魅惑の日本映画

日本がこれまでに生み出した数々の名作、傑作、(珍作?)の映画を紹介していきます。

大魔神怒る★★★★

2008年11月28日 | Weblog

★あらすじ★

戦国動乱の頃。人々が圧政に苦しむ御子柴領。そこでは隣国の千草領に逃げようとする人が絶えなかった。平和な千草領には若き城主・千草十郎(本郷)と許嫁の早百合(藤村)が暮らし、その八雲の湖には武神像が守り神として祭られていた。ある晩、御子柴禅正(神田)は千草に攻め込み悪の限りをつくし、十郎や早百合たちは火炙りの刑に処されてしまう。その時、湖が裂け、禅正らの手によって破壊され、湖に沈んだ筈の武神像が姿を現し、大魔神となって禅正のいる城へ向かった…
(DVDパッケージ裏面より改稿して掲載)


★あらすじ★

大魔神怒るって、、、今更言わなくても前作でもそうとう怒ってらしてましたよ。

前作の公開が4月17日、そしてこの映画が公開されたのが8月13日とわずか4ヶ月足らずの間に公開してしまうという この急ピッチさは一体どういうことでしょうか。


当初、製作側は1年に1本のペースで作っていこうと決めていたようですが、劇場側の要請を受けてこのようなとんでもないスピードになったようです。

(にしても、にしても、もう少し期間をおいても誰も文句いいやしませんよ)

この「怒る」も製作期間3ヶ月とは思えないほどの完成度の高さです。前作よりも知名度のある俳優を起用し、監督は超大御所・三隅研二
本郷功二郎、藤村志保コンビを見ていると、「大江山酒天童子」のような大映初期のオールスタア時代劇を髣髴とさせるお膳立てです。

神田隆は悪役が似合うこと
あんなに気持ちよく正々堂々と悪役を演じられると、見ているこっちまでなんだかいい気分にさせられる不思議です。

湖が真っ二つに引き裂かれるシーンは明らかに『十戒』を意識していますが、素晴らしい合成で、神の威厳、荘厳さがよ~く現れています。

ストーリー的には前回同様、勧善懲悪、悪いものは悪い。良いものは良い。いたって単純明快でなんの捻りもないのですが、むしろそこが大魔神のよさですし、話の流れは同じでも、シチュエーションの違いでぐいぐい見る者を引っ張っていきます。3作品それぞれに“大魔神” 水魔人” “雪魔人”という愛称が付けられましたが、私は“水魔人”が一番好きです。

最後、大魔神が どうやって姿を消すか も見所のひとつです。
前作は土がただボコボコ崩れるだけで、物質に神が乗り移っている感じが出ていました。今回は一旦壊され、またくっついたのか、物質という次元を超越してしまったのか、前作以上にも神がかり加減がパワーアップしたのでしょう。
このラストは「逆襲」の次に好きです。

ラスト、湖の中から悪人達によって沈められた神の島の鐘の音が聞こえる場面はちょっと感動ものですね。

次回は「大魔神逆襲」…といきたいところですが、ビデオはカビが生えて見れないし、DVDもまだ買ってないので何か別の映画の紹介をします。
「逆襲」は年内必ず。


監督・・・三隅研次 
特技監督・・・黒田義之 
脚本・・・吉田哲郎  
音楽・・・伊福部昭 
   
千草十郎時貞・・・本郷功次郎 
早百合・・・藤村志保 
度々平・・・丸井太郎 
名越兵衛・・・内田朝雄 
鬼子島玄蕃・・・北城寿太郎 
荒井一角・・・藤山浩二 
名越勝茂・・・上野山功一 
御子柴正・・・神田隆 
池長俊平・・・橋本力 
田部隼人・・・平泉征 

1966年度大映作品(カラー・スコープサイズ)

履歴↓↓

前作「大魔神」のレビューはこちら

相棒Season7 「還流~密室の昏迷・悪意の不在~」

その夜は忘れない
ど根性物語 銭の踊り
億万長者
憲兵と幽霊
怪猫亡霊屋敷

日本列島
激動の昭和史 軍閥

相棒(劇場版)
おとうと
衝動殺人 息子よ
満員電車
八甲田山

黒い十人の女
穴(大映)
血と砂
ハウス(HOUSE)
相棒(最終回SP『黙示禄』…番外編)

悪い奴ほどよく眠る
無法松の一生
蜘蛛巣城
江分利満氏の優雅な生活
大江山酒天童子
日本沈没

妖星ゴラス
斬る
待ち伏せ
殺人狂時代
太平洋奇跡の作戦キスカ
赤毛

戦国野郎

ブルークリスマス
大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号

電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎

用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日

☆はじめに☆


大魔神★★★★☆

2008年11月20日 | Weblog

★あらすじ★

戦国の頃、丹波・花房領での魔神封じの祭の夜、家老の大館差馬之助とその一味は謀反を起こす。両親を討たれた幼い忠文と小笹は、巫女の信夫(しのぶ)とともに狼谷の洞窟にひそんで成長する。この山には魔神を封じた巨大な武神像がまつられており、領内に災いある時は防いでくれるという伝説があった。差馬之助ら悪の勢力が栄える一方、領民たちは困窮をきわめていた。その時、少女・小笹の祈りに応えて武神像に魔神が乗り移り、大魔神が誕生!大魔神は城下へ暴れ込み、すさまじい復讐をはじめる。

(DVD裏面より一部改稿して抜粋)



★感想★

いやあ、久しぶりの更新となってしまいました。
今回はここで取り上げるのも恥ずかしい(?)くらい有名な「大魔神」を紹介します。

〔例えば「椿三十郎」や「用心棒」は書けても、「七人の侍」はちょっと手が止まってしまう、とか、あれだけ大好きな「砂の器」も書いてないし。兎に角、有名な作品を書くのを何故かためらってたんですよねえ。今更書いてもなんだかなあ、なんて思っていたんでしょうかねえ。〕

私、何を隠そう子供の頃から「大魔神」が大好きで、保育園の時に母親が買ってきてくれたビデオがすべての始まりでした。「大魔神」を見てから、大魔神の絵ばかり描いたり、大魔神の真似ばかりして周りの人から不審がられたりしたものです。

そんな、ビデオが擦り切れるくらいまで見た映画を、なんだか知らないけどDVDで買ってみようと思ったわけです。

さて、大映のマークが出てから84分間。やっぱり面白かった。
曇った空から雷が出て、「大魔神」の荒々しいタイトルが画面に映し出される。

か、かっこいい…

そして炎をバックにこれまら荒々しい文字のスタッフ・タイトルクレジット。

そして魔神の迫力の要とも言える“眼”が岩面に映し出され、ドキッとさせます。

さて、導入部分からつかみはOKでした。

今回改めて見て興味深いなと思ったのは、冒頭、魔神封じの祭の際、南国チックなお面を覆った人が(おそらくこれが魔神)武神像役(おそらく)の人と戦うシーンです。

普通なら、なんでここで緑色の顔に赤色の模様のハワイのお面が出てくるの?おかしいねで流されそうですが、
日本の神話にだってバナナ型神話的な要素の話が登場するように、日本に残された伝説と世界の伝説がリンクすることって多いんですよね。

だから魔神が南国チックなのは、一見不釣合いなように見えて実にリアルなんですよね。
三部作ある中で、この作品だけ魔神に「阿羅羯磨…あらかつま」という名称が付けられ、細かな設定が心地良いです。

ストーリーは勧善懲悪といたって簡単。そこらへんのわかりやすさも、この作品が多くの人に愛され続けている理由なのでしょうか。しかし第一作の大魔神は善の人々にも荒っぽい。そこらへんは神なので、神聖な場を汚したら誰だって容赦しないよ。というのも説得力あります。

巫女の信夫(しのぶ)は親身になって小源太(藤巻潤)らの手助けをしますが、差馬之助によって殺されてしまいます。
その最期がまた怖い怖い
むしろ大魔神より怖いのでは思ってしまいます。

合成も高水準で違和感ゼロ。CGに頼りすぎている映画製作者さん達は見習ってほしいですね。

伊福部昭の音楽も、今回は「神」がモチーフの為かいつものゴジラっぽい音楽じゃなくてカッコいいです。

さあて、次は多分「大魔神怒る」でしょうね。


監督…安田公義 
特技監督…黒田義之 
脚本…吉田哲郎 
音楽…伊福部昭 

花房小笹…高田美和 
花房忠文…青山良彦 
猿丸小源太…藤巻潤 
左馬之助…五味龍太郎 
竹坊…出口静宏 
大魔神、元木半蔵…橋本力 
信夫…月宮於登女

1966年度大映作品(カラー・スコープサイズ)

履歴↓↓

日本列島

相棒Season7 「還流~密室の昏迷・悪意の不在~」

その夜は忘れない
ど根性物語 銭の踊り
億万長者
憲兵と幽霊
怪猫亡霊屋敷

激動の昭和史 軍閥

相棒(劇場版)
おとうと
衝動殺人 息子よ
満員電車
八甲田山

黒い十人の女
穴(大映)
血と砂
ハウス(HOUSE)
相棒(最終回SP『黙示禄』…番外編)

悪い奴ほどよく眠る
無法松の一生
蜘蛛巣城
江分利満氏の優雅な生活
大江山酒天童子
日本沈没

妖星ゴラス
斬る
待ち伏せ
殺人狂時代
太平洋奇跡の作戦キスカ
赤毛

戦国野郎

ブルークリスマス
大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号

電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎

用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日

☆はじめに☆


日本列島★★★★★

2008年11月05日 | Weblog

★あらすじ★

1959年(昭和34年)、CID(米軍犯罪調査課)通訳主任の秋山(宇野)は、米陸軍リミット曹長水死事件の調査を命じられた。「ザンメル」という謎の言葉を鍵に真相を追う彼は、やがて外国紙幣偽造事件やスチュワーデス殺人事件に遭遇。その背後には、松川・三鷹・下山事件といった戦後まもない怪事件の数々にも絡んでいたと噂されるアメリカ諜報謀略機関の存在が見え隠れしていき…
(DVD裏面より抜粋)


☆感想☆

「帝銀事件 死刑囚」で冤罪の恐怖、ジャーナリズムの精神を描いた熊井啓監督の第2作目です。
近頃のニュースでも幾度か耳にする「日米地位協定」がこの作品のキーワードです。

冒頭、タイトルが出る前に、アリの群れが火で焼かれていく場面は、戦後の日本政府(または日本民族)がアリで、炎がアメリカだということを象徴しています。はじめ見たときは「あれっ、何でこの画がタイトルバックに流れるのかな」と思いましたが、見て行くうちに「ああ、そういうことね」
斬新だ


主人公の宇野重吉はしがないおっさんの雰囲気をかもし出していますが、しかし事件に関して、自分なりの考えを持ち、一本筋の通った熱い男なのです


芦川いづみは清楚な感じの学校教師を演じていて、身内が巨大権力に殺されても自分の中に感情をしまっていましたが、ラストに唯一頼れる存在の人物がまた同じ権力に殺されたと告げられたときの一瞬の絶叫が非常に印象的でした。


大滝秀治は一言も喋りませんが、怖っ


政府がらみの話はアメリカではよく見ますが、日本では滅多に無く、しかも40年以上も前にこんな映画が作られていたことは画期的だと思います。こんな映画今では到底作れませんよね、よしんば作れたとしても配給先があるかどうかわかりませんし、少なくとも今の日本の製作者より当時の方が、こういう内容の映画に対して大らかだったというか、反骨精神を持っていたというのか。


日本の三大事件を一本の仮説をもとにつなぎ合わせ、日本政府の弱さ、アメリカという国の黒い一面をそれとなく匂わせながらも国家に潜む見えない厚い壁の存在を実感させられます。
伊福部明の音楽は荘厳な感じがしていいのですが、時々ゴジラっぽくなる時があちゃったりして、
怪獣映画じゃないです。本当の怪獣よりもっと恐ろしい怪獣がいるのかもしれませんね・・・


監督、脚本 熊井啓
原作    吉原公一郎
音楽    伊福部明

宇野重吉
芦川いづみ
二谷英明
鈴木瑞穂
武藤章生
大滝秀治

1965年度日活作品(モノクロ・スコープサイズ)


履歴↓

相棒Season7 「還流~密室の昏迷・悪意の不在~」

その夜は忘れない
ど根性物語 銭の踊り
億万長者
憲兵と幽霊
怪猫亡霊屋敷

激動の昭和史 軍閥

相棒(劇場版)
おとうと
衝動殺人 息子よ
満員電車
八甲田山

黒い十人の女
穴(大映)
血と砂
ハウス(HOUSE)
相棒(最終回SP『黙示禄』…番外編)

悪い奴ほどよく眠る
無法松の一生
蜘蛛巣城
江分利満氏の優雅な生活
大江山酒天童子
日本沈没

妖星ゴラス
斬る
待ち伏せ
殺人狂時代
太平洋奇跡の作戦キスカ
赤毛

戦国野郎

ブルークリスマス
大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号

電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎

用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日

☆はじめに☆