モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

偶然の産物

2024-05-15 22:18:20 | 大人 パステル・色鉛筆・他


佐原 木版画・一版多色刷り

 

黄砂に喉をやられてしまいました、ナツメです。本日は月曜大人クラスの佐原さんの作品をご紹介します!

今回は2017年の有馬記念の様子を版画にされました。力強くターフを蹴る疾走感が伝わってきますね。色版をいくつか使い分ける版画の浮世絵などとは違い、今回は一版多色刷りという一つの版に数色の絵の具を乗せる方法で印刷しています。あまり水で溶かない状態の水彩絵具を直接板の上に塗り、絵の具が乾かない内に刷ります(下図が印刷後の版です)色ごとに版を分けないため色入れ作業に時間がかかりますが、ずれずに綺麗な仕上がりになるのが特徴です。

尻尾の毛や手綱、筋肉の凹凸など非常に細かい線も丁寧に彫っています。黒い紙に刷るため彫った部分が黒く浮き上がるのですが、それを活かしてまるで競走馬が浮かび上がって見えてくるかのようにシルエットで形を捉えていますね。背景の白の掠れ方も相まって、息を呑むような会場の臨場感も伝わってきます。版画ではインクが筆のようにコントロールできず、掠れや溜まり、滲みなど偶発的に生まれる表情が魅力の一つです。彫っている間にイメージした完成図のようにはいかず、思い通りにならないからこそ、今回の掠れのような相乗効果が生まれた時の喜びもひとしおです。


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