魅惑の日本映画

日本がこれまでに生み出した数々の名作、傑作、(珍作?)の映画を紹介していきます。

殺人狂時代(東宝)★★★★

2008年02月17日 | Weblog

【概要】
マザコンの犯罪心理学者・桔梗信治(仲代達矢)は、溝呂木博士(天本英世)率いる人口調節のために無駄な人間を抹殺する“大日本人口調節審議会”の殺し屋たちに命を狙われるはめに。しかし悪運が強いのか単に偶然か、桔梗は彼らをことごとく撃退し、やがて自分の身体に隠された秘密を知ることになるのだが…。
Amazonより抜粋

【感想】
岡本喜八のユーモアセンスが存分に味わえる映画です。
まず、内容からしてぶっとんでいるのに、それに輪をかけシュールな演出が随所に見られて楽しいです。
奇妙な形の精神病院で、ブルッケンマイヤー(何者だ貴様は)と委員長天本英世(傑作!)が殺人の密約を結んだ後に、例のごとくタイトルとスタッフ、キャストがクレジットされるんですが、トリス君の可愛いアニメで、キャラクターが殺しあったり、戦車が出てきたりと、トリス君の角ばった姿と相まってまるでアメリカのブラックユーモアを混ぜたアニメを見ているようです。でもこれも岡本喜八のセンス。
その他に岡本喜八の映像感覚は冴え渡っており、天本英世が車の中でヒットラーとの出会いを語る時、車の窓にヒットラーの映像が流れるシーンなんかは、今でこそ合成技術が発達して目新しくもなくなりましたが、こういった細かいところまでこだわる演出は、今流行のシュールで斬新な映像作品(下妻物語とか、トリックとか)のはしりですね。
佐藤勝の適材適所な音楽も秀逸です。
仲代達矢の冴えない、と言うか気持ちのわるい大学講師も傑作ですが、砂塚秀夫のチンピラ役もいいですね。
後から考えれば主要人物でまともなのはチンピラの砂塚秀夫だけだったというのも面白いです。団令子の色気もぜんぜん嫌らしいものではありません。
ネタバレになるので書きませんが彼女の最後のシーンにも注目。
全編ブラックユーモアを織り交ぜながらテンポよく進んでいき、面白いのですが、キチ○イとか、殺人パラノイアなどの台詞や、精神病患者の描写で現在は決してTVで放映されることはないんですよね、DVDかリバイバル上映でしか見る機会はありません。
常軌を逸した登場人物とストーリーですが、アクション、コメディ、そしてサスペンスとしても楽しめる正真正銘の娯楽映画です。

監督 岡本喜八
原作 都筑道夫「飢えた遺産」改め「なめくじに聞いてみろ」
脚本 小川英、山崎忠昭、岡本喜八
音楽 佐藤勝

桔梗信治 仲代達矢
鶴巻啓子 団令子
大友ビル 砂塚秀夫
溝呂木省吾 天本英世
池野 滝恵一
義眼の女 富永美沙子
松葉杖の男 久野征四郎
仕込み傘の殺し屋 沢村いき雄
青地光 江原達怡

1967年度東宝作品(モノクロ・シネスコ)

本日は東京マラソンですね。私もTV中継を見ながら書いています。
下のリンクに無い「八甲田山」のレビューはこちら

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