魅惑の日本映画

日本がこれまでに生み出した数々の名作、傑作、(珍作?)の映画を紹介していきます。

隠し砦の三悪人★★★★

2008年01月19日 | Weblog
【概要】
戦国時代を舞台に、敗軍の侍大将・真壁六郎太(三船敏郎)が隠し砦にこもり、欲深い百姓達(千秋実と藤原釜足)を丸め込んで協力させ、追っ手から雪姫(上原美佐)と、お家再興の軍資金、黄金二百貫を守って、敵中を横断突破するアクション活劇。(Amazonより一部改定して抜粋)


【感想】
ユーモアと勇姿、後味が良いまま「終」の文字が出る痛快時代劇。時代劇とはこうでなくちゃ!と思います。

武士の重々しさ、悲劇を描いた作品も時代劇ですが、私は、昔風で言うなら痛快活劇が大好きです。

三船敏郎の豪快さ(刀を両手で振り上げて馬に乗って敵を切りにいくシーンは圧巻)、雪姫役の上原美佐の男気(?)溢れる潔さ(当時新人でしたが、この後岡本喜八監督作品や、日本誕生などに出演して、二年で辞めてしまった。きりりとした表情が印象的だったために残念。)、最後まで強欲な百姓、千秋実と藤原釜足のユーモアと滑稽、そして何と言っても「裏切り御免!」と言って関門突破を最後に助ける藤田進には、思わず手を叩いてしまいます。

宿場で惨めな思いをしていた独り身の娘を買い上げて助けるんですが、彼女の存在も憎い演出です(いい意味で)。


全てのキャラクターが生き生きと描かれ、久しぶりに面白い時代劇を見たと思います。ここでの三船の活躍が、後に用心棒、椿三十郎へと引き継がれていくわけです。


阿部寛、松本潤、長澤まさみ、宮川大輔、監督はローレライ、リメイク版日本沈没の樋口真嗣のリメイクで今年公開されますが、見てみないとわかりませんが、オリジナルには到底及ばないでしょう。


それにしても椿三十郎に続いてシナリオに全く手をつけないでリメイクって、、、リメイク版が仮に面白かったとしても、その功績の大半は大変苦労して作ったシナリオにあるわけですからね(逸話は有名)、なんだか複雑な感じ。


黒澤明の綿密なダイナミズムとも言うべき演出、そして、出演者自身の奥深さは、並々ならぬものを感じます。

監督 黒澤明
製作 藤本真澄、黒澤明
脚本 菊島隆三、小国英雄、橋本忍、黒澤明
音楽 佐藤勝


真壁六郎太 三船敏郎
太平    千秋実
又七    藤原釜足
田所兵衛  藤田進
老将長   志村喬
雪姫    上原美佐

1958年度東宝作品(モノクロ・シネスコ)




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