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イラク判決についての新聞の社説は?        まもる   

2008年04月18日 14時34分50秒 | 国内政治・経済・社会問題
★この判決皆さんはいかがお考えでしょうか?
新聞各社の主張を載せてみました。
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朝日新聞社説  「イラク判決―違憲とされた自衛隊派遣」

 あのイラクに「非戦闘地域」などあり得るのか。武装した米兵を輸送しているのに、なお武力行使にかかわっていないと言い張れるのか。

 戦闘が続くイラクへの航空自衛隊の派遣をめぐって、こんな素朴な疑問に裁判所が答えてくれた。いずれも「ノー」である。

 自衛隊が派遣されて4年。長年、疑念を抱いていた人々も「やっぱり」という思いを深めたのではないか。

 航空自衛隊の派遣に反対する3千人余りの人々が派遣差し止めを求めて起こした訴訟で、名古屋高裁が判決を言い渡した。

 差し止め請求は退けられ、その意味では一審に続いて原告敗訴だった。だが、判決理由のなかで憲法などとのかかわりが論じられ、派遣当時の小泉政権が示し、その後の安倍、福田両政権が踏襲した論拠を明確に否定した。

 判決は、イラクの現状は単なる治安問題の域を超え、泥沼化した戦争状態になっていると指摘した。とくに航空自衛隊が活動する首都バグダッドの状況はひどく、イラク特措法の言う「戦闘地域」にあたるとした。

 小泉政権は、イラクのなかでも戦火の及ばない「非戦闘地域」が存在し、そこなら自衛隊を派遣しても問題ないと主張した。陸上自衛隊を派遣した南部サマワや、首都の空港などはそれにあたるというわけだ。

 判決はそれを認めず、空輸活動はイラク特措法違反と明確に述べた。空自の輸送機はこれまで攻撃を受けなかったものの、何度も危険回避行動をとったことを防衛省は認めている。実際に米軍機などが被弾したこともあった。判決の認識は納得がいく。

 もう一つ、多国籍軍の武装兵員を空輸するのは、他国による武力行使と一体化した行動であり、自らも武力を使ったと見られても仕方ない、つまり憲法9条に違反するとした。

 もともと、無理のうえに無理を重ねた法解釈での派遣だった。当時の小泉首相は、非戦闘地域とはなにかと国会で聞かれ、「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域」などと開き直ったような答弁を繰り返した。

 判決後、町村官房長官は派遣続行を表明した。最高裁による最終判断ではないからということだろう。それでも、高裁の司法判断は重い。判決を踏まえ、与野党は撤収に向けてすぐにも真剣な論議を始めるべきだ。

 日本の裁判所は憲法判断を避ける傾向が強く、行政追認との批判がある。それだけにこの判決に新鮮な驚きを感じた人も少なくあるまい。

 本来、政府や国会をチェックするのは裁判所の仕事だ。その役割を果たそうとした高裁判決が国民の驚きを呼ぶという現実を、憲法の番人であるはずの最高裁は重く受け止めるべきだ。
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毎日新聞社説:イラク空自違憲 あいまいな説明は許されない

 イラク復興特別措置法に基づく航空自衛隊のバグダッドへの空輸活動を違憲とする判決が出た。自衛隊のイラク派遣に反対する市民グループが国を相手取って、派遣が憲法違反であることの確認を求めた控訴審で、名古屋高裁(青山邦夫裁判長)が17日、判断したものだ。

 陸上自衛隊は06年7月にイラク・サマワから撤退したが、空自は昨年6月のイラク特措法改正で活動が2年間延長された。イラクで5年目の活動を展開しており、クウェートから首都バグダッドへの輸送などを担当している。

 判決はまず、バグダッドで米軍などと武装勢力との間で激しい武力衝突が起きていることを指摘し、特措法でいう「戦闘地域」にあたると認定した。そのうえで、「多国籍軍の武装兵員を戦闘地域であるバグダッドに空輸する活動は、他国による武力行使と一体化した行動で、武力行使を行ったとの評価を受けざるを得ない」とした。

 政府と同じ憲法解釈で特措法を合憲としたとしても、活動を「非戦闘地域」に限定した特措法と、武力行使を禁じた憲法9条に違反するとの判断である。

 重要なのは、判決がイラク国内の紛争は多国籍軍と武装勢力による「国際的な武力紛争」であるとの判断に基づき、バグダッドを「戦闘地域」と認定したことだ。政府がイラクでの自衛隊の活動を合憲だと主張してきた根拠を根底から覆すものだからだ。

 イラクに自衛隊を派遣した小泉純一郎首相(当時)は、国会で非戦闘地域について質問されて、「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域である」と答弁し、物議をかもしたことがある。また、党首討論では、イラク国内の非戦闘地域について聞かれ、「イラク国内の地名とかを把握しているわけではない。どこが非戦闘地域かと聞かれても、分かるわけがない」と発言したこともあった。

 判決は、極めてあいまいだった当時の首相発言を指弾する内容でもある。政府は判決を真摯(しんし)に受け止め、活動地域が非戦闘地域であると主張するなら、その根拠を国民にていねいに説明する責務がある。

 さらに、判決が輸送対象を「武装兵員」と認定したことも注目に値する。政府はこれまで、空自の具体的な輸送人員・物資の内容を明らかにしてこなかった。小泉首相は、当時の記者会見で「空自による物資の輸送はしている。しかし、どんな活動をしているかは部隊の安全の面があり、公表できない部分もある」と述べていた。

 しかし、輸送対象に米軍を中心とする多国籍軍が含まれており、当初の「人道復興支援」から「米軍支援」に変質したのではないかとの見方が前からあった。

 政府は、輸送の具体的な内容についても国民に明らかにすべきである。

毎日新聞 2008年4月18日 0時01分
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中日新聞社説

    イラク空自違憲 「派兵」への歯止めだ
                          2008年4月18日

 航空自衛隊のイラク派遣は憲法九条に違反している。名古屋高裁が示した司法判断は、空自の早期撤退を促すもので、さらには自衛隊の海外「派兵」への歯止めとして受け止めることができる。

 高裁の違憲判断はわかりやすい論理になっている。

 イラク特措法は、人道復興支援のため「非戦闘地域」での活動を規定している。空自のC130輸送機は、武装した米兵らをバグダッドなどに空輸している。ところが、バグダッドは戦闘地域、すなわち戦場である。

 戦場に兵士を送るのは軍事上の後方支援となる。これは非戦闘地域に活動を限定したイラク特措法から逸脱し、武力行使を禁じた憲法九条に違反するとした。

 イラク戦争開戦から五年余。大量破壊兵器の保有、国際テロの支援を理由に米英両国は攻撃に踏み切った。「事前に悪をたたく」という米ブッシュ政権の先制攻撃論が理論的支柱となった。

 いずれも見込み違いの「大義なき開戦」だったことは明らかだ。この五年は、イラク人にとり苦難と混乱の日々であった。世界保健機関(WHO)によると、十五万人以上のイラク人が死亡した。

 米兵死者が四千人を超す米国も、厭戦(えんせん)気分が満ちている。秋の大統領選ではイラク問題が最大争点となりそうだ。

 では、小泉政権の「開戦支持」は正しかったか。この支持の延長に自衛隊の派遣があった。イラク南部サマワに派遣された陸上自衛隊は、インフラ整備など復興支援の活動を展開したが、空自は情報開示に乏しく、活動実態は伝わっていない。

 高裁が違憲とした以上、空自の輸送活動をこのまま継続することは難しく、撤退も視野に入れた検討が必要ではないか。福田政権にとっては、道路財源や高齢者医療の内政問題に加え、日米同盟にかかわる安全保障上の外交課題を背負うことになった。

 もう一つ、今回の違憲判決が明確にしたのは、自衛隊海外派遣と憲法九条の関係である。与党の中には、自衛隊の海外派遣を恒久法化しようという動きがある。しかし、九条が派遣でなく「派兵」への歯止めとなることを憲法判断は教えた。

 イラク派遣に限らず、司法は自衛隊に関する憲法判断を避けてきた。今回の踏み込んだ判決を受け止め、平和憲法の重さとともに、世界の中にある日本の役割を考える機会としたい。
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(4月18日付・読売社説)イラク空自判決 兵輸送は武力行使ではない

 イラクでの自衛隊の活動などに対する事実誤認や、法解釈の誤りがある。極めて問題の多い判決文である。

 航空自衛隊がクウェートとイラクの間で実施中の空輸活動の一部について、名古屋高裁は、国際紛争解決の手段としての武力行使を禁じた憲法9条に違反するとの判断を示した。

 市民団体メンバーらが空自のイラク派遣の違憲確認と差し止め、損害賠償を国に求めていた。

 判決は、原告の請求をいずれも退けた。違憲確認の請求についても「利益を欠き、不適法」と判断している。それなのに、わざわざ傍論で「違憲」との見解を加える必要があったのだろうか。

 国は、訴訟上は勝訴したため、上告できない。原告側も上告しないため、この判決が確定する。こうした形の判例が残るのは、好ましいことではない。

 イラク復興支援特別措置法は、自衛隊の活動について、人道復興支援などを「非戦闘地域」で行うよう定めている。

 判決文は、イラクでの多国籍軍と国内の武装勢力との抗争を「国際的な戦闘」と“認定”した。それを前提として、空自による多国籍軍兵の空輸は「他国による武力行使と一体化した行動」で、武力行使に当たる、と結論づけた。

 だが、多国籍軍による武装勢力の掃討活動は、イラクの安定と安全への貢献を求めた2003年5月の国連安全保障理事会決議1483などを根拠としている。イラク政府も支持しており、正当な治安維持活動にほかならない。

 仮に掃討活動が武力行使だとしても、憲法上の問題はない。空自による多国籍軍兵の空輸は、武力行使と一体化しないからだ。

 内閣法制局は、「一体化」の有無を判断する基準として、地理的関係、密接性など4項目を挙げている。空自の輸送機から降り立った兵士がすぐに戦闘活動を開始するなら、一体化する恐れもあるだろうが、実態は全く違う。

 判決文は、バグダッドが「戦闘地域」に該当するとしている。

 だが、イラク特措法に基づく基本計画は、空自の活動地域をバグダッド空港に限定している。空港は、治安が保たれ、民間機も発着しており、「戦闘地域」とはほど遠い。空港が「戦闘地域」になれば、空自は活動を中止する。

 イラク空輸活動は、日本の国際平和活動の中核を担っている。空自隊員には、今回の判決に動じることなく、その重要な任務を着実に果たしてもらいたい。

(2008年4月18日01時23分 読売新聞)
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赤旗しんぶん主張

イラク派兵 違憲判断空自活動「9条に違反」名古屋高裁 米兵空輸は武力行使


 愛知県などの住民ら千百二十二人が自衛隊のイラク派兵は違憲だとして差し止めを求めた「自衛隊イラク派兵差止訴訟」(原告・池住義憲氏ほか)の控訴審判決が十七日、名古屋高裁であり、青山邦夫裁判長(退官のため高田健一裁判長が代読)は、米兵などを輸送する「航空自衛隊の空輸活動は憲法違反」「平和的生存権は、憲法上の法的権利」と認める画期的な判決を出しました。同様の訴訟は全国で起こされていますが、違憲判断は初めて。派兵差し止めと慰謝料請求の訴えは棄却しました。国側は勝訴のため上告できず、違憲判決は確定する見通し。


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 判決は、「現在のイラクでは、国際的な武力紛争が行われている」と明言し、現在行われている航空自衛隊の武装兵員空輸活動は、「他国による武力行使と一体化した行動」と指摘。「武力行使を禁止したイラク特措法二条二項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条三項に違反し、かつ憲法九条一項に違反する活動を含んでいることが認められる」としました。

 また、憲法前文に盛り込まれている平和的生存権は「憲法上の法的な権利と認められるべきだ」として、「九条に違反する戦争の遂行等への加担・協力を強制されるような場合には、裁判所に救済を求めることができる」と明言しました。

 一方、違憲確認の請求は「確認の利益を欠く」として棄却。差し止め請求も退け、損害賠償請求も認めませんでしたが、「控訴人らは、それぞれの重い人生や経験等に裏打ちされた強い平和への信念や信条を有している」「そこに込められた切実な思いには、平和憲法下の日本国民として共感すべき部分が多く含まれている」と原告の訴えを評価しました。

 原告らは、二〇〇四年から七次にわたり三千人を超す住民が集団提訴。〇六年、名古屋地裁が原告の訴えを全面棄却したためこれを不服として控訴していました。

 原告弁護団によると、九条違反を認めたのは一九七三年の札幌地裁の長沼ナイキ基地訴訟判決以来三十五年ぶり。高裁では初といいます。

画期的な判決
訴訟の会・弁護団

 「自衛隊イラク派兵差止訴訟の会」と同弁護団は判決後、連名で「声明」を発表しました。

 「声明」は、イラク派兵を「違憲」と認めた同判決を「日本国憲法の根本原理である平和主義の意味を正確にとらえ、それを政府の行為に適用したもので、憲政史上最も優れた、画期的な判決である」と評価。その上で、声明は「日本政府がこの判決に従い、直ちにイラクからの自衛隊の撤退を行うことを強く求める」と主張しています。同時に「判決を力に、自衛隊のイラクからの撤退を求める新たな行動を開始する」と決意を表明しています。


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 自衛隊イラク派兵差し止め訴訟 札幌、仙台、宇都宮、東京、甲府、静岡、名古屋、京都、大阪、岡山、熊本の各地裁で提訴。原告は計五千七百人に上り、弁護団は八百人を超えます。最初の判決は二○○五年五月の東京地裁で、憲法判断に踏み込まないまま、違憲確認の訴えを却下しました。

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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2008-04-19 07:45:45
マスコミの扱いは、その内容はともかく、思いの他、小さな記事でしたね。
所詮、一地方のニュースなんでしょうか?
或は、イラクなんてもうどうでもいい?

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