モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

羊と過ごした1ヶ月

2021-07-14 23:51:14 | スタッフ講師

こんにちは、ナツメです!今回は私が通っている武蔵野美術大学の授業を紹介します!
私の在籍は視覚伝達デザイン学科ですが、今回ご紹介するのは彫塑の授業です。デザイン学科なのに彫刻?と思いますよね?実は武蔵美では、美術を学ぶ立場として基礎的な技術力をつけるために全学部学科の一年生が絵画と彫刻の科目を必修で受けることになっているんです。

学部ごとに彫るモチーフが違うのですが、今回はヤギ・ヒツジの頭部の石膏像を制作しました!なんと牧場から10頭のヤギとヒツジを借りてきていて、その中から一頭をモデルに選びます。ちなみに、ヤギ達の世話も学生が当番制で担当しました。

初めに水粘土で大まかな形を作っていきます。サイズは大体実物より少し大きいくらい。後で石膏で型を取るのですが、それ以降は大きな形の変更ができないので、ここでは目などの細かいパーツは置いておいて全体のバランスをとっていきます。

粘土で形が取れたら次は石膏の出番!像を作るための型を作る工程です。粉の状態の石膏を水で溶き、粘土にかけていきます。3cmほどの厚さになるまで重ね、石膏が固まったら粘土から外して型の完成です。

この中に石膏を流して像を作るのですが、このまま流し込むと型と石膏が引っ付いてしまうので離型剤を塗ります。型を石膏で埋めてしまうとめちゃくちゃ重い石膏像になってしまうため、空洞にするために内側に石膏を流し型をとります。アトリエにある石膏像も中が空洞になっていますよ!重い頭部をぐるぐるまわして内側に石膏を塗るのでこの作業が1番身体的負担が大きく、ヒツジと戯れながら観察兼息抜きをしつつ3日かけて作業を行いました。

ノミで型を割り出し、型取りが終わればとうとう仕上げです!修正箇所を朱墨で書き入れ、石膏をつけたり彫ったりを繰り返しながら、顔の微妙な凹凸や目鼻の形など細かな部分まで調整して完成です!

普段はデザイン科で平面の作業しかしていなかったので本格的に立体作品を作るのは今回が初めてでしたが、1ヶ月かけて360°全てを作り込むことで、最後には立体への理解度、解像度が格段に上がりました。一方向だけでなくどこから見ても本物と同じ形になるように作っていくので、立体版デッサンみたいで楽しかったです!実際にヒツジに触れることで口がとっても柔らかいことや、毛に埋もれた首が意外と細いことなど、遠くからデッサンするだけではわからない発見も多くあり、とても良い経験になりました。

長くなりましたが、最後は授業期間中に産まれた子ヒツジで締めようと思います!
(この子に気をとられて完成がギリギリになったのは内緒です)

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暖かい日にぴったりな1枚

2021-07-13 22:13:06 | 大人 日本画


古谷 日本画(岩絵具・和紙・顔彩)

通り雨のせいで傘を買いました、一平です!本日は日曜クラスの古谷さんの日本画をご紹介します。

旅先の風景を日本画に収め、非常に味わいのある質感に仕上がっています。草が生い茂っているような立体感の与えづらい部分の描き方から、ピンク色のブーゲンビリア(違ったらすみません)のトーンまでとてもこだわって描かれていました。そういったこだわりのポイント(ここまで描きたいというゴール)をしっかりと定めて、そこに向かって着実に歩みを進めていく古谷さんの丁寧さは絵からとても感じるのですが、僕がいつも思うのは古谷さんの質問のレベルの高さです。例えば陰影の付け方を質問される方はいらっしゃるのですが古谷さんの場合、「ここの花の影は形を観察しながら付けていったのですが、なんだか違和感があるのでどこが変か言ってください!」と一旦ご自身で考え実行しそれでも掴みきれなかった部分を先生に聞いてみる、という質問の仕方なので我々としても遠慮なく言えますし、古谷さん的にも違和感の正体が分かるという非常にwin winの関係が築ける質問の仕方なのです。

また、絵に関して手前奥の演出はもちろん素晴らしいのですが、影が特に素晴らしいです。絵のレイアウトとして茂みがかなり大きく入っていて、普通ならここで空間が潰れてしまいそうなものですが、地面に落ちる影のおかげでどのくらいの質量感なのか、どのくらい強い光が当たっているのかという所を推測でき、それにより結果的に絵の中で奥行きが生まれています。絵の定石として地面に光と影を順番に何本も配置する事で奥行きになっていきますが、この絵の中では手前の影と奥の光の2つだけでこんなにも自然にスーッと奥に行っていますすごい。素晴らしいのですがなんだかどこか悔しい気持ちです

今回ブログで書いたことは普段絵を描かない人からしたら細かい部分で、もしかしたら気づかないところかもしれません。ですが絵はもちろん、僕が専攻しているデザインを含めた「美術」とはそういった人の目には触れづらい水面下のこだわりの積み重ねだと思います。そういった意味でも「美は細部に宿る」という言葉がとても似合う一枚です。

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小学校受験絵画の指導

2021-07-12 23:29:19 | 小学校受験講習会

小原です。本日約1年振りに『小学校受験指導者講座』を開催致しました。お知らせはこちら
参加人数が多くならないようにする為、先月発行しました新刊をご購入の方のみ受講できる講座にしましたので、9人と少ない保護者様で勉強致しました。

まず最初は、この講座の名物にもなっております『お母様の模試体験』をして頂きました。
四切サイズと、かなり大きめの画用紙に向かい、6色しかないクーピー(ペールオレンジも入っていないので、肌は描けません)で『コロナで外で遊べません。おうちの中で何をして遊びますか?7分で描いてください。』という課題にチャレンジです。
もちろん質問は無し。お子様達も、受験をする時は質問はできませんので。
この模試をやられた後の感想は「子どもの弱点はそのまま私の生き写しだと感じました。」「普段こどもに注意している部分は、まさに自分に似ているのだと思いました。」と、気付いて頂けたようです。
トンビは鷹を生みません。鷹もトンビを生みません。全てではなくても、どこか似ている所があることでしょう。
欠点は長所にもなりえますので、親子二人三脚で成長していきましょう。

今回のテーマ『重なり』は、教わらなければ絶対に描けない技術です。
小学生になれば自然に理解する…?いいえ、理解して一人で描けるようになる子は一握りです。
お母様の手で受験前にテクニックを身に付けさせ、ぜひ見栄えのする絵に導いていって欲しいと思います。

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ドアを開け放て

2021-07-10 00:26:39 | 大人 デッサン


大西 鉛筆デッサン

岩田です。今日は本当に暑い一日でした。

今回は土曜午前クラスの大西さんのデッサンをご覧頂きます。
近年、一貫してデッサンに拘って描き続けているだけに表現力を増しています。

たかだか鉛筆と消しゴムというシンプルな描画材のみで紙にアプローチし、モノに迫っていく行為は単純でありながらもそこはかとなく深い。
それは徹底した観察により、如何にそのモノのと自分が同化できるかだと私は思います。
更にそれは、そのモノの声を聞くとか、そのモノになり切るという言葉でも表現できるでしょう。

人はモノと対峙する時、自分の経験を元にこうであろうとある種決めつけてそれを認識しようとする傾向にあります。思い込み、観念と言っても良い。
デッサンという行為は、その思い込みを如何に取り払うことができるかが鍵です。
自分をフラットにしてドアを全て開け放った時、眼前のモノと自分の距離は0になるどころか、一体となっていくのです。

自身、モチーフ、描画材、画面との対話の中で、一つの確固たる世界が構築されていきます。

とはいえ、3次元を2次元にリアルに表現するためには、そのように描く為の「理論」も必要だといういことも忘れないでください。

大西さんのデッサンも、モチーフと自身の距離がだいぶ縮まってきたと感じます。でもまだまだ行けます。これからもっとその距離を縮ませて欲しいと思います。その扉を更に開け放ちましょう。

来週の土曜クラス・日曜クラス・月曜クラスは、お休みです。お間違えのないよう、お気を付けください!

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印象的な青

2021-07-09 21:26:39 | 大人 油絵・アクリル


鈴木.m 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは水曜午前大人クラスの鈴木さんの作品です。こちらは本の表紙の油彩を模写されています。

まず目に入ってくるのは、雲ひとつない爽やかな空の青色と、それをバックにして輝くような風車の白い壁。よく晴れた暑い日の、降り注ぐ陽光を眩しいほどに反射する白い壁の様子が見事に表現されています。この風景の気温が伝わってきますね。空の青色を印象付けるため、建物の色は全体的に彩度を低くまとめてあります。フリーハンドによる建物の直線はわずかに歪みを持っており、画面の殆どを無機物の建物が占めている中で、柔らかく穏やかな雰囲気が作られています。影にはグレーと青色を使う事で、暗い面でも色彩を豊かにし、明るい面をより綺麗に引き立ててくれています。色の塗り方にも特徴があり、あえて色のムラを作り均一にならないように絵の具をのせているのでしょう。そうする事で土壁の不均一な質感を表現すると共に、油彩らしい魅力を持った作品となっています。
日常ではピンクや黄色一色の建物を目にすることがあまりないので、なんだか可愛らしくも見えてきますね。学生の頃は、こうしたタッチで描かれた風景が印刷されているクリアファイルをよく買って使っていたので、なんだか懐かしくなってしまいました。

作品を見ただけでは分からない事も、模写によって隅から隅まで色を作る事で新たな発見や学びがあったりします。制作に行き詰まっていたり、次の制作のアイディアが浮かばない時は好きな作家さんの模写をやってみても楽しいですよ!

 

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大きなバラと笑顔

2021-07-08 21:11:54 | 幼児

雨が続いていますね、ホノカです。本日は幼児クラスの授業のご報告です。

今回の授業ではバラをメインにして、茎や葉、それを見ている自分を周りに描きました。バラは束になっているものから一人一輪ずつ切り取り、手元でじっくりと観察しながら描いたので、重なる花びらが華やかな色使いでよく描けていますね!
バラは形が複雑なため「むずかしそうー!」と言っていた子も、実際に
花びらを触りながら枚数を数えてみたり、一枚だけちぎって見ることで、先が少し尖っている形や色のグラデーションが分かりやすくなって、より本物に近づきました。またバラの花だけでなく、トゲの付いている茎や葉っぱも同じように手元に置きながら描きました。

そしてバラを描いた後は、そのキレイなバラを見ている自分も追加して。喜んで手を広げていたり、バラに触ろうとしていたりと色々なポーズでバラを見る素敵な笑顔が溢れていますね!今回は先生の描いた見本なしで自分の目で見たものを描いたので、形も色使いも大きさものびのびしています。
バラ以外のお花の花びらや葉っぱはどんな形をしているかな?お家の近くやお花屋さんに行った時は探してみてね!

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それぞれの金属

2021-07-07 22:47:40 | 大人 デッサン


左 釘宮  /  右 松下  共に鉛筆デッサン

いつの間にか1年も半分が過ぎてしまいましたね、ナツメです。
今回は日曜クラスからお二方のデッサンをご紹介します!

お二人とも体験の時のものを含めると4枚目のデッサンになります。
アトリエでは学生クラスと大人クラスに入会された方には、まず
3枚のデッサンを描くことをお勧めしています。体験時の絵+入会後の2枚は、全てこちらがモチーフを指定しているのですが、最後の4枚目では生徒さんに『金属でできた工業製品』を1つ選んでいただき、講師がそれに合わせて他のモチーフを選んだり、全て生徒さん任せでセットを組んで頂いたりしています。
単に金属と言ってもツルツルしていて鏡のように反射するものから、錫や鉛のように表面の反射が鈍く他との質感の描き分けが難しいもの、ナイフのように細くて軽めのものもあれば、小さいのにずっしりと重い密度のものまで幅広く用意してあるので、今回の
2枚の様に選んだ金属製品によって合わせるモチーフ、構成も大きく変わってくるのがこのデッサンの面白いところです。

今回釘宮さんが選ばれたのはアルミで出来た、イタリア製エスプレッソメーカー。反射が少なく形も難しいものですが、八角形のエッジが強調されており、また、周りのモチーフの曲線と工業製品ならではの直線の対比によって金属の硬質さや冷たさが伝わってきます。ボールのレタリングや縄目を見ると、モチーフへの観察量も伺えます。

そしてうさぎが可愛らしい松下さんのデッサン。こちらは大きく動きを変えられる鎖を選ばれていますね。一つ一つ、うさぎの脚に巻かれた時の形やチェーン特有の影の形まで丁寧に描かれているので、手前から奥へのゆったりとした流れがわかりますね。コーラ瓶のぎゅっとした暗さで画面全体も引き締まっています。

今回基礎のデッサンが終わったので、次作からは好きな画材に挑戦です。釘宮さんは透明水彩・松下さんは油彩にチャレンジされるようですよ。どんな作品を描かれるのか、楽しみにしています!

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暖かい景色の中で

2021-07-06 22:24:35 | 大人 日本画


加藤 日本画(岩絵具・顔彩・金泥・和紙・パネル)

雨が止まらないですね、一平です!本日は日曜クラスの加藤さんの日本画をご紹介します。

暖かい空気感の中に広がる花畑がとても美しいこちら。麦わら帽子を被った少年が虫カゴを持って通りかかりそうですね。これだけ沢山の花を描いていながら花びら一枚一枚の薄さ、独特の透け感まで感じるような繊細なタッチに目を惹かれます。花は基本的に上向きに咲くものが多いので、慣れていないと描くときに全てひまわりのように正面を向いて平面的になり絵に奥行きを出しづらくなってしまいがちですが、そんな気配を1ミリも感じさせず爽やかな夏の雰囲気を描き切りました。よーく見ると蜂が花にとまっています。この場合、蜂を主人公にして絵を構成していきそうなものですが本当に花畑の中を歩いている時に偶然蜂を見かけて、そーっと歩いていく様な情景が浮かぶくらいとても自然でありながら生命感も感じる気配感です。

また、素晴らしい描写力のリアルな花畑と蜂だけでは終わらず、絵全体が暖かい色彩だけだと画面が緩く見えてしまうためキュッと引き締める爽やかなブルーも挿しています。色彩の構成、どのくらいの塩梅で色を入れるのかの判断も本当に素晴らしいです。花びらや背景に少し使われている金も上品で良いですね。

日本画1枚目とは思えない加藤さんの勘の鋭さと確かなデッサン力を感じる表現に僕は毎回「めっちゃいいっすね!」「最高っす!」しか言えなくなってしまい本当に不甲斐ない限り、お恥ずかしい!

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原宿にアトリエがオープン!

2021-07-05 22:58:57 | 講師・生徒さん展覧会

稀にブログに出現するミオス卒業生&元ミオスのスタッフの杉本菜々子です。ご無沙汰しております。お元気でお過ごしでしょうか??
今年はお正月に一度ブログを度担当させていただき、その際は美大卒業にあたって4年間の感想
(美大生の闇、高校生へのアドバイス等)を綴りました。大学を卒業して4ヶ月、企業にも就職しなかった私は、現在フリーランスのイラストレーター、デザイナーとしてお仕事をもらったり、アーティスト活動を行いながらキャンプ用品店でアルバイトをして、ジタバタ元気に生きております(^O^)

 

そして今回は皆様に重大なご報告があり、そしてその宣伝も兼ね、再びブログを書かせていただいております!

なんとこの度、大学の同期4人で原宿駅前にアトリエ、ギャラリーをオープンすることができました!(拍手

(オープニング展示のDM↓)


大都会の駅近に何故。と自分たちでも驚きを隠せないのですが、ざっくりと経緯をご説明すると、多くの方のご協力のもと、取り壊し予定の廃墟マンションの一部をお借りして、解体までの期間限定で、アート活動の拠点として使えることとなったのです。
私たちはそこをMantle.Lab(マントルラボ)と名づけ、やりたいことに挑戦できる実験場のようなアトリエ、そしてそれを発信できるギャラリーを設けました。
業者の方に一切外注することなく、ボロボロだった部屋を1から掃除し、4人で力を合わせ1トンのセメントを地面に引きました。

オープンに合わせて展示を開催することとなり、このような時期ではありますが、1人でも多くの方に成果をご高覧頂けたらという思いでおります!

マントルラボでの第一回目の展示”sphere(スフィア)”では、私たちの個々の作品や活動を紹介する展示会を行います。

会期は7/10(土)7/18()までの8日間です。

コロナで数少ない方にしかお見せできなかった卒業制作などの過去の作品や、新しい作品を展示いたします。

 興味のある方は是非ともお越しくださいませ!

 

すぎもとななこ

Instagram: @sugimoto_nanako 

 

Mantle.lab

多摩美術大学グラフィックデザイン学科の卒業生4人でオープンしたアトリエ兼ギャラリースペース。

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