渥美 油彩
岩田です。今回は渥美さんの油彩をご紹介します。
床に置かれたエアジョーダン1、こちらは、ご友人へのお礼として、「その方が大切に履かれているスニーカーの絵をプレゼントしたい」ということで描きはじめた作品です。
新品の状態から何度も足を通すことで、徐々にその人の足の形に馴染み、汚れや傷の痕跡と共に味わい深くなっていくスニーカー。その雰囲気を見事に捉えた1枚です。
静かではあるが、まるで履いているその人自身を物語っているような作品で、スニーカーというモチーフを渥美さんというフィルターを通すことで、作者らしい飾らない素直な色彩感覚が加味されています。又、床の木の色目しても、重層的に色を置くことで、実に深々とした色彩を作り出しているのです。
人に手渡すことを前提に描く作品というのは、やはりどこか気合が入るというか、その人に喜んでもらいたいと感情が絵の中に込められるものです。描いている時も相手が絵を見た時の表情やしぐさを想像したりするかもしれません。
それはあくまでも個人間のやりとりかもしれませんが、画家が見られることを前提に絵を描く行為に似ています。そうした意識下で絵を描き続けることは、自分が理想としているものを描くことへの最短ルートかもしれません。