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医療事故により日本で毎年5万人が死亡か、自殺者数より多い - 医療機関は依然として情報公開せず

2013-10-23 | いとすぎから見るこの社会-全般
医療界は業界への株式会社の進出に強い警戒感を表明するが、
残念ながら行動原理において株式会社と医療界はよく似ている。
同類だからこそ互いに憎み合っているとさえ言える。

情報の非対称性を武器とし、不都合な情報は隠そうとすること、
公益性を前面に押し出してプロパガンダを振り回すが
実際の行動を見ると利害でほぼ全ての行動が説明できること、
自らの縄張りへの侵入者に対しては敵意を剥き出しにすること。
考えれば考えるほど両者は共通点が多い。

当ウェブログが常に左のスペースで著書を紹介している北原茂実氏は、
「日本の医療は関係者の利害が絡み合って動きが取れなくなっている」
と総括されており、日本医療の変革を事実上諦めている。

その閉塞の中で一部の医療従事者にばかり負担が集中し、
(医療関係者は仲間が苦しんでいるのに殆どが拱手傍観している)
医療を改善しその質を上げるための努力をほぼ放棄している。

情報を開示せず医療側の利害と都合を重視する姿勢は、
結果的に患者側の要望や信頼を無視する結果につながりかねないのである。

▽ 李啓充氏が何年も前から批判しているが、黙殺されている

『市場原理が医療を亡ぼす―アメリカの失敗』(李啓充,医学書院)


▽ 週刊ダイヤモンドがいち早く報じた「製薬業界からの不透明なカネ」の問題もある

『週刊ダイヤモンド』2013年 9/28号


医療については誠実な議論が成り立っていないために、
利害関係者に対する根深い不信がある。

「適切な医療なのか不適切な医療であるかは
 利害関係のある当事者が判断すべきものではない。
 高等教育を受けた者なら当たり前過ぎる常識である」

「利害関係者は公共政策を誘導するのではなく要望にとどめ、
 情報を開示して有権者の判断に委ねなければならない。
 まともな民主主義国なら当然であろう」

「余りにも巨額過ぎる医療扶助の問題は、
 実際には比率の低い不正受給問題より重大である。
 例えば奈良県の山本病院事件を見ればその深刻さは明らかである」

「日本医師会は迂闊なことに医療扶助を「適切」としてしまっているが
 これは後で大問題になるリスクを孕んでいる。
 所詮は利害関係者の経営上のプロパガンダと判断される可能性もある」

と当ウェブログが指摘した問題は一向に改善していない。

 ↓ 参考

日本医師会、巨額の医療扶助をも「適切」であると主張 - 政治的主張ではなく情報開示を
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/3ba7efdb299dbd664ec14dcd58099575

社会保障を食い荒らす人々 - 利権化する生活保護、医療扶助を狙う診療所が増加中
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/11007818569d7537006882401f4a14e4

▽ 医療界は何かと言えば予算しか言わないが、欧州の情報公開や開業規制については沈黙する

『失われた「医療先進国」』(岩本聡,講談社)


年5万人弱死亡?「医療事故」調査委設立へ(プレジデントオンライン)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130918-00010633-president-bus_all
”「米国では入院患者の0.4%が医療事故で死亡している。日本の医療を米国と同レベルと想定すると、日本の年間入院患者は1200万人だから、うち0.4%、約4万8000人が医療事故で亡くなっていると推定される。ほとんど知られていませんが、交通事故死の約10倍で、自殺者(約3万人)よりも多いのです」――医師で医療ジャーナリストの富家孝氏はそう語る。
 4万8000人といえば、日本人の死因の第5位に相当するが、医療事故情報を正確に公表している医療機関はほんの一握りと見られ、実態はベールに覆われたままだ。医療事故の多発に伴い、2012年には約800件の医療訴訟が起こされ、ここ数年、漸増している。
 こうした状況を踏まえ、厚生労働省は08年以降、医療事故の調査制度(医療版事故調)の創設に向けた試案を何度か提案する一方、医療者、法律家、患者遺族などによる検討部会を開催してきたが、「医療事故に刑事罰を科すと、医療崩壊する」という意見が医療者から出され、それを巡る意見対立から議論は難航。今年5月末、「医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方」がようやくまとまり、いよいよ医療版事故調設立に向けた法案作りが本格化する。
 だが「あり方」が示す医療版事故調像には「問題が多い」と富家氏。
〔中略〕
「このため、事故調についても医療者側は“調査報告書が警察の捜査に使われたり通報されるなら協力しない”との立場。このため『あり方』では、事故調から警察に通報しないことなどが盛り込まれ、遺族は事故調に参加できない」(同)
 厚労省関係者は「事故調の目的は事故の原因解明であり、医療者を罰するためではない。遺族など関係者全員が納得する案は作れない。とにかく組織をスタートさせ、問題があればその都度直していくしかない」と話すが、富家氏は「航空機事故でパイロットが刑事責任を問われるように、医療者が刑事責任を問われるのは『法の下の平等』上、当然。医師を特別視するのは憲法違反です」と強調する。医療版事故調が医療者の免責に使われることがあってはならない。”

この富家氏は医大との訴訟を抱えているので
個人的事情を割り引く必要があるが、それでも主張は正当である。

この数字はアメリカの数値を元にした推測であるが、
これだけの医療事故による死者が出ているとすれば
最低でも自殺問題と同等かそれ以上の扱いを受けてもおかしくない。

医療界が情報公開に積極的でないという事実は、
企業の不祥事と全く同じ構造で「不都合な事実」の存在を強く示唆する。


向精神薬依存:8割、投薬治療中に発症 「医師の処方、不適切」--専門機関調査(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20130619mog00m040012000c.html
”ベンゾジアゼピン(BZ)系といわれる向精神薬の依存や乱用に陥った患者の8割以上が、アルコール依存など別の疾患の治療中に発症していたことが、国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)の調査で分かった。BZ系は用量内でも乱用・依存に陥る可能性が指摘され、欧米では処方を避ける傾向にある。診察せずに処方されたケースも4割あり、調査した専門家は、医師の不適切な処方が発症につながったと指摘している。【和田明美】
 2011年12月、同センターなど首都圏の薬物依存症専門医療機関4カ所が、BZ系と、近い系統の睡眠薬や抗不安薬を乱用するなどしていた20~60代の87人(男性37人、女性50人)を調査。うち84%の73人が、調査対象の専門機関にかかる前の通院先で、アルコール依存や気分障害、不安障害、睡眠障害などの治療中に乱用や依存に至っていた。
 依存、乱用するようになった薬は、調査対象者の89%の77人が精神科医療機関で処方されたものだった。知人や密売人などから入手したのは、いずれも1割未満だった。
 処方時の問題は、BZ系で特に依存の危険がある薬を処方(7割)▽患者が薬をためている可能性を考えず漫然と処方(同)▽多種類の処方(5割)▽用量を超えた大量処方(同)▽診察なしの処方--などがあった。
 一方、患者は「不眠の解消」「不安・緊張感の緩和」「いやなことを忘れる」などを求めて乱用したものの、調査対象者の6割が暴力をふるったことを忘れるなどトラブルを起こしたほか、5割が過量服薬で救急搬送され、3割が交通事故や転倒で救急搬送されるなどしていた
 BZ系は、不眠や不安の解消などさまざまな場合で処方され、国内での向精神薬の依存や乱用の原因の約9割を占めるとされる。
〔中略〕
 1970年代に欧米で乱用・依存が問題化し、英国国立医療技術評価機構のガイドラインでは2~4週間を超える使用は推奨されておらず、米国食品医薬品局も長期の使用は承認していない。
〔中略〕
 日本では精神科以外でも広く処方され、抗不安薬の処方件数は欧米の6~20倍とも言われる。
 同センター薬物依存研究部の松本俊彦・診断治療開発研究室長は「患者の不安が強いと、一時的にBZ系を使わざるをえない場合もある」としながらも、「医療機関が依存性の高い薬を処方し続けたり、多種、大量に処方したりすることが発症につながる。診察なしの処方は兆候を見過ごすことになり、絶対すべきでない」と指摘している。

◇医師が依存作り出す--薬物依存症に詳しい成瀬暢也・埼玉県立精神医療センター副病院長の話
 ベンゾジアゼピン系の依存や乱用に陥った患者の薬の入手先を調べた事例は、これまでなかったのではないか。1、2人の医師で多数の患者を診察しなければ経営が成りたたない医療機関は多い。診察に時間をかけられず、薬に頼りがちで、医師が患者の薬物依存を作り出すことになってしまう。”

この報道は毎日新聞の殊勲で、
情報公開によって問題の輪郭が明らかになった事例である。
当事者に言い分があるのなら、堂々と世に可否を問うべきであろう。

何か不都合な報道があると「医者叩き」とレッテルを貼る
程度の低い医師も残念ながら存在するようである。
それは日本の医療への信頼を深く傷つける行為でしかない。
本当に過労で倒れそうな医師であればそのような裏工作をする暇はない筈だ。
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