魅惑の日本映画

日本がこれまでに生み出した数々の名作、傑作、(珍作?)の映画を紹介していきます。

モスラ(1961年度版)★★★★

2008年01月23日 | Weblog
【概要】
悪徳古美術ブローカー・ネルソンの手で南海のインファント島から連れ去られた小美人を取り戻すため、守護神モスラが東京に来襲する。モスライモ虫状の幼虫が渋谷をがれきと化した後、東京タワーに繭を張り巨大な翼を持つ成虫へと脱皮する。

(Amazonより一部改)

【感想】
東宝が製作した怪獣映画の傑作です。怪獣映画というくくりよりもむしろ、ファンタジー映画と言った方がいいのでしょうか。核実験により南海の無人島にいるはずのない原住民と二人の妖精、その守護神モスラ…これまでの怪獣が登場する映画は、必ず断末魔のシーンが用意されているのでどこか悲しげな終わり方をするのが常でしたが、モスラはインファント島の守護神として島へ帰ってゆく。また、フランキー堺と香川京子のコンビに加え、志村喬、小泉博が少しユーモラスな雰囲気を醸し出していて全体的に明るいのが特徴です。フランキー堺は同年に世界大戦争にも出演していますが、やがては悲劇的な結末をむかえる主人公を見事に演じていました。
また、オープニングの東宝スコープのマークが登場する所からの音楽が素晴らしい。どこか南方の感じがする旋律は、これから始まる壮大な物語の幕開けに相応しい。ここで伊福部昭を起用しなかったのが正解ですね。伊福部さんは、怪獣映画では定評のある作曲家ですが、どれも似たような旋律なので私は作品に素直に入り込めないのですが(そういっても重々しい雰囲気の曲は最高に好きで、メーサーマーチは傑作ですが)今回古関裕而を起用することで、あの有名なモスラの歌も誕生したわけです。ちなみにこれは有名な話ですが、古関さんは六甲颪の作曲者でもあります。しかし、古関さんは特に野球に興味はなかったようです。(笑)

純文学の三人を原作者としていることが異例ですが、今回も東宝ならではの反戦映画です。
この映画は娯楽超大作ですが、根底にあるのはエンディングにもあるように
「平和こそ、永遠に続く繁栄への道である」
これは東宝特撮初期の作品に健著で、ゴジラも含め、妖星ゴラス、世界大戦争へと続いていくわけです。

監督 本多猪四郎 
原作 中村真一郎、福永武彦、堀田善衛
脚色 関沢新一
特技監督 円谷英二
音楽:古関裕而

福田 フランキー堺
中條 小泉博
花村 香川京子
ネルソン ジェリー伊藤
小美人 伊藤エミ、伊藤ユミ(ザ・ピーナッツ)
原田 上原謙
編集長 志村喬

1961年度東宝作品(カラー・シネスコ)

最新の画像もっと見る