「Micro」 マイケル・クライトン+リチャード・プレストン
泰斗マイケル・クライトンが途中まで残した遺稿。あのホット・ゾーンのあのコブラの眼のリチャード・プレストンが完成させたという、二重に興味わくわくの原書。
どちらも尊敬する作家なので、「邦訳が早く出ないかな、そしたら図書館予約できるのになあ」と呟いていたら、知人から貰ってしまった。ラッキー。
護身のために身体を鍛えているカレン。バルチモアで弁護士をしていた姉が白昼、駐車場に歩いて行くと暴行され、意識を亡くした状態で強姦された。それも法律事務所の同僚から攻撃されたらしい。29頁
サラ・パレツキーの「沈黙の時代に書くということ―ポスト9・11を生きる作家の選択」を思い出してしまった。他人より知り合いからの強姦の方が多い。6人に1人が強姦されている、とか。
そんなことも考えながら、カレンが如何に難局を打破していくかに、はらはらする。
植物の名前など知らない単語もあったが、勢いで読み進む。学生7人のうち、ふと気がつくと半分が死んでしまった。それから先は、びゅんびゅん展開が加速。
彼らの小説は全作文句なしに面白いのだが、本作は主要人物群のキャラクター造型が若干ものたりない。「タイム・ライン」に抱いた不満と近いかんじ。
科学ものを原書で理解できるか不安だったが、なんとか堪能できて...ほっとした。大人のエンタテイメントなり。