らない振りをするか沈黙するのが日本の伝統的な悪癖です。

     ◇     ◇     ◇     ◇

話をもとに戻しますが、
日本政府が東京圏の世代同居を促進できるはずがありませんから、
(しかも、親を亡くしている世帯にとって不公平になる)
母親の就労を促進したければ、育児分野の予算を増やす以外にありません。

実際に育児にあたっている方にヒアリングすれば、
効果的な予算投入が可能になります。
(そもそも育児分野を真面目に分析・調査しているのでしょうか??)
東京都の予算の一定部分を毎年コンペで育児支援NPOに配分するなど、
できることはいくらでもあります。
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