魅惑の日本映画

日本がこれまでに生み出した数々の名作、傑作、(珍作?)の映画を紹介していきます。

江分利満氏の優雅な生活★★★★

2008年03月05日 | Weblog

【概要】
昭和30年代後半、大手洋酒メーカーに勤めるサラリーマン江分利満(小林桂樹)、36歳。何をやってもおもしろくない無気力な日々が続く中、ふとしたことで彼は小説を書くことになり、戦争のこと、父のこと、妻子のことなど、平凡だが一生懸命な自分たちの人生を綴っていく。やがて小説は直木賞を受賞するのだが…。
Amazon.co.jpより抜粋

【感想】
エッセイストに専念するまでは、サントリーの社員だった山口瞳の自伝的な小説を映画化した作品。岡本喜八自身と同様、戦中派の不満、悲しみ、鬱憤などを織り交ぜつつ、全編に渡ってコミカルに仕上げた快作でした。
映像表現ももはや成熟期に達している感があり、のりに乗っています。サントリーのアンクルトリスの風体の様なキャラクターで江分利満のこれまでの人生を説明する件は今見ても斬新です。
見た事ありませんが「残菊物語」のパロディと思われる、男女の下駄のみが動く合成シーンや、ストップモーション、アニメーション、その他にも細かいところで映像的に面白いシーンがふんだんに見られます。
そういう岡本喜八の先駆的な映像表現が見られるのも本作の見所ですが、やはり戦争映画を独特の視点で手がける岡本喜八ならではの戦争への思いも見えて興味深いです。

そして魅力溢れるキャスティング。ふとしたことで直木賞を取ってしまうしがないサラリーマン役を小林桂樹が好演しています。彼以外の人物は考えられないくらいはまり役です。
東野英治郎の、憎みきれない駄目な親父もいい。
新珠三千代のしっかりしているんだけどどこか間の抜けた妻もいい。
そのほか、東宝の常連、岡本喜八監督の常連の俳優さんがたくさん登場します。

特撮映画や時代劇では見ることの出来ない昭和30年代の一般人の生活を垣間見ることが出来ます。
公開当時は興行的にいまいちだったらしいですが、紛れもない岡本喜八の代表作。今にして評価されるなんて、一歩先を歩いていたんでしょうね彼は。

監督 岡本喜八
脚本 井手俊郎
音楽 佐藤 勝

江分利満 小林桂樹
夏子 新珠三千代
明治 東野英治郎
みよ 英百合子
辺根 江原達怡
ミチ子 田村奈己
柳原 天本英世
佐久間正一 中丸忠雄
矢口純子 横山道代
ピート ジェリー伊藤
江分利の兄 平田昭彦

1963年度東宝作品(モノクロ・シネスコ)

「相棒-劇場版-」のサイトも載せておきますね。本日放送日ですから。


履歴です↓

大江山酒天童子
日本沈没

妖星ゴラス
斬る
待ち伏せ
殺人狂時代
太平洋奇跡の作戦キスカ
赤毛
戦国野郎

ブルークリスマス
大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号
電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎
用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日
☆はじめに☆

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