モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

観察への喜び

2022-12-16 21:41:01 | 大人 デッサン


佐原 鉛筆デッサン

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは佐原さんの鉛筆デッサンです。
入会されてもうすぐ2年になりますが、ストイックに鉛筆デッサンを描き続けられています。石膏デッサンに長くチャレンジされていただけあって、立体的なボリューム感の掴み方や、微妙な明度のグラデーションの出し方などのテクニックがお見事ですね。使用感のある草臥れた靴紐や、つま先に付きやすい汚れなども良く観察して描かれています。コンバースの硬いキャンバス生地の質感もしっかり伝わってきますね。キャンバス生地は鉛筆の線で織り糸の1本1本を追う様に細かく描いているのに対し、つま先や靴底のゴムは筆跡を抑えて擦ったり練りゴムを使うことで質感を描き分けられています。
また、こうした同じものを2つ描く際は、両方とも同じ大きさに見える様に描くのもポイントになってきます。違う向きで描かれた2つの靴を並べて置いた時、同じ大きさになる様に描けているかどうか?そういった要素もあり、身近でありながら結構難しいモチーフでもあります。
私も高校のデッサンの課題で、体育館履きを同じ様に描いた事がありました。靴全体の形と靴底のつじつまが合う様にしたり、靴紐の穴の間隔が一定になる様に描くのが難しかったですが、生地の皺や細かな縫い目を描く事が楽しかった記憶があります。きっと佐原さんも、苦労しながらも最後まで手を抜かず描くことを楽しんで制作されていったのでしょう。モチーフをじっくり観察し、新たな発見への喜びやそれを表現する為の苦労が伝わってくる1枚だと思います。

コメント
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