マリア・カラスとマリオ・デルモナコのデュエットばかり集めたのを
YouTubeで見つけました。↓
ベッリーニ作曲 「ノルマ」はベルカント物の中でも「ドラマティック・コロラトゥーラ」
に属する超絶に難しい役です。
タイトルロールのノルマだけでなく、相手役のテノールにも、同じことを要求されています。
重たいSopranoなのに、軽々と難しいコロラトゥーラの技巧を歌えないとなりません。
そして、同じく重たいテノールなのに、コロラトゥーラが歌えないと成らないので、
中々歌える役者(歌手)が揃わないので、上演される事が少ないオペラです。
誰も歌えなかったので、ずっと上演されなかったこうしたオペラを復活させたのがカラスです。
ベルカント唱法とは、大体3オクターブに渡る声域を、むらなく鳴らす事の出来る歌唱法で
トリルやクロマティックな音型を軽々と正確に出来る為にある技術です。
オーケストラを抜いて響き渡らせるテクニックが先ず、基本です。
更に、声に感情と言う色を乗せて、自在に表現出来る様に成れば、完成です。
歌うと言う事は、呼吸する事と一緒です。
ですから、長いブレスが出来ないと、オペラは歌えません。
上記のYouTubeを聴いて頂ければ分かりますが、
ドラマティックテノールのマリオ・デルモナコが、コロラトゥーラを歌っています。
例えコロラトゥーラを綺麗に歌えても、声が細かったらポリオーネ役には不足です。
軽い声の方が転がり易いので、コロラトゥーラは上手に出来るでしょうが、表現者として、足りないのです。
そして、重たいテノールは、そもそも動かない人が多いので、この役を歌える人は少ないのです。
二十世紀には、ドラマティック・コロラトゥーラの名手のカラスと、
ドラマティック・テノールでコロラトゥーラの出来るデルモナコが居たから、
「ノルマ」が再演出来たのです。
奇跡ですよ、「役者がそろった」なんて。