モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

木版リトグラフ戦記4

2024-01-27 22:35:44 | 小学生 絵画

今日は岩田先生がお休みなので、土曜ですがオバラです。
『リト戦Ⅳ』、そろそろ木版リトグラフを小学生にやらせる場合の基本制作方法をまとめてみます。

準備 版木(画材屋で購入‐シナ材)にやすりをかけておく

① 板に、油性の固形ペイント材『サクラ・ソリッドマーカー』(細くて固いクレヨンのような描画材)で絵を描く。描いた直後はベタベタしているが、擦っても伸びるほどではない。
② 1日~1週間 乾かす!
③ 平筆でアラビアゴムという液体をムラなく塗る。黒い面積が大きい場所は塗らない。
④ 1日~1週間 乾かす!

アラビアゴムとは ‐ 紙への接着性が高く、水彩絵具に入っている材料。甘味があり、飴などのお菓子の粘着剤としても使われている。

アラビアゴムを塗る理由 ‐ 描画部分以外の余白を親水性にする為。(親水性とは、 水に溶けやすい・水と混ざりやすい性質)
今回の版画に関しては、描画部以外に水がたっぷり乗らないと、インクが余白についてしまう。版木の表面が濡れやすい場合に「親水性がある」と言う。 反対の言葉は撥水性で、これは逆に水をはじく性質を持つ物質。(ソリッドマーカーがその性質を持つ)

⑤ ソリッドマーカーの部分についたアラビアゴムを拭き取る為、たっぷりの水で濡らし、柔らかいボロ布でこする。

左下 1度拭き取った後、確かめる為に霧吹きで水を掛けてみると、描画部分がほとんどはじいていない。
右下 もう一度濡らし、親の仇のようにゴシゴシ擦った後。描画部分がちゃんとはじいている。

⑥ 力を入れてゴシゴシこするのは、小学生では難しい。黒い面積が広い部分は特に、もう一度ソリッドマーカーで描き重ねる。これは、1週間乾かさなくても、問題なかった。

⑦ インクを付ける前に、机までビショビショになるくらい霧吹きで水をかける。

⑧ 木版用(凸版用)油性絵の具をゴムローラーで多めにつける。

均一につくように縦横転がす。版木の大きさ(幅)に合わせた長さのローラーが良い。(小さいと、ローラーのエッジにインクが溜まり、線ができてしまうので。今回は正月の為、大きいサイズのローラーを購入できず。)

⑨ 紙の中央に版木を置く。(逆に版木の上に紙を重ねると、紙で隠れて板が見えず、真ん中に印刷できない。)
⑩ 板が下・紙が上になるようにひっくり返す。その上に新聞をかぶせる。(新聞をかぶせないで直接圧迫すると、紙が湿っている為、破けてしまう。)
⑪ バレンでこすったり、足で踏む。プレス機の代わりなので、よーく体重や力をかける。

右の版画・フクロウの月はシャープにしたかったので、彫刻刀で彫っている。石版ではなく木製なので、彫刻刀が使えることもこの版画の魅力の一つだろう。

しかし、最初に版木にやすりをかけるの面倒だ。14年前はやすりを使った記憶がない。小学生にやすりをかけさせると、でこぼこへこみができてしまうのが関の山。さてどうしたものか?

追伸 実はここまでで正月休み8日間戦争は終わっており、このブログも1月9日に書き上げ下書き保存してありました。やすりを掛けさせるかどうかの壁にブチ当たっていたので、『リト戦Ⅰ』で「このブログ見てたら連絡ちょうだい!」と弱音を吐いたのでした。
するとどうでしょう!赤尾先生、千野先生ら元スタッフ、伊藤先生、田中先生、ついには元大人クラス生徒さんの山本さんからまでヘルプが!山本さんは現在版画工房に通われているとのことで、誰よりも詳しく教えてくださいました!私が知りたかった「なぜその画材をその段階で加えた方がいいのか?それをやらなかったらどうなるのか?」という種明かしや、代用品まで丁寧にご教授くださいました。ご自身の事を「相変わらず画材買いがちの女」と揶揄されていらっしゃいましたが、お陰で助かりお礼の言葉が見付かりません。本当にありがとうございました。感謝申し上げます。
5人のお陰で、やすりの問題も解決しました。(板を変えました!)小学生のカリキュラムが始まってからご紹介しますね。

コメント
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