魅惑の日本映画

日本がこれまでに生み出した数々の名作、傑作、(珍作?)の映画を紹介していきます。

日本沈没★★★★★

2008年02月25日 | Weblog

【概要】
深海潜水艇わだつみで日本海溝の調査に赴いた田所博士(小林桂樹)と操縦士の小野寺(藤岡弘)は、海底に異変が起きていることを発見。近いうちに日本列島が沈没するという田所の主張を裏付けるように、やがて次々と日本各地に異変が…。

Amazon.co.jpより抜粋

【感想】
「復活の日」のような長編から「日本売ります」のような短編まで幅広い物語を書いてきたSF小説家の第一人者である小松左京の原作を映画化した作品です。資料によれば、彼はこの物語を完成さるために取材を9年間要したそうです。とにかく、膨大な情報量がこの本に詰まっているため、名前は忘れましたが、ある評論家はこの作品を“データ小説”と呼びました。分厚い、しかも上下二巻の小説を144分にまとめ上げるのは無理だと思いきや、脚本家橋本忍はやってくれましたね。

「ニッポン」が沈む。物語はこれだけ。宇宙人との駆け引きもなければ、惑星衝突のため人類が協力して立ち向かうわけでもない。フジテレビのプロデューサー亀山千広曰く「こいつら何もしようとしてないじゃないか!」との批判もあるようですが、しかし、私がこれほどまでにこの映画に引き付けられるのは、別に「対処法」ではなく、ちっぽけな日本民族が懐を離れるその大きな不安感にあります。
今は情報化社会。交通も便利になり、場合によっては外国に行くことは国内で遠出するより安く簡単に済んでしまう世の中。そんな私達でも、いつでも日本と言うよりどころがあった。
しかし、そんなよりどころが無くなってしまうという内容は、紛争で住むべき場所を失った人たちや、悪政治によって脱国せざるを得なくなった人たちを、どこか他人の目で見ている私達(そうは言っても仕方ないよね。こればっかしは)に痛く訴えかけます。

そう言う意味で、2006年のリメイク版「日本沈没」はこの一番重要な部分が欠落していて、リメイク作品としては最悪の出来でしたね。
肝心なのは特撮じゃないんですよ。いくらCGでリアルに作っても、それだけじゃ意味ないですな。(リメイク版ファンの方すみません!)

内容は悲観的で、明るい東宝特撮映画の面影は全く無いですが、最後に小野寺と玲子が遠く離れた(玲子は北半球?小野寺は南半球?)国でいつか二人の再会を思う「地球のどこかで…」のシーンは、これから待ち受ける不安と同時に希望も感じさせるいいラストでした。

この映画には名場面がいくつもあるんですが、何と言っても、東京大地震の際、皇居におしよせる避難民の知らせを受け、丹波哲郎演じる山本総理が

「門を開けてください、山本です!門を開けてください!非常災害本部対策部長内閣総理大臣の命令です!ただちに門を開いて避難者を宮城内に入れてください!!」

と叫ぶ場面は鳥肌が立ちそうになりました。

佐藤勝の今回の音楽ですが、私は彼が世に残した映画音楽を全て聞いたわけではありませんが、今までの中で最高傑作だと思います。
彼の作風は、曲そのもの自体を聞いただけではよく分からないかもしれませんが、画面と一緒になってそのよさが分かる、まあ、劇半ってそんなもんだろうと思うのですが、そういう人が果たしてどれだけいるか。

本作品は、「地球防衛軍」「世界大戦争」「妖星ゴラス」などの東宝特撮映画の集大成的存在にあると思います。しかし、50年代60年代の作品として一線を画すのは、怪獣や妖星や怪人となどの一くくりにしてしまえばファンタジーの要素を廃し、「ニッポン」が沈むと言う荒唐無稽な内容ながら、一般映画としても差し支えの無い、大人の鑑賞にも堪えうる、マニアックの無さだと思います。現在でも、「妖星ゴラス」や「地球防衛軍」は一部の特撮ファンの間で人気ですが、この「日本沈没」は橋本忍のしっかりした脚本と、森谷司郎の演出で、特撮映画などという枠組みを越えているのです。

監督:森谷司郎
原作:小松左京
脚本:橋本忍
音楽:佐藤勝
特技監督:中野昭慶 

田所雄介博士:小林桂樹
小野寺俊夫:藤岡弘
阿部玲子:いしだあゆみ
幸長信彦助教授:滝田裕介
中田一成:二谷英明
邦枝:中丸忠雄
片岡:村井国夫
結城達也:夏八木勲
山城教授:高橋昌也
吉村秀夫:神山繁
渡老人:島田正吾
山本総理:丹波哲郎

1973年度東宝作品(カラー・シネスコ)

妖星ゴラス
斬る
待ち伏せ
殺人狂時代
太平洋奇跡の作戦キスカ
赤毛
戦国野郎

ブルークリスマス
大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号
電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎
用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日
☆はじめに☆

上のレビューに無い八甲田山はこちら

妖星ゴラス★★★★

2008年02月23日 | Weblog


【概要】
地球の6000倍もの重力を持つ妖星ゴラスが地球に接近。このままではあと2年で地球は崩壊してしまう。そこで人類が取った最終手段とは、南極に巨大なジェット噴射口を作り、地球をロケットにしてゴラスの進路から逃れることであった…。
Amazonより抜粋

【感想】
「世界大戦争」に次ぐ東宝のパニック映画です。「世界大戦争」は悲観的でしたが、「妖星ゴラス」は科学、特に核の平和利用という未来に向けての明るいメッセージが込められています。
だだ、この映画の良さはそういう真面目なメッセージ性よりも、ゴラスから衝突を避けるため、南極に大きなロケットを据え付けて、地球を動かして逃げるという、大胆不敵な、荒唐無稽な、自由奔放な素晴らしい発想にあります。
しかし不思議なことに、だれが同考えたって出来っこないあり得ない対処方法を、当時の最新の科学考証でそれらしく描いていて、リアリティもあるんですよね。それが凄い。
特撮、SFというジャンルはこの頃は日本、それも東宝が一番クオリティが高いと思います。同年代の外国のSFをしのぐ出来栄えです。宇宙ステーション、ロケットなどの手馴れた場面は勿論、南極工事の風景や大洪水のシーンは特筆もの。円谷英二はすごいなあ。
怪獣マグマの出現は、子供のためのサービス要素でしょうが、子供も楽しめることを忘れない本多猪四郎監督の優しさと受け取ることも出来ます。
全編的に明るい映画ですが、キャバレーで騒ぐパイロット達に一言皮肉を言う客役で天本英世が出て来ます。ちょっとのシーンながらやはり忘れられない存在ですね。
主人公の池部良は「雪国」や「青い山脈」などに出演していて、撮影当時40歳を超えている超大御所ですが、「白夫人の妖恋」や「宇宙大戦争」、挙句の果てには「惑星大戦争」といった特撮映画にも出演する以外にフットワークの軽い俳優です。
その他に、久保明、水野久美、白川由美、平田昭彦、田崎潤、佐原健二など東宝特撮の常連が見られ、出演者を見ているだけで安心出来ます。
その他にもジュウチンが登場していて、結構力入れて作ったんだなと思いますよ。 それから、こういう映画の音楽はたいてい伊福部昭さんなんでしょうが、映画音楽ではあまり功績を残さなかった石井歓が重厚かつスリリングな作曲をしています。

ところで、物語の最後に久保明らが東京タワーに上って水底に没した関東のビル群を見渡すシーンがあるんですが、彼ら、一体どうやって水浸しの東京タワーに上ったんでしょうね?他にも「あれっ?」と思うところはあるんですが、まあ、一応つじつまはあってる。だだ、その東京タワーのシーンだけは謎です。


監督   本多猪四郎
特技監督 円谷英二
脚本   木村武
原案   丘見丈二郎
音楽   石井歓

田沢博士 池部良
河野博士 上原謙
園田謙介 志村喬
智子    白川由美
野村滝子 水野久美
園田艇長  田崎潤
遠藤艇長  平田昭彦
斎木副長 佐原健二
金井達麿 久保明
関総理  佐々木孝丸
木南法相 小沢栄太郎
多田蔵相 河津清三郎
宇宙省長官 西村晃

1962年度東宝作品(カラー・シネスコ)

斬る
待ち伏せ
殺人狂時代
太平洋奇跡の作戦キスカ
赤毛
戦国野郎


ブルークリスマス
大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号
電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎
用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日
☆はじめに☆

上のレビューに無い八甲田山はこちら


斬る★★★★☆

2008年02月22日 | Weblog

 

阿佐ヶ谷にある「ラピュタ阿佐ヶ谷」という名画座で「喜八魂」と銘打って岡本喜八監督の特集をしています。実は阿佐ヶ谷に行くのは初めてで、どんな所だろうと思っていたんですが、中央線快速が通るだけあって活気のある町でした。ラピュタは駅から5分たらずの所でした。

冒頭の東宝マークが出るところからして、佐藤勝のウエスタン調の軽快な音楽が鳴り響き、続いてストップモーションのスタッフキャストのクレジットという、岡本喜八お得意のテンポのいい演出が楽しめます。
若侍と浪人という設定は、黒澤明の「椿三十郎」を思い出させますが、まあ、この映画原案が山本周五郎ですから。よく原作が同じと間違えられたりするんですが、そんなことはありません。原作者が同じだけです。
そして、コンセプトの共通点こそあるものの、岡本喜八タッチの現代にも通じる面白さが詰まっています。
「椿」はどこから現れたか分からない、正体不明の浪人「三十郎」がふらりとやってくる非現実的なところに面白さがありましたが、「斬る」は、侍に虚しさを感じ、無宿者にまで成り果てた源太(仲代)と侍になりたくてしょうがない百姓あがりの半次(高橋)との対比で、より現実的に描いているような感じ。比べるものではないですが、この映画は「椿」以上に登場人物たちのキャラクターが立っていて面白いです。

兵頭弥源太(仲代達矢)…「殺人狂時代」でコミカルな役をやってのけた彼は、今回もその独特の台詞回しでとぼけた妙な雰囲気を作っています。ヤクザの真似事をするも、おぼつかない感じがとても上手いです。私は、この源太が仲代達也のはまり役だと思っています。生き生きと演じているんですよね。
田畑半次郎(高橋悦史)…「日本のいちばん長い日」や「赤毛」、「沖縄決戦」など、岡本喜八作品では割と虚無主義、ニヒルな役が多いんですが、半次郎はコミカルでお調子者(死語)。こういう役も出来るのか!と感心してしまいました。
荒尾十郎太(岸田森)…いい役です。もう、岸田森の良さが全部詰まってる役柄です。彼も岡本喜八の常連ですね。彼がちょっとでも出ると画面が引き締まるというか、がらっとその空気が変わる凄さがありますね。
↓↓下の人物もそうですね。同じ場面に映ることはあまり無いんですが、もう、コンビをくんでもいいんじゃないかと言うくらい、異彩を放っております。
島田源太夫(天本英世)…あ、岸田森とはブルークリスマスでも同じ場面で映ってますね。今回の彼は山小屋に閉じ込められた若侍達を直接ではないにせよ助ける重要な役を演じています。台詞がほっとんどない。でも存在感あり。
鮎沢多宮(神山繁)…彼は文学座出身で舞台俳優が本職ですが、映画に出るときは決まって悪役ですよね。しかも偉い役なので始末が悪い。その嫌らしさがぷんぷんにおって来る辺り、さすがですね。ただ、悪役を沢山演じている分、沖縄決戦で県民のことを必死に考える知事を演じたときは感動してしまいましたね
森内兵庫(東野英治郎)…家老役ですが、女郎屋に味をしめて「一生はなれたくないわい」とおちゃめなことを言う。嫌らしく感じないのは、やはり彼の力でしょうね。昔からおじいちゃん役を数多くこなして来た東野英治郎ってすごい。この森内兵庫、最後に女郎屋にいた女達をそれぞれの家に帰してあげるという、優しさも持っています。

ああ面白かった! 映画はやっぱり後味が良くて爽快じゃないとね。

監督 岡本喜八
脚本 岡本喜八,村尾昭
原案 山本周五郎
音楽 佐藤勝

仲代達矢(兵頭弥源太)
高橋悦史(田畑半次郎)
中村敦夫(笈川哲太郎)
久保明(竹井紋之助)
中丸忠雄(庄田孫兵衛)
土屋嘉男 (松尾新六)
星由里子(千乃)
岸田森(荒尾十郎太)
今福正雄(道信和尚)
神山繁 (鮎沢多宮)
東野英治郎(森内兵庫)
天本英世(島田源太夫)
田村奈巳(よう)

1968年度東宝作品(モノクロ・シネスコ)

二日おきに更新すると抜かしておいて、三日おきになってしまいましたね。
八甲田山のレビューはこちら。どうもうまく表示できないみたいで、下の一覧に加えることが出来ませんでした。 

待ち伏せ
殺人狂時代
太平洋奇跡の作戦キスカ
赤毛
戦国野郎


ブルークリスマス
大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号
電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎
用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日
☆はじめに☆


待ち伏せ★★★★

2008年02月18日 | Weblog


【概要】
人里離れた三州峠に偶然なのか、申し合わせなのか、にわかに人が集まってきた。まず、“からす"と呼ばれる謎の武士に金で買われた鎬刀三郎(三船)。彼はある密命をうけていたが、それが何であるかは全く知らなかった。三郎は途中、風来の女おくに(浅丘)を助け、峠のふもとにある一軒の茶屋に預けた。その茶屋には明るい田舎娘のお雪、老主人の徳兵衛(有島)、それに玄哲と名乗る医者くずれ(勝)が同居していた。そして渡世人の弥太郎(石原)が足をとめた。さらに血だらけの男が二人、一人は狙った獲物は必ず射止めるという追跡役人の伊吹兵馬(中村)で、その縄にかけられているのは盗人の辰であった。
goo映画より抜粋

【感想】
この映画は“各製作会社の主役を勢ぞろいさせた割には面白くない”という評価があるようです。
私も、企画だけが先行して、失敗しちゃった映画なのかなと思って、「まっ、暇つぶしに見てみるか」くらいの感じで借りてきて見たんですが、以外に面白かったぞ。
物語はスタンダードな軍用金が絡んだ脚本なんですが、一転二転する展開や、やむなく悪の一味にならざるを得なかった用心棒鎬刀三郎が一体どこで裏切るのかという箇所で楽しませてくれます。

ところで、この映画を見て思い出さずにいられないのが三船敏郎と勝新太郎の共演(競演)で話題を呼んだ「座頭市と用心棒」。「座頭市と用心棒」の公開が1月。この「待ち伏せ」の公開が同年の3月。そして「座頭市」の制作は勝プロで「待ち伏せ」の制作は三船プロ。
関連性が見つかる理由として日本映画データベースで調べて見たところ、この時期、三船敏郎、勝新太郎は勿論のこと、中村錦之助は中村プロとして「幕末」などを制作、三船敏郎は「幕末」に出演。
石原裕次郎は石原プロモーションと三船プロで「黒部の太陽」を制作。
三船はこれにも出演。
そして最後に独立したそれぞれの三船、中村、勝、石原プロの社長が一挙集結して三船プロが制作したのが「待ち伏せ」と言うわけなんですね。(石原裕次郎や中村錦之助とは、それ以外にも共演作あり)

佐藤勝のノリのいい音楽も最高。
そして、浅丘ルリ子が美人。考えて見れば、なんてことはない時代劇にありがちな三船とのロマンスも、彼女の表情と演技でさまになってます。
この映画の12年後に産声をあげる今ブレイク中の三船美佳の母北川美佳も茶店の娘として登場。有島一郎も茶店の老主人を好演。

この映画の監督は稲垣浩。「無法松の一生」や「宮本武蔵」、特撮では「日本誕生」など、日本映画黄金期時代を支えた監督ですし、黒澤明と同じく三船敏郎を数多く起用し、一躍スターの座につかせるきっかけになった人物。
この作品で東宝からはなれ、劇場用の作品はとらなくなってしまいます。

1970年とは、東宝も制作費を下げ、配給専門になっていく時代。映画界もさらに斜陽傾向にある中で、各プロダクションの社長達が劇場に観客を呼ぼうという熱意が伝わってきます。 三船敏郎は「用心棒」のキャラクターから逃れられなかったなんてよく言われまずが、逃げられなかったのはニーズの方。観客が三船敏郎の用心棒のキャラクターを望んでいたんです。だから「待ち伏せ」でも、用心棒が登場するんでしょ?
確かに、あの素浪人の格好は一番似合います。でも、そういう一つのキャラクターに縛られるということは当然彼自身も危惧していたはずで、周知のとおり三船敏郎は「浪人」以外の役も好演しています。
勝新太郎も三船も、こういう存在感のある役者はなかなかいませんね~


監督 稲垣浩
脚本 藤木弓、小国英雄、高岩肇、宮川一郎
音楽 佐藤勝

三船敏郎(鎬刀三郎)
中村錦之助(伊吹兵馬)
勝新太郎(玄哲)
石原裕次郎(弥太郎)
浅丘ルリ子(おくに)
北川美佳(お雪)
有島一郎(徳兵衛)
土屋嘉男(伊太八)

1970年度東宝配給作品(カラー・シネスコ)

殺人狂時代
太平洋奇跡の作戦キスカ
赤毛
戦国野郎

八甲田山
ブルークリスマス
大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号
電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎
用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日
☆はじめに☆


殺人狂時代(東宝)★★★★

2008年02月17日 | Weblog

【概要】
マザコンの犯罪心理学者・桔梗信治(仲代達矢)は、溝呂木博士(天本英世)率いる人口調節のために無駄な人間を抹殺する“大日本人口調節審議会”の殺し屋たちに命を狙われるはめに。しかし悪運が強いのか単に偶然か、桔梗は彼らをことごとく撃退し、やがて自分の身体に隠された秘密を知ることになるのだが…。
Amazonより抜粋

【感想】
岡本喜八のユーモアセンスが存分に味わえる映画です。
まず、内容からしてぶっとんでいるのに、それに輪をかけシュールな演出が随所に見られて楽しいです。
奇妙な形の精神病院で、ブルッケンマイヤー(何者だ貴様は)と委員長天本英世(傑作!)が殺人の密約を結んだ後に、例のごとくタイトルとスタッフ、キャストがクレジットされるんですが、トリス君の可愛いアニメで、キャラクターが殺しあったり、戦車が出てきたりと、トリス君の角ばった姿と相まってまるでアメリカのブラックユーモアを混ぜたアニメを見ているようです。でもこれも岡本喜八のセンス。
その他に岡本喜八の映像感覚は冴え渡っており、天本英世が車の中でヒットラーとの出会いを語る時、車の窓にヒットラーの映像が流れるシーンなんかは、今でこそ合成技術が発達して目新しくもなくなりましたが、こういった細かいところまでこだわる演出は、今流行のシュールで斬新な映像作品(下妻物語とか、トリックとか)のはしりですね。
佐藤勝の適材適所な音楽も秀逸です。
仲代達矢の冴えない、と言うか気持ちのわるい大学講師も傑作ですが、砂塚秀夫のチンピラ役もいいですね。
後から考えれば主要人物でまともなのはチンピラの砂塚秀夫だけだったというのも面白いです。団令子の色気もぜんぜん嫌らしいものではありません。
ネタバレになるので書きませんが彼女の最後のシーンにも注目。
全編ブラックユーモアを織り交ぜながらテンポよく進んでいき、面白いのですが、キチ○イとか、殺人パラノイアなどの台詞や、精神病患者の描写で現在は決してTVで放映されることはないんですよね、DVDかリバイバル上映でしか見る機会はありません。
常軌を逸した登場人物とストーリーですが、アクション、コメディ、そしてサスペンスとしても楽しめる正真正銘の娯楽映画です。

監督 岡本喜八
原作 都筑道夫「飢えた遺産」改め「なめくじに聞いてみろ」
脚本 小川英、山崎忠昭、岡本喜八
音楽 佐藤勝

桔梗信治 仲代達矢
鶴巻啓子 団令子
大友ビル 砂塚秀夫
溝呂木省吾 天本英世
池野 滝恵一
義眼の女 富永美沙子
松葉杖の男 久野征四郎
仕込み傘の殺し屋 沢村いき雄
青地光 江原達怡

1967年度東宝作品(モノクロ・シネスコ)

本日は東京マラソンですね。私もTV中継を見ながら書いています。
下のリンクに無い「八甲田山」のレビューはこちら

太平洋奇跡の作戦キスカ
赤毛
戦国野郎
ブルークリスマス
大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号
電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎
用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日
☆はじめに☆


太平洋奇跡の作戦 キスカ ★★★★☆

2008年02月15日 | Weblog


【概要】
昭和18年(1943年)、アリューシャン列島のアッツ島守備隊が玉砕し、同列島のキスカ島も玉砕の危機に襲われた。大本営はキスカ島守備隊五千名の救出を決意する。北方担当の第五艦隊司令長官川島中将は、作戦実行部隊である第一水雷戦隊司令官に同期の大村少将を指名した。キスカ島守備隊5千余名の運命は、海軍兵学校を「ドンケツ」で出たという大村少将の手腕に託されることになる。
Wikipediaより抜粋

【感想】
二日振りの投稿です。

私が戦争映画を本格的に見るきっかけになった作品です。戦争映画と聞いて思い浮かべるのは、召集された兵士達が血を流して次々に死んでゆくシーン。それは、反戦を訴える上で重要な場面で、私も必要だと思うんですが、あまりも痛々しくて可哀想で、やりきれなくて見ていて辛いんですよね。
本作品は、キスカ島撤退作戦を題材にした戦争映画ですが、團伊玖磨の美しい音楽と丸山誠治のテンポのいい演出で緊張感溢れる作品になっていて、いわゆる、一般的な戦争映画のような悲壮感はあまり感じられませんでした。しかし、悲壮感無い=戦争高揚映画ではなく、ちゃんと反戦の映画になっているのが本作の特徴です。

キスカ島の兵士達が救助の船に乗り込む時、船の人達に向かって手を振って笑うシーンがあるんですが、誰だって玉砕は望まない、生きていたいんだという想いが伝わってきます。
三船敏郎の「戦争をやっているんだからな。」の一言も重い。

東宝の俳優の常連が多数出演しているのも、本作を見やすくしている要因かな。
特撮映画を見ている延長線上という感じ。世界大戦争という傑作反戦映画も、人類滅亡という暗い結末を用意していながらも、見終わった後重苦しい気持ちにならなかったなあ。
60年代の映画は、戦後がまだ色濃かった時代なのに、(だからこそでしょうが)70年代の映画よりどこか作風が明るい気がするんですが…、あっ、これは勿論東宝の映画に限ってです。
他社の作品はあまり詳しくないんで…

このDVDの特典映像に「証言キスカ」という、キスカ島で実体験をされ、映画でも監修をされている方の証言VTRがあるんですが、当時の東宝とのやりとりなど興味深い話が聞けます。

教科書には決して載らない史実を見事に映像化した隠れた名作。まず、戦争映画と聞いて拒絶される方に見て欲しい作品です。


監督 丸山誠治
特撮 円谷英二
脚本 須崎勝弥
原作 千早正隆 「太平洋海戦最大の奇跡」
音楽 團伊玖磨

大村少将 三船敏郎
川島中将 山村聡
国友大佐 中丸忠雄
玉井中佐 稲葉義男
阿久根大佐 田崎潤
天野少佐 佐藤允
俵少尉 久保明
秋谷司令官 藤田進
寺井先任参謀 土屋嘉男
工藤軍医長 平田昭彦
軍令部総長 志村喬
軍令部赤司参謀 西村晃

1965年度東宝作品(モノクロ・シネスコ)


なかなか毎日文章を打つというのはしんどいですなあ。
ま、毎日って無理ですよね。今度からは二日おき、出来て一日おきくらいで投稿していく予定です。
私がブログを書いてる理由は、勿論日本映画でこんなにいいものがあるんだよというのを多くの人に知ってもらおうと思うからなんですが、まず、文章を書くということはどんな題材にせよ、頭の整理にもなりますよね。
自分が見て感動した作品を、どうして感動したのか、どうして面白かったのか、はたまた、見たときは興奮していたものの、後で考えればそんな大した映画じゃなかったな(笑)とか、改めて作品を見つめなおすいい機会にもなります。

下のリンクですが、なぜか「八甲田山」が上手く表示できないので、ご覧になる方はこちらをクリックしてください。



赤毛

戦国野郎
ブルークリスマス
大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号
電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎
用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日
☆はじめに☆


八甲田山★★★★★

2008年02月12日 | Weblog


【概要】
「天は我々を見放した!」

日露戦争開戦を目前にした明治三十五年、徳島大尉(高倉健)率いる弘前第三十一連隊と神田大尉(北大路欣也)率いる青森第五連隊は、八甲田山を雪中行軍することに。少数編成で自然に逆らわず行軍する三十一連隊。一方、大編成で真っ向から八甲田に挑んだ五連隊は、目的地を見失い吹雪の中を彷徨し、遭難する。

Amazonより抜粋


【感想】
世田谷文学館は、新宿から京王線に乗り換えて芦花公園で降りたところにあります。こういう特別な事情が無い限り、滅多に行くことがないと思うのですが、年に一度フィルムフェスティバルを開催するらしいので、来年も行くことになるのかな…
さて、今回世田谷文学館で見てきたのは「八甲田山」です。そして、どうして今までこんないい映画を見なかったのか!と思いました。

監督は森谷司郎、脚本は橋本忍。そう、日本映画界を代表する傑作「日本沈没」のコンビです。これて音楽が佐藤勝だったら日本沈没のトリオになるのですが、「八甲田山」に限っては芥川也寸志のドラマチックな音楽が物語を盛り上げます。
芥川也寸志は「砂の器」で日本映画史上最高傑作の「宿命」音楽監督をしている人です(作曲は菅野光亮)。前に世界大戦争が音楽面では最高傑作と書きましたが…、まあ、傑作が沢山あるんですな(汗)

劇伴って、曲の完成度うんぬんではなくって、画面にいかに相応しいかってことですよね。曲を聴いただけではわからなくて、画面と一緒になって初めてそのよさがわかるものだったり、曲も独立して完成度が高く、かつ画面とも調和している(その逆もまたしかり)のもあったり・・・


本作は極寒の八甲田山の中、自然の壮大さと、その中でちっぽけにうごめく人間の組織を対比したドラマです。三國連太郎のバカ上司に振り回される神田大尉(北大路欣也)は、現代の社会にも通ずる普遍的な問題。

加山雄三扮する第5連隊の倉田大尉が、登場してもなかなか台詞を喋らないのですが、登場している間もずっと表情で演技していて、山田少佐への不満がよく伝わってきます。さすが、黒澤明や岡本喜八、成瀬巳喜男などの作品で培われただけのことはありますね。(若大将シリーズなどでおなじみの彼は、超能力集団の対決を描いた「エスパイ」という珍作でエスパイの所長役で出演されています。


この作品を今まで見なかった原因は、70年代の大作映画にありがちな、冗長さを恐れてのことだったと思います。(しかし、その考えは一気に吹っ飛びました。)


大金をかけ、名作と謳われた数々の作品はそういう冗長性質を持っているのです。しかし、70年代の大作映画は冗長さという要素を持っていながらも、造り手たち(俳優も含めて)の熱意で見る者を圧倒させ、何だかんだ言いつつも見入ってしまうんですがね…


監督 森谷司郎
脚本 橋本忍
音楽 芥川也寸志
(製作として野村芳太郎、田中友幸、橋本忍)

友田少将 島田正吾
中林大佐 大滝秀治 
徳島大尉 高倉健
児島大佐 丹波哲郎
斉藤伍長 前田吟
神田大尉 北大路欣也
山田少佐 三國連太郎
倉田大尉 加山雄三
津村中佐 小林桂樹
本宮少佐 神山繁 
三上少尉 森田健作
村山伍長 緒形拳

神田はつ子 栗原小巻
大尉の妻 加賀まりこ
案内人 秋吉久美子


1977年度東宝作品(カラー・シネスコ)


赤毛
戦国野郎
ブルークリスマス
大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号
電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎
用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日
☆はじめに☆


脚本と映画 橋本忍の仕事

2008年02月11日 | Weblog
本日、世田谷文学館で世田谷フィルムフェスティバルを開催しているので行って来ます。(上映は先着順ですが、他の日には特別展として映画の資料なんかも見ることができます)
上映作品は橋本忍脚本、森谷司郎監督の「八甲田山」です。橋本忍は日本を代表する脚本家で、名作、傑作を数多くこの世に残しています。
ざっと作品を挙げただけでも羅生門(黒澤明と共同 )、生きる(共同)、七人の侍(共同)、私は貝になりたい、白い巨塔、上意討ち、日本のいちばん長い日、日本沈没、砂の器、八甲田山、八つ墓村などなど、ほんとに、つくづく、素晴らしい脚本家だなと思います。彼の脚本は構成がしっかりしていて、綿密に創り上げていることが、支持される理由だと思います。


以下、履歴です。 何だか最近時代劇が多いな。

赤毛
戦国野郎
ブルークリスマス
大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号
電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎
用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日
☆はじめに☆ (←2/10更新)

赤毛★★★★★

2008年02月10日 | Weblog

【概要】
幕末から明治へ変わろうとしていた革命期、百姓上がりの官軍隊士・権三(三船敏郎)は赤報隊・隊長の印である赤毛を借りて、故郷の澤渡宿へ赴いた。しかし宿場は代官と結託した駒虎一家に支配されており、権三は虐げられてる人々を救うべく立ち上がるのだが…。
Amazonより抜粋

【感想】

赤報隊…戊辰戦争時の官軍先鋒隊の一。三隊編成で、一番隊は相楽総三(さがらそうぞう)を隊長とし、年貢半減を布告しつつ、中山道を東進したが、総督府から偽官軍とされ、1868年3月、相楽らは信濃国下諏訪で斬られた。(大辞林より)

この映画は明治100年(明治からちょうど100年)で沸き立つ中、1968年に製作されました。そして、これまで数多くの作品に反骨の精神を反映してきた岡本喜八の想いがこの映画ではより一層あらわになっています。
一番隊の相楽総三は実在の人物。映画では描かれませんでしたが、彼が歴史上行った行為は決して評価されるものではなく、江戸市中の放火や暴行など、倒幕運動の元、江戸幕府を挑発するのが主でした。(まあこれには色々な解釈があるでしょうけどね)
そんな相楽も新政府の意向で「年貢半減」を宣伝したのですが、新政府は年貢半減令を取り消して、彼は結局偽官軍として処刑されてしまうのでした。可哀想って言えば可哀想。
しかし、今回この映画で訴えたいのは相楽などの上層部ではなく、三船敏郎の権三を代表とした、もっと下の庶民の怒りでした。

「どんなに政治が変わっても、苦労するのは百姓達」
権三の母が権三に言った言葉こそがこの映画の根底にあるもののように思います。
また、幕府側の岸田森や新政府側の神山繁、そして細かいことは知らないでただ世直しの為だけに奮闘する三船、世の中を「葵から菊に変るだけ」と冷静に見る高橋悦史など、様々な考えを持った人物が動き回る様子は、時代を置き換えてまさに「日本のいちばん長い日」を彷彿とさせます。
そう言う意味で、この「赤毛」を見た後に「日本のいちばん長い日」を見ると、岡本喜八監督の反骨のメッセージを読み解くことが出来ると思います。
どちらも娯楽映画としても一級品の出来栄えですが、赤毛の方が勇ましい三船敏郎や、おとぼけキャラ(表現が古くて済みません)の寺田農、腰抜けの伊藤雄之助、やはりここでも重要な役どころの岸田森も見れて、岡本喜八ワールドが楽しめる作品になっています。
ただ、可笑しい分、最後に来る「ええじゃないか」の大行進は涙無しには見られません。前半の明るさも、佐藤勝の三味線ロックも、最後の悲劇を十分に引き立てています。

“赤毛は世直しの印、革命軍の先駆け、維新に斬り込んだ男”
この映画のキャッチコピーが、見終わった後哀しく響いたことは言うまでもないです。


監督 岡本喜八
脚本 岡本喜八 廣澤栄
音楽 佐藤勝

権三 三船敏郎
三次 寺田農
一ノ瀬半蔵 高橋悦史
とみ 岩下志麻
お袖 岡田可愛
お春 乙羽信子
荒垣弥一郎 神山繁
相楽総三 田村高廣
神尾金太郎 伊藤雄之助
馬宿 浜村純
番頭 岸田森
伍平爺さん 左卜全

1969年東宝作品(カラー・シネスコ)

戦国野郎
ブルークリスマス
大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号
電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎
用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日
☆はじめに☆ (←2/10更新)


戦国野郎★★★★

2008年02月09日 | Weblog

【概要】
戦国時代、若き忍者・越智吉丹(加山雄三)は武田信玄に失望して城を抜け、有吉宗介(田崎潤)とその娘さぎり(星由里子)率いる馬借隊に身を隠す。その馬借隊に、木下藤吉郎(佐藤允)が鉄砲“種子島”の運搬を依頼してきた。吉丹らは武田方忍者の追っ手をかわしながら、積荷を織田信長の領内まで運ぼうとするが…。
Amazonより抜粋

【感想】
「殺人狂時代」「近頃なぜかチャールストン」「ああ爆弾」「日本のいちばん長い日」「江分利満氏の優雅な生活」などなど、岡本喜八が監督する作品はどれも題名が冴えていて、ちょっと気になって見てみたい気がするのが多いのですが、この「戦国野郎」だけはどうも野暮ったいタイトルで、ご覧の通りのパッケージですし、手に取りづらかったんですが、見て見たら、それは全くの偏見で、面白い。こんなにテンポのいい時代劇も珍しいと思いました。これが初の岡本喜八時代劇です。
この後に、「侍」や「大菩薩峠」と言った時代劇を撮るんですが、この「戦国野郎」は、時代劇の常識を考えず、自由に作ってる感じがします。現代劇を見ているような軽い感じがどっかにあると言ってもいいですね。
気に入った登場人物を紹介します。

越智吉丹(加山雄三)…若大将シリーズは残念ながら全く見てないんですが、加山雄三の演技力は、「椿三十郎」とか「赤ひげ」で見ていて、凄いなと思っていました。この映画の元忍者という面白い役を楽しそうに演じていて、見ていて心地いいです。ちょっとした台詞の言い回しとかが上手いなと思いました。
銅子播磨(中谷一郎)…この人は脇役に徹してる感じがして、今回の映画のように台詞がバンバン出てくる役は少ないと思います。そういう意味では貴重な作品。加山雄三とのコンビぶりが楽しかったです。
木下藤吉郎(佐藤允)…佐藤允は、好きな俳優の一人です。荒くれ者の役もぴったりですが、今回のように人のよさそうな役柄もいい味出してます。
有吉さぎり(星由里子)…星由里子可愛いですね。東宝の時代劇で彼女が出ると、お姫様みたいな役しかなかったのですが、男勝りな娘を潔く演じていて好印象です。

雀の三郎左(中丸忠雄)…なんだか、この人だけ浮いているような気がするのは気のせいでしょうか?だって、どうしても、吉丹(加山)に顔切られて悔しがっているようにしか見えない!
滝姫(水野久美)…馬借の護衛につく兵隊(実は百姓)達を酒を使って一杯食わせたとき、ちらっと舌を出すお茶目な場面があるんですが、話しの流れから外れた演出はさすが岡本喜八ですが、彼女がこんな役をやるのも珍しく、可愛らしさが出てて良いです。星由里子と水野久美、二人ともイメージと違う仕草が見れて楽しかったです。
馬借松(砂塚秀夫)…地味に岡本喜八の常連さん。どれもとぼけた役が多いです。この映画でもそのキャラクターが全開しています。この人が出ると、映画の雰囲気が明るくなると思います。
馬借ぢごく(天本英世)…台詞がほとんど無い。でも、一角の腕の者。喜八作品には欠かせない人物ですね。はっきり言って全く必要の無い役ですが、存在感がありました。

この映画、面白かったんですが、果たしてヒットしたんでしょうか?岡本喜八作品の中ではあまり知られていないような気がするんですが、私がこの作品を「手に取りづらい」と言った理由はパッケージのデザインとタイトルだけではなく、「加山雄三と星由里子の若大将シリーズのコンビを時代劇でも」と言う企画物めいた雰囲気が感じられたからです。
でも、若い忍者と男勝りの馬借の娘は、いずれもこの二人でよかったと思います。

脚本は、監督自ら立ち会っているし、東宝特撮の「陽」を前面に引き出すことに成功した関沢新一も珍しく脚本作りに参加しています。そのことが、この映画をさながら現代劇のようなテンポのいい物語にしたのだと思います。
本当に、パッケージからは想像も出来ないです。それだけで損してると思います。内容はそんなに大したこと無いんですが、岡本喜八の手馴れたアクションが楽しめる一品でした。

監督 岡本喜八
脚本 佐野健 岡本喜八 関沢新一
音楽 佐藤勝 (佐藤勝お得意の和製ロックが炸裂)

越智吉丹 加山雄三
銅子播磨 中谷一郎
木下藤吉郎 佐藤允
有吉さぎり星由里子
雀の三郎左 中丸忠雄
滝姫 水野久美
馬借松 砂塚秀夫
馬借ぢごく 天本英世

1963年度東宝作品(モノクロ・シネスコ)

ブルークリスマス
大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号
電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎
用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日
☆はじめに☆


ブルークリスマス★★★☆

2008年02月07日 | Weblog

【概要】
世界各地に出現したUFOを目撃した者は、体内の血液が青くなってしまう。だが同時に人を憎む気持ちや怒りの感情が喪失するという。そんな事態に危機感を抱いた各国政府は、クリスマス・イブに世界的な規模で、青い血を持つ人々の虐殺を決行する…。
Amazonより抜粋

【感想】
後味悪いですよ~ それだけは忠告しておきます。救いなのは、一般の目線で見れる仲代達也くらい。
あ、それから正体不明の岸田森と天本英世の存在が、非現実的で怪しすぎで面白いです。特に血が青くなった人間をどうするかと問われたときに岸田森が一言
「処理してください。」と簡単に言ってのける場面は、怖いと同時になんだか面白かった。
それでも重く暗い空気で物語りは進んでいきます。この映画を見ようと思ったのは、国家とUFOが絡んだ、その当時にしては大変珍しいジャンルの草分け的作品として興味を持った為でした。今では陰謀、UFOと言えばXファイルが有名ですが、その10年以上前に日本にこんな映画があったのです。(特撮マニアで語り草になっている怪奇大作戦なんかも、Xファイルを髣髴とさせるものがあります。)日本って以外に映像ドラマに関しては凄いものを持っているのだと、感心しました。

だた、この映画はそんなに甘くなかった…

 日本国営放送の南(仲代達矢)が調査するUFOの存在についての演説後、失踪した兵藤博士(岡田英次)の事件
 同局の大河ドラマに大抜擢された新人女優・高松夕子(新井春美)の血が青いという噂と彼女の降板。
 そして青い血の人間を抹殺するよう命じられた国防庁の沖(勝野洋)と、UFOの光を浴びて血が青くなってしまったである沖の恋人理髪店の冴子(竹下景子)
 この三つが徐々に一つに繋がる淡々とした描写はさすが。

  この映画の本題は、一見、UFOと国家の陰謀というテーマのように思えるものの、本底にあるのは、冴子の理髪店のTVでちらっと流れてそれを案じさせる、ナチスのユダヤ人に対する差別のようなもの。それを、未来の世界に置き換えて、ナチスだけではなく、人間全ての恐怖として描いています。
 倉本聰脚本です。こんなハードなSFを書かれていたんですね。
 
 この映画を見たのは、岡本喜八作品を見てまだ日が浅かったので、その作風の違いにびっくりしたのですが、「日本のいちばん長い日」や「沖縄決戦」といった重厚な映画も撮っているので、コメディータッチとそうでない、両方の面を持った監督なんですね。特撮を全く使わないことで、見えない、そして正体のわからないUFOの恐怖が一層引き立っています。
DVDの解説書に、映画監督、アニメーターの第一人者である庵野秀明氏のコメントが載っているのですが、彼曰く、「この映画のラストには、UFOが大挙して迫ってくるシーンが欲しかった」そうです。そうですか?そんなことしたらこの映画のよさが無くなってしまうと思うんですよ。わかってないんだから!


監督 岡本喜八
脚本 倉本聰
音楽 佐藤勝

沖退介 勝野洋
西田冴子 竹下景子
南一矢 仲代達矢
兵藤光彦 岡田英次
兵藤夫人 八千草薫
高松夕子 新井春美
木所 岡田裕介
沢木 高橋悦史
原田 沖雅也
岡村 潮哲也
五代報道局長 小沢栄太郎
竹入論説委員 大滝秀治

1978年度東宝作品(カラー・スタンダード)

大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号
電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎
用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日
☆はじめに☆


大盗賊(東宝)★★★★

2008年02月05日 | Weblog

【概要】
今は昔、堺の港。豪商呂宋助左衛門は海賊の嫌疑で捕えられ、樽詰めになって火刑に処せられたが、脱出。島国日本に住みあきた助左は“俺は濡れ衣を着せられたのだ海賊になるのもお面白い、南の海で夢を果すのだ"と南シナ海に乗り出した。途中、船が遭難し助左は賊宝と共に筏に乗り、漂流中に黒海賊に襲われて賊宝を奪われた。ある島に辿り着いた助左だったが、その島には女に弱い仙人や、弥々姫を狙う宰相や妖術使いなど、一癖も二癖もある奴がいた・・・
goo映画より抜粋,改訂

【感想】
堺の港の最盛期であることから、時代設定は一応安土桃山時代(あるいは戦国?)なんでしょうが、それは冒頭数分までの話で、後は中近東だか何だかよく分からない、ごちゃまぜの無国籍な世界がくり広げられます。
まあ、アメリカでの公開タイトルが“The Lost World of Sinbad”ですから、アラビアンナイト・シンドバットの冒険をイメージしたのでしょうか。それはともかく、自分の城にいながらもはや捕らわれの身の姫を助け出すという、明るく単純明快なストーリーと三船敏郎の豪快な存在が物語を引っ張っていき、見ていて飽きません。それぞれのキャラクターが面白い。

 助左(三船敏郎)…用心棒、大坂城物語などで見られたご存知三船敏郎と言った役柄なので、こういう物語では安心して見られました。この当時、世界のミフネとまで言われた彼が、こんな(と言っては失礼ですが)珍作(はっきり言って珍作です)に出て、東宝特撮俳優(水野久美、田崎潤などなど)と共演するなんて、滅多にないですよ。
 黒海賊(佐藤允)…演技が過剰でクスッとしちゃいます。「わはっはっはっは」と笑うところなんて…。戦争映画でいい味を出していた彼ですが、ここでは癖のある役を演じています。
 エロ仙人(有島一郎)…東宝喜劇映画の第一人者。女に(というかオッパイに)弱い仙人という設定がGood。この仙人と天本英世演じる妖婆との対決も見所の一つ。彼の存在が、この映画を更に面白くしています。
 増尾(草笛光子)…元奴隷の身分で、宰相に気に入られ、現在の地位にいるものの、宰相が弥々姫の身体を狙っていることを知ると、助左を助けるおいしい役どころ。草笛さんこういう映画にも出るんですね。
 弥々姫(浜美枝)…出ましたボンドガール。やはり美しいですね。海外の女優さんにも引けを取らないと思いますが、彼女はどこか可愛らしさもあります。
 洗濯女(若林映子)…こちらもボンドガール。黒澤明の「隠し砦の三悪人」の雪姫役にオーディションにでたものの落選してしまいましたが、後に大きな飛躍を遂げる事になります。彼女は声も容姿もエキゾチックで、この映画の雰囲気そのもの。
 美輪(水野久美)…海賊の女大将。彼女も日本人離れした美しさを持っていますし、こういう活発な役がぴったりです。「食い逃げ野郎!」と助左に悪態をつきながらも、好意を抱いてるところがいいですね。
 宰相(中丸忠雄)…彼は役柄を問わず、どんな映画にも出るんですね。電送人間は強烈でしたが、「日本のいちばん長い日」や「キスカ」でも重要な役を演じていました。この映画ではふっきれて、どこか楽しそうに演じている気がします。
 摺武(田崎潤 )…スリムと読みます。メタボなのにスリムなんて、わらってしまいます。助左に敗れた死に際、「助左、おれはお前が好きだった…」と言うのですが、ああ、そっちの人だったんだ…なんて余計なことを考えてしまいました。
  妖婆(天本英世)…強烈!!演技者とは彼のことを言うのです。普通は女性が演じるんでしょうけど、でも彼しかいないなあ。岸田森(この映画には出てませんが)と天本英世は、日本映画界には欠かせない名脇役でしたね。

公開年は1963年。天国と地獄と同じ年に三船敏郎がこの映画に出ていたというのは驚きです。東宝特撮最盛期の醍醐味も味わえるのですが、ファンタジーありアクションありの娯楽映画に仕上がっているので、(有名な役者が結構登場していると言う事も含めて)見る価値はあります。
VHSしか出てないので、レンタルできる所は少ないですが、名画座でみる機会があるかもしれませんし、廃盤になっていないので買って見ることも出来ます。私なんかは買ってしまいましたけどね。


監督 谷口千吉
特技監督 円谷英二
脚本 木村武 関沢新一
構成 八住利雄
音楽 佐藤勝

呂栄助左衛門 三船敏郎
揚藩 佐藤允
仙人 有島一郎
増尾 草笛光子
弥々姫 浜美枝
洗濯女 若林映子
美輪 水野久美
宰相 中丸忠雄
摺武 田崎潤
明国公子 船戸順
妖婆 天本英世
羅刹王 志村喬

1963年度東宝作品(カラー・シネスコ)DVD化なし,VHSのみ

他にもレビュー書いてるので、アーカイブをご覧下さい。

座頭市と用心棒
ガス人間第一号
電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎
用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日
☆はじめに☆


アーカイブ

2008年02月05日 | Weblog

まだまだ少ないですが、履歴です。
これは映画「赤ひげ」公開時のスピードポスターですが、40年以上前の作品ながら、その芸術的センスにびっくりです。

座頭市と用心棒
ガス人間第一号
電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎
用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日
☆はじめに☆

今、「日本のいちばん長い日」を読んでいるんですが、映画の内容がより一層詳しく書かれていて(そりゃ、原作ですからね)面白いです。
歴史書のようでもあるんですが、残っている資料の中から、当時の人達の発言も細かく書かれていて、緊迫感があります。
と、言うわけで今日は映画を見ていません。いろいろ所用があって。また明日再開する予定です。

今、世田谷文学館で脚本家橋本忍の展示会と上映会を開いているので、それに行こうと思います。
それから、阿佐ヶ谷のラピュタと言う名画座で「喜八魂」と言う、岡本喜八作品を特集して上映しているので、そっちの方にも行きます。

機会があればテレビドラマ「相棒」のレビューとかも書いてみようと思います。相棒は、ドラマ嫌いの私が唯一続けて見ているドラマで、GWには映画で上映されるので、そのレビューも書くかもしれません。




座頭市と用心棒★★★★

2008年02月03日 | Weblog
【概要】
勝新太郎扮する“座頭市”と三船敏郎扮する“用心棒”。時代劇のニ大看板が夢の対決を果たした傑作時代劇。烏帽子屋の弥助の厄介になっている座頭市は、弥助の息子・政五郎の差し向けた用心棒と対決することに。ところが2人は意気投合してしまい…。
内容(「DVD NAVIGATOR」データベースより)

【感想】
昨日「激動の昭和史 沖縄決戦」を見て、少し気持ちが沈んでしまったので、今日は息抜きに同じ監督の娯楽作、「座頭市と用心棒」を見ることにしました。(沖縄決戦は少し考えがまとまってから後日書こうかと)
勝プロダクション製作で、大映のヒーロー「座頭市」と東宝のヒーロー「用心棒」が対決するという、超娯楽映画。大映って、このころ経営状態はかなり悪かったんですよね?
異なる映画会社のヒーローが二大対決するのでよくこの映画に例えられる「ゴジラ」対「ガメラ」ですが、この映画は企画がまず先に出来上がったフシがあるので、(なあに、それだけのことでしょ?中身は大した事無いんじゃないの?)と、見る前までは甘く見ていたんですが、そこはさすが岡本喜八監督、登場人物たちがほとんど悪者なんですが、たとえ悪者でもコミカルに描いていて楽しいです。岡本喜八の常連がちょくちょく出てくるのもファンには嬉しい。

三船敏郎と勝新太郎のコンビも、なかなかいいなと思いました。最後、なんだかんだ言いながら仲良くなっちゃってるし。
岸田森ははじめ風変わりな殺し屋として登場するんですが、実は風変わりな(笑)公儀隠密だったと言う、こういう役が異様に似合う。(まあ、三船の用心棒も実は公儀隠密なんですがね)赤毛の時もそうでしたが、岡本喜八作品では、けっこう重要な役どころを演じます。
今はお亡くなりになられた建築家黒川紀章の夫人でテレビに出ることも多くなった若尾文子ですが、若い!そして綺麗!彼女の声も魅力的ですね。

深いことは考えず、時代劇の面白さを味わえる映画でした。
ところでこのDVD東宝から出てるみたいだけど、劇中では一切触れられてないんですが、誰か分かる方いらっしゃいませんか?

監督 岡本喜八
脚本 岡本喜八 吉田哲郎
原作 子母沢寛
音楽 伊福部昭

座頭市 勝新太郎
用心棒佐々大作 三船敏郎
九頭竜 岸田森
脇屋陣三郎 神山繁
兵六爺 嵐寛寿郎
余吾 寺田農
藤三 草野大悟
梅乃 若尾文子

1970年度大映作品(カラー・シネスコ)

ガス人間第一号★★★★

2008年02月02日 | Weblog
【概要】
銀行を襲撃し現金を強奪する犯人を追う刑事(三橋達也)が遭遇した、美しき舞踏の師匠・春日藤千代(八千草薫)。彼女と銀行襲撃の犯人・水野(土屋嘉男)は愛し合っており、水野は化学者の手で身体の組織構造を自由に変化出来るガス人間 となっていた。

【感想】
名前がねえ…センス無さすぎだと思うんですが。(でもセンスのない題名も魅力だったりする)
せめて藤千代の舞台の題名とかけて映画のタイトルも「情鬼」にすれば、ガスって、蒸気っぽいでしょ?それに水野の執念を情念の鬼とみたてれば、いいと思うんですけどね。とはいえこれは紛れも無い変身人間シリーズの最高傑作です。
宇宙開発の犠牲になってしまった哀れな水野は愛する藤千代の為に持ち前の体質を生かしてガス状態になり、銀行を襲い大金を藤千代に注ぎ込む。藤千代の心情は、この映画でははっきりと描かれていないものの、暗示となり、(ああ、多分藤千代は別に水野のことを愛してはいないんだな。ただ、自分の為にこれだけ尽くす男に対して、冷たい態度はとれない。)観客に想像させるだけ。それがかえって物語りに深みを出しています。

ガス人間こと水野を演じた土屋嘉男は、黒澤明監督の映画に何本も出演するベテラン名脇役。なのに特撮に異常なまでに関心を示しており、「地球防衛軍」の宇宙人役は有名ですね。子供の頃見た映画で「怪獣大戦争」がありますが、その宇宙人も彼だったんですね…
八千草薫は、この時が一番綺麗。三船敏郎の「宮本武蔵」とか、白蛇伝の「白夫人の妖恋」の頃の彼女は可愛かったけれど、年代を経るうちにより一層美しくなって、それがまた作品の悲劇を強調しているよう。

三橋達也は、黒澤明の「悪い奴ほどよく眠る」と「天国と地獄」にも出演し、いずれも印象的でしたが、今回は狂言回し的な存在で登場してます。
佐多契子はこの他に「妖星ゴラス」以外で見たことが無いのですが、どうしたのでしょうか。プロフィール写真を見ると、結構美人なんですが、この映画では何だかおばさんっぽいしゃべり方。
彼女はガス人間でデビューしたそうですが、その時、新車の宣伝のポスターが、「61年の新車セドリック、61年の新人佐多契子」車と一緒にされるなんて、何とも可愛そうです。
彼女のその後のいきさつを知っている方、是非教えてください。

上記で挙げた二組のカップルを暗に対比しているのも見事です。
左卜全の哀愁漂う、何て言ってるか若干聞き取れないよれよれの声にも感動します。

ガス人間が銀行強盗を犯さなくても、彼の存在があるだけで、社会は混乱してしまう。そして、決して成就しない落ちぶれた藤千代との恋。
それに加えて本作には、科学に犠牲者が出てもいいのか?と言う問題もさり気なく訴えかけています。
能の世界を舞台にしていることで、東宝特撮では珍しい和のテイスト溢れる話になっているのにも注目。

「美女と液体人間」「電送人間」「ガス人間第一号」がいずれもツタヤに置いていると言うのがビックリですね。そして不思議なのがSFの欄に「日本誕生」「ガス人間第一号」があって、ホラーの欄に「美女」と「電送」があること。
一体どんな基準なんだ!?

三作続けて東宝の特撮映画を描いたんで、次は時代劇のレビューでも書こうかな。



監督 本多猪四郎
脚本 木村武
音楽 宮内国郎

岡本賢治警部補 三橋達也
藤千代 八千草薫
ガス人間水野 土屋嘉男
甲野京子婦人記者 佐多契子
田宮博士 伊藤久哉
田端警部 田島義文
稲尾刑事 小杉義男
佐野博士 村上冬樹
老鼓師 左卜全

1961年度東宝作品(カラー・シネスコ)