たびにでるたび

***旅に出るたび **胸につもる何かを *ほんの少し、眠る前に

14歳

2010-03-19 00:27:58 | メモ
よく晴れたあの日、雨が降った
誰にも知られずに
やわらかな天気雨が
密かに僕を濡らした
僕は
14才だった

泥だらけの仔猫が僕の足元で
寒さにふるえながら
飢えた目で見上げる
何も言えずに立ち去る
僕は
14才だった

折り曲げた指を掌に隠して
強く握り締めた時
皮膚に爪が食いこんで
掌には赤い痕が残った
僕は
14才だった

明け方に窓を明けて
毛布にくるまっていた
風がカーテンを揺らし
髪を揺らし頬に触れた
僕は
14才だった


求めたのは届かないものだけ
あれは夢とうそぶきたがった
取り返しはつかないほうがいい
省るのは昔だけでいい

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