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スパコン、悲しき利権の固まり -「国際競争入札が常識、国産より二桁安い」と池田信夫教授

2009-12-01 | いとすぎから見るこの社会-全般
既に池田教授がブログで書かれているのに、
(「ゼネコンの談合より悪質」だそうです)
裏を取らないで事業仕分けを批判する報道は、
単に情報操作されているだけ。

所謂スパコンは世界一かどうかが問題なのではなく、
科学技術の進歩への熱意があるかどうかの問題でもなく、
官製ゼネコンとも言うべき非効率性が問題なのです。

このままだと演算速度が世界一なのではなく、
予算の無駄遣いで世界一になりそうです。

日本の研究者は優秀です。
「分かりました、十分の一の予算で開発してみせます!」
と啖呵を切って欲しいもの。

熱意は予算死守の政治活動より開発に向けるべきでは?


【事業仕分け】最先端科学も“敗北”「スパコン世界一」を否定 ノーベル賞受賞の野依氏憤慨(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091113/stt0911131914010-n1.htm

”政府の行政刷新会議の13日の仕分け作業は、次世代スーパーコンピュータ
 ーの開発予算に事実上の「ノー」を突きつけた。議論の方向性を決定づけた
 のは「(コンピューター性能で)世界一を目指す理由は何か。2位ではだめ
 なのか」という仕分け人の発言。結局、「科学技術立国日本」を否定しかね
 ない結論が導かれ、文科省幹部は「日本の科学技術振興政策は終わった」と
 吐き捨てた。
 次世代スパコンは最先端の半導体技術を利用。ウイルス解析や気候変動問題
 のシミュレーションなど広範な研究での活用が期待されている。「1秒あた
 り1京回」という計算速度が売りで、現在、世界一とされる米国製の10倍
 の速度になる算段だ。平成24年度から本格稼働の予定だが、総額約700
 億円の国費が今後必要なため、財務省は見直しを求めている。
 この日、口火を切ったのは蓮舫参院議員。その後も「一時的にトップを取る
 意味はどれくらいあるか」(泉健太内閣府政務官)「一番だから良いわけで
 はない」(金田康正東大院教授)「ハードで世界一になればソフトにも波及
 というが分野で違う」(松井孝典・千葉工業大惑星探査研究センター所長)
 などと、同調者が相次いだ。
 文科省側は「技術開発が遅れると、すべてで背中を見ることになる」と防戦
 したが、圧倒的な「世界一不要論」を前に敗北。同研究所の理事長でノーベ
 ル化学賞受賞者の野依(のより)良治氏は「(スパコンなしで)科学技術創
 造立国はありえない」と憤慨していた。”

 → ノーベル賞受賞者まで動員するのは凄い。
   このような問題になってくると、
   研究者業界は結束が固いですからね。

   ところが、長崎から驚きの報道が………


スパコン:開発費3800万円で演算速度日本一(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/science/news/20091129k0000m040026000c.html

”東京・秋葉原でも売っている、安価な材料を使ってスーパーコンピューター
 (スパコン)を製作、演算速度日本一を達成した長崎大学の浜田剛助教(3
 5)らが、米国電気電子学会の「ゴードン・ベル賞」を受賞した。
 同賞は、コンピューターについて世界で最も優れた性能を記録した研究者に
 与えられ「スパコンのノーベル賞」とも呼ばれる。浜田助教は横田理央・英
 ブリストル大研究員、似鳥(にたどり)啓吾・理化学研究所特別研究員との
 共同研究で受賞。
 ゲーム機などに使われ秋葉原の電気街でも売られているコンピューターグラ
 フィックス向け中央演算処理装置(GPU)を組み合わせてスパコン製作に
 挑戦。3年かけGPU380基を並列に作動させることに成功。開発費は約
 3800万円。一般的には10億~100億円ほどかかるというから破格の
 安さ。

 毎日新聞 2009年11月28日 18時41分(最終更新 11月28日 19時16分)”

 → ここで素晴らしいヒットを飛ばしているのは毎日新聞。
   3,800万円で日本一になれるのであれば、
   世界一に700億の予算を投入する理由はないでしょう。






『希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学』(池田信夫,ダイヤモンド社)


池田信夫氏は上掲書で以下のように述べておられます。
余りにも面白すぎるので一部を引用させて頂きます。

”理化学研究所のプロジェクトとして開発が進められている汎用京速計算機と
 いうスーパーコンピュータの開発から、NECと日立が離脱すると発表した。
 国策プロジェクトの途中で企業がおりるのは異例だが、このプロジェクトは
 もともと開発の意義が疑問視されていた。
 〔中略〕
 1150億円というのは、現段階の建設費だけの見積もりに過ぎない。建屋
 は三階建てで総床面積は地球シミュレーターの3.5倍程度、2000台近
 くのラックの消費電力は40MWで、年間維持管理費は80億円強。建設予
 定地には関西電力の専用発電所の建設まで決まったというから、総経費はさ
 らに莫大になる。文科省の専門評価委員会のフォローアップでも、疑問が指
 摘されている。
 さらに問題なのは、発注した理化学研究所のプロジェクトリーダーが、NE
 Cから「天下り」した人物だということだ。自分の出身企業から調達するの
 だから、なるべく高値で発注するだろう。これは明確な利益相反であり、ゼ
 ネコンの談合より悪質だ。そして、このように巨額のプロジェクトが随意契
 約でITゼネコン三社の共同受注となった。スパコンは国際競争入札を行う
 のが常識であり、そうすれば国産より二桁安い海外メーカーが落札したであ
 ろう。この非常識なコストを負担するのは納税者である。

 建設地をめぐっては、各地の自治体が誘致合戦を行ったが、最終的には神戸
 のポートアイランドに決まった。ここは交通の要衝であり、スパコンのよう
 な交通の便の必要のない施設が立地するのはおかしいとの声が地元でもあっ
 たが、埋め立て地が空いて困っている地元の政治家とゼネコンの運動で決ま
 った
という。
 要するに、これはスパコンの名を借りた公共事業であり、世界市場で敗退し
 たITゼネコンが税金を食い物にして生き延びるためのプロジェクトなのだ。
 米政府がスパコンを国家プロジェクトでつくるのは、軍事用だから当然であ
 る。しかし、京速計算機で目的としてあげられているような一般的な科学技
 術計算に国費を投入する意味はない。むしろ東工大のTSUBAME(わず
 か20億円で、性能はシミュレーターを上回った
)のように、各研究機関が
 その目的に合わせて中規模の並列計算機を借りればよいのである。
 ITゼネコンの弊害は、建設ゼネコンよりずっと大きい。
 〔中略〕
 通算省のやった「大型プロジェクト」の大部分は失敗だったが、その事後評
 価さえほとんどされていない。
 このシステムを支えているのが、理科系の御用学者だ。学会のボスが役所の
 審議会の委員をして予算の分取りに協力し、その見返りに巨額の研究費を取
 ってそれを弟子に丸投げし、弟子は大学院生を総動員して与えられた目標を
 達成し、研究費の分け前にあずかる、というゼネコン構造になっている

 〔以下略〕”

私から付け加えることは何もありません。
スパコンをどう論じようが構わないのですが、
余りにも情報操作が多過ぎるという事実は
よく理解しておいた方が賢明です。
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