魅惑の日本映画

日本がこれまでに生み出した数々の名作、傑作、(珍作?)の映画を紹介していきます。

蜘蛛巣城★★★★☆

2008年03月09日 | Weblog

【概要】
時は戦国時代、武将・鷲津武時(三船敏郎)は、妻・浅茅(山田五十鈴)にそそのかされて主君を殺害し、その城主となるが、朝茅は次は親友の三木義明(千秋実)を殺害するよう強要する…。
黒澤明監督が敬愛するシェークスピアの『マクベス』を戦国時代に翻案して描いた、幻想と恐怖に彩られた人間の業を露にする戦国絵巻。
Amazon.co.jpより抜粋

【感想】
とにかく、この映画は映像的表現に圧倒されます。冒頭、男達の歌(何の歌なのか、何て言ってるかは、予備知識がまったくなかったのでわかりませんでした。すぐに調べて、わかり次第打ち直します!)が入るのですがもうその時点で異様な雰囲気を出していて超怖い。
その後没落した蜘蛛巣城跡が映し出され、丘の上を霧が包み込む。画面が引いて霧がふわっと上がったかと思うと、そこには立派な蜘蛛巣城が登場する。
特撮でない、単純な技法でしょうが、その工夫で見る者を驚かせ、つかみはOKという感じですね。
三船敏郎と千秋実が森の中でさまよい、妖婆(怨霊でしょうかね、これは)と出会うシーンは、作り物感が出ているのですが、この映画は舞台形式で物語が進んでいくので違和感がない。そしてこの婆さん怖い…

三船敏郎は「酔いどれ天使」を最後に、悪人をやることはあまり無くなって来ましたが、ここではあえて山田五十鈴に翻弄される、どうしようもなく駄目で、見得は人一倍にある武将を見事に演じています。だんだん狂気と化すあたりは凄みがあります。
山田五十鈴、あんた怖すぎるよ。「どん底」でも毒婦を演じて怖かったけど、余計な動きが一切無く、何も言わないで能面づらだともっと怖い。或いは、怨霊達よりも怖い存在ですよね。人間のほうが幽霊より恐ろしいって言いますもんね。

特撮をあまり使わない黒澤明監督ですが、森が一斉に動き出すシーンはミニチュアです。セットに木々の模型を作って、動かしたそうです。でも黒白画面と、細かな作業の結果、全くミニチュアだと思いませんでした。よく出来てるなあ。

三船敏郎の最期はこの映画の一番の見所。
古典的映画の名シーンって、言われるわりには実際見たら以外にあっさりしていて、「ああ、これがその名シーンなのか。」と思う程度が多かったんですが(わかります?この表現)この「蜘蛛巣城」の、矢が三船めがけて一斉に飛んでくるシーンは驚いた。
展開などはわかっているんですが、本物と言うだけあって演技も緊迫している為に迫力のある場面でした。
味方だと思っていた兵士達が全員敵で、しかも誰も何も言わず、し~んとしてる。これも怖い。

これで映画の最後にまた謎の男達の歌声が入る。
黒澤明の力を改めて感じさせる名作でした。
これ、ホラーですね。

監督 黒澤明
脚本 小国英雄、橋本忍、菊島隆三、黒澤明
音楽 佐藤勝

鷲津武時  三船敏郎
鷲津浅茅  山田五十鈴
三木義明  千秋実
三木義照  久保明
小田倉則保 志村喬
妖婆     浪花千栄子
都築国春  佐々木孝丸

1957年度東宝作品(モノクロ・スタンダード)

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履歴です↓

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大江山酒天童子
日本沈没

妖星ゴラス
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☆はじめに☆

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