魅惑の日本映画

日本がこれまでに生み出した数々の名作、傑作、(珍作?)の映画を紹介していきます。

相棒Season7 「還流~密室の昏迷・悪意の不在~」★★★★★

2008年10月30日 | Weblog

いやあ、いろいろ忙しくて、映画を見ても更新が出来ないという日々が続きました。
そんな中「相棒」が始まっちゃうし…
そんなわけで2週続いたドラマ
「相棒Season7 還流~密室の昏迷・悪意の不在~」の感想を書いちゃいます。
連ドラですが、一応映画も公開されたことですし、スケールもでかいのでここで紹介するのに相応しいかと。


★感想★

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/
あらすじは公式サイトで。

見ごたえ十分でしたね

還流って何のことだろうと思ってましたが、今回でようやくわかりました。2時間スペシャルで途絶えたときは来週が待ち遠しくてたまりませんでしたが、待っただけの甲斐はありました。
まさか瀬戸内さんが逮捕されるなんで誰が予想してました?
相棒の世界観を作り上げた輿水さんならではの脚本でした

日本政府のサルウィンへの資金援助を横流しすること自体は悪ですが、首謀者の瀬戸内さんの意向は私利私欲ではなく、横流しした資金を直接貧困に苦しむ人民に与えること。正規に資金援助をしても、本当に貧しい人々には届かないんですからね。

兼高も決して自分の欲望の為に小笠原をゆすったのではなく、ゆすった金を瀬戸内さんと同じようにサルウィンの貧しい人々の為に使おうとした(劇中では確固たる描写はありませんか、ヘリでの瀬戸内さんの台詞、兼高の人となり、最後のサルウィンでの兼高が作った屋舎などをつなぎ合わせると推測出来ます)

両者とも悪意ではなくむしろ良心の塊で行動していたのにもかかわらず、小笠原の行動で結果として皮肉な結末をむかえてしまう…

右京さんのほうも揺ぎ無い信念を持っていて、たとえそれが善意だとしても、法を犯したことには変わりはないという徹底ぶりがいいです。

まさに、悪意の不在…

この皮肉さ、相棒らしいですね

新録の音楽も超かっこいいです。
ラストのロケでの空撮と女性の声の歌がぴったりで好きです。
姫神の選曲もGOODです

今回も見所ありすぎですが、角田課長の、大河内さんにも屈しない態度が笑えました。彼は凄い器用なんですよね、一本筋が通ってって、正しいことの判別ができる点では右京さんと薫ちゃんも同じなんですが、彼らは(いい意味で)器用じゃない。その点、角田課長は生きるのが上手いって言うか何ていうか…

先週は米沢さん、そして今週は角田課長に少しスポットライトを当てたという感じでしょうか

右京さんの「空」の説明も可笑しかったです。
そう興奮しなくても

一番可哀想なのは亀山薫ですよ
知り合いが連続殺人犯だったり、警察内部で不正をはたらいてたり、殺されちゃったり、そういう星のもとに生まれてきてしまったのでしょうか。
ラストの涙のシーンでは、思わずこちらももらい泣きしそうになりました。

相棒のスペシャルの回はここ最近本当に凄いです。政治がらみのネタをこれだけ上手に扱えるドラマ(しかも連ドラ)ってそうないよなあ。

ってか相棒の視聴者はハードル高いですな。


さあて来週は
今や「相棒」の真骨頂となったポリティカルサスペンス系の原点ともいえる「日本列島」を紹介したいと思います。次回からは正真正銘の邦画に戻りますのでご安心ください。今回は特別です。

それでは

脚本 輿水泰弘
監督 和泉聖治
音楽 池頼広

2008年度東映作品


履歴↓

相棒Season7 「還流~密室の昏迷・悪意の不在~」

その夜は忘れない
ど根性物語 銭の踊り
億万長者
憲兵と幽霊
怪猫亡霊屋敷

激動の昭和史 軍閥

相棒(劇場版)
おとうと
衝動殺人 息子よ
満員電車
八甲田山

黒い十人の女
穴(大映)
血と砂
ハウス(HOUSE)
相棒(最終回SP『黙示禄』…番外編)

悪い奴ほどよく眠る
無法松の一生
蜘蛛巣城
江分利満氏の優雅な生活
大江山酒天童子
日本沈没

妖星ゴラス
斬る
待ち伏せ
殺人狂時代
太平洋奇跡の作戦キスカ
赤毛

戦国野郎

ブルークリスマス
大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号

電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎

用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日

☆はじめに☆


★タイトル変更★

2008年10月15日 | Weblog
「魅惑のシネマスコープ」改め「魅惑の日本映画」
何もスコープサイズの日本映画に限っているわけでは無いので変更!!!

これからも主に昭和中期の邦画を週に一回のペースで紹介して行くのでよろしくお願いいたします。

あ、そうそう例の世田谷文学館で市川崑特集を組んでますね。
来月あたり早速行って参ります。

婚期★★★★

2008年10月15日 | Weblog

☆あらすじ☆

東京のある中産階級の家庭。理想を追うあまり、婚期を逸した感じの次女(若尾)、恋愛と結婚は別と割り切るドライ女性の三女(野添)、出戻りとして幾分ひがみを持つ長女(高峰)、それにこの家に嫁いできた兄嫁(京)。それぞれが生活の中で婚期という女のテーマに直面していく…
DVD裏面より抜粋


★感想★

今で言うホームドラマ(これもあんま言わないか)の走りでしょうか、内容と言えば小姑と嫁の確執、駄目男を演じさせたら日本一の船越の不倫話(船越英二はここでも絶品の演技を見せてくれます)など、よくお昼ごろドラマでやってそうな感じですが、この映画の根底に流れているものは、それはそれは奥深いです

男たちの前では弱弱しくあくまでしとやかで「あなたをたよりにしているんですよ。」と言った感じの女性陣は、裏では逞しく、女性としての生きる道を各々がしっかりと考えている。
一見どこかとぼけた感じのある京マチコ(兄嫁)も、高峰三枝子(長女・冴子)との二人の会話では、したたかだなあと思わせる節もあり、いや~深い


長女、そして兄嫁に比べれば、兄嫁に嫉妬していたずら手紙やいたずら電話をしかける次女(若尾)と三女(野添)なんて子供そのもので可愛いものですよ。まあ実際あんな生活が続くと思うとそれはご勘弁願いたいですけど。


意地悪な若尾文子と野添ひとみの掛け合いも、この映画では笑って見ることが出来ます。黒ブチめがねの若尾文子や、二人が焼き芋を兄嫁がいない間にこっそりと食べるシーンなんかは滅多に見られませんよ。(黒ブチ若尾文子は「あなたと私の合言葉 さようなら今日は」でも見られますが、私はこの映画の若尾文子の方がどこかはっちゃけてると思います。)


とうとう次女に見合い相手が見つかって、よかったねな展開になるんですが、相手がハゲだということで唐沢一家で家族会議になります(笑)

兄も長女も三女も皆何だかんだ言いながら収まる所へ収まって行く中で、次女だけがひとり取り残されてしまい、薄暗い部屋の中でこっそり泣く場面は、ちょっと切ないですね

そうそう、北林谷栄の存在はこの「婚期」にとって超重要です。
この映画の中で長女以上に冷静に人間関係をドライに見下ろしている感じで最高です

一級の女優陣が共演し、誰もが素晴らしい演技を見せてくれます。登場人物達の言葉遣いが心地よい映画でした。
現代でこれと同じ題材の映画があっても、見ることは、まずないだろうな…


監督 吉村公三郎
脚本 水木洋子
音楽 池野成
    
唐沢波子  若尾文子 
唐沢鳩    野添ひとみ 
妻・静    京マチ子 
唐沢卓夫  船越英二  
唐沢冴子  高峰三枝子 
婆や     北林谷栄   他

1961年度大映作品(カラー・スコープサイズ)

履歴↓↓

その夜は忘れない
ど根性物語 銭の踊り
億万長者
憲兵と幽霊
怪猫亡霊屋敷

激動の昭和史 軍閥

相棒(劇場版)
おとうと
衝動殺人 息子よ
満員電車
八甲田山

黒い十人の女
穴(大映)
血と砂
ハウス(HOUSE)
相棒(最終回SP『黙示禄』…番外編)

悪い奴ほどよく眠る
無法松の一生
蜘蛛巣城
江分利満氏の優雅な生活
大江山酒天童子
日本沈没

妖星ゴラス
斬る
待ち伏せ
殺人狂時代
太平洋奇跡の作戦キスカ
赤毛

戦国野郎

ブルークリスマス
大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号

電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎

用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日

☆はじめに☆


その夜は忘れない★★★★☆

2008年10月05日 | Weblog

★あらすじ★

週刊ジャーナルの記者、加宮は原爆記念特集号取材のために広島出張した。そこで、美貌のバーのマダム・秋子に出会う。憂いを含む秋子に心惹かれていくが、彼女は、加宮の取材の話を聞くと急によそよしい態度になっていく。実は秋子も被爆者であり、その身体で女の幸せを望むことは許されない、と思っていたのだ。しかしそんな秋子を加宮は受け入れ、秋子もまた初めて女の幸せを掴んだ喜びにひたることができたのだが…


☆感想☆

どうですか、彼女の表情は。
このパッケージだけでも買いですよ

女性映画の第一人者、吉村公三郎監督の作品です。大映の映画は特に女優を主体とした映画に力を入れていて、若尾文子、京マチ子、山本富士子らは日本の女性らしい(古き良き…と言った感じでしょうか)しとやかな魅力にあふれた同社の女優でした。

さて、今回の「その夜は忘れない」という作品ですが、原爆を題材にしているため、大映の数ある女性映画のなかでもひときわ異彩を放っています。若尾文子と田宮二郎が純粋に恋をするというストーリーも珍しいですね。

後年になって製作される、円谷プロの傑作SFドラマ「怪奇大作戦」の中の「死神の子守唄」「京都買います」を彷彿とさせます。
「死神~」は胎内被爆で余命幾ばくも無い女性と、その病気を治そうと人体実験を繰り返す兄の物語で、「京都~」は仏の美しさがわかる者たちの理想郷を創ろうと、国宝級の仏像を次々と窃盗する、仏像の美しさに心奪われてしまった女と、主人公の儚いふれあいを描いたものですが、どちらも物語として申し分の無い傑作ですので、是非見てない方はごらんになってくださいな。

加宮記者(田宮二郎)が冒頭、人けの無い原爆資料館を訪れ、その悲惨さを目の当たりにして施設を後にするのですが、確かにあの雰囲気は、大勢で訪れても重たい気持ちにさせます。
原爆が投下されてから17年後、たった17年でも広島の街にはその悲劇が徐々に薄れつつある。何とも言えない虚無感を感じつつ、田宮はTV局の友人(川崎敬三)に「スナックあき」へ案内されます。そこで出会うのがスナックのママ・秋子(若尾文子)なのでした。

若尾文子がほんとうに素敵です。上品で、綺麗なんだけど、同時に可愛らしさもあり、その包み込むような声音に思わずくらっときそうですよ

相手を思うからこそ、自分の素性を明らかにしたくない。
どんなに一緒になりたくても、それは出来ない。
帰りの列車でだんだん遠くなる加宮を、涙を溜めて見つめる秋子の表情が忘れられません。本当に切ない。切な過ぎる

二人で夜の広島を散歩するシーンがあるんですが、そこで秋子は川辺で石を拾い、加宮に渡します。その石を握ると、いとももろく崩れていきます。原爆の爪あとがまだ存在する。しかしそれは川の中にひっそり隠れていて滅多に姿をみせることはない。夜は川にネオンが映って華やかだけれど…
この石を自分に例える秋子。
よくできた脚本だな~。

秋子の真実を知った加宮も、その事実にひるむことなくただひたすらに秋子を愛する。
私の中では色悪、策略家の役のイメージが強い田宮二郎。今回の純粋な役も意外とはまってます。

ラストのやるせない展開は伏線が張られて、さらに悲しい。

真面目な映画だけど、登場人物の会話など、ぜんぜん堅苦しくなくていいです。純粋に悲恋映画としても楽しめ(?)ますし。
監督の演出方法も文句なし。メジャーになっていないのが不思議なくらい。

久々にいい映画観たな~。

このDVDと一緒に同じ監督の「婚期」も買ったので、次回は多分そのレビューになると思います。
それでは

監督 吉村公三郎
脚本 白井更生 若尾徳平
構成 水木洋子
音楽 團伊玖磨

若尾文子
田宮二郎
川崎敬三
江波杏子
三木裕子
紺野ユカ
角梨枝子
中村伸郎 他

1962年度大映作品(モノクロ・シネスコ)

履歴↓

ど根性物語 銭の踊り
億万長者
憲兵と幽霊
怪猫亡霊屋敷

激動の昭和史 軍閥

相棒(劇場版)
おとうと
衝動殺人 息子よ
満員電車
八甲田山

黒い十人の女
穴(大映)
血と砂
ハウス(HOUSE)
相棒(最終回SP『黙示禄』…番外編)

悪い奴ほどよく眠る
無法松の一生
蜘蛛巣城
江分利満氏の優雅な生活
大江山酒天童子
日本沈没

妖星ゴラス
斬る
待ち伏せ
殺人狂時代
太平洋奇跡の作戦キスカ
赤毛

戦国野郎

ブルークリスマス
大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号

電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎

用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日

☆はじめに☆