魅惑の日本映画

日本がこれまでに生み出した数々の名作、傑作、(珍作?)の映画を紹介していきます。

八甲田山★★★★★

2008年02月12日 | Weblog


【概要】
「天は我々を見放した!」

日露戦争開戦を目前にした明治三十五年、徳島大尉(高倉健)率いる弘前第三十一連隊と神田大尉(北大路欣也)率いる青森第五連隊は、八甲田山を雪中行軍することに。少数編成で自然に逆らわず行軍する三十一連隊。一方、大編成で真っ向から八甲田に挑んだ五連隊は、目的地を見失い吹雪の中を彷徨し、遭難する。

Amazonより抜粋


【感想】
世田谷文学館は、新宿から京王線に乗り換えて芦花公園で降りたところにあります。こういう特別な事情が無い限り、滅多に行くことがないと思うのですが、年に一度フィルムフェスティバルを開催するらしいので、来年も行くことになるのかな…
さて、今回世田谷文学館で見てきたのは「八甲田山」です。そして、どうして今までこんないい映画を見なかったのか!と思いました。

監督は森谷司郎、脚本は橋本忍。そう、日本映画界を代表する傑作「日本沈没」のコンビです。これて音楽が佐藤勝だったら日本沈没のトリオになるのですが、「八甲田山」に限っては芥川也寸志のドラマチックな音楽が物語を盛り上げます。
芥川也寸志は「砂の器」で日本映画史上最高傑作の「宿命」音楽監督をしている人です(作曲は菅野光亮)。前に世界大戦争が音楽面では最高傑作と書きましたが…、まあ、傑作が沢山あるんですな(汗)

劇伴って、曲の完成度うんぬんではなくって、画面にいかに相応しいかってことですよね。曲を聴いただけではわからなくて、画面と一緒になって初めてそのよさがわかるものだったり、曲も独立して完成度が高く、かつ画面とも調和している(その逆もまたしかり)のもあったり・・・


本作は極寒の八甲田山の中、自然の壮大さと、その中でちっぽけにうごめく人間の組織を対比したドラマです。三國連太郎のバカ上司に振り回される神田大尉(北大路欣也)は、現代の社会にも通ずる普遍的な問題。

加山雄三扮する第5連隊の倉田大尉が、登場してもなかなか台詞を喋らないのですが、登場している間もずっと表情で演技していて、山田少佐への不満がよく伝わってきます。さすが、黒澤明や岡本喜八、成瀬巳喜男などの作品で培われただけのことはありますね。(若大将シリーズなどでおなじみの彼は、超能力集団の対決を描いた「エスパイ」という珍作でエスパイの所長役で出演されています。


この作品を今まで見なかった原因は、70年代の大作映画にありがちな、冗長さを恐れてのことだったと思います。(しかし、その考えは一気に吹っ飛びました。)


大金をかけ、名作と謳われた数々の作品はそういう冗長性質を持っているのです。しかし、70年代の大作映画は冗長さという要素を持っていながらも、造り手たち(俳優も含めて)の熱意で見る者を圧倒させ、何だかんだ言いつつも見入ってしまうんですがね…


監督 森谷司郎
脚本 橋本忍
音楽 芥川也寸志
(製作として野村芳太郎、田中友幸、橋本忍)

友田少将 島田正吾
中林大佐 大滝秀治 
徳島大尉 高倉健
児島大佐 丹波哲郎
斉藤伍長 前田吟
神田大尉 北大路欣也
山田少佐 三國連太郎
倉田大尉 加山雄三
津村中佐 小林桂樹
本宮少佐 神山繁 
三上少尉 森田健作
村山伍長 緒形拳

神田はつ子 栗原小巻
大尉の妻 加賀まりこ
案内人 秋吉久美子


1977年度東宝作品(カラー・シネスコ)


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